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五話

 それから日は流れ、あっという間に体育祭当日がやってきた。

 朝、いつもより少し早い時間から朝食を作り一緒に自分の弁当も用意する。今日の弁当は少し多めに、そしてライチが好きな卵焼きをたくさん入れて持っていく。ライチは甘い卵焼きが好きだから、俺が食べるしょっぱい卵焼きはライチが食べないように端の方に詰めて。

 家族が目覚めてくるころにはあらかたの準備を終えて少し早めに家を出た。そのままの足でライチを迎えに行く。家を出る前に連絡をした感じだと起きてはいそうだったが、二度寝している可能性もあり得るから油断ならない。の家の前で電話をかける。四コールほどした後電話越しにシャカシャカと歯を磨く音だけが聞こえてくる。しばらくして歯磨きを終えたライチが「もう出る」といい電話を切る。五分もしないうちに家の中からドタバタと音が聞こえ玄関のドアが開く。急いでいたのか制服はかなり乱れていた。

「お前なぁ身だしなみくらい気を遣えよ。そんなんじゃ実る恋も実らないぞ」

 「わかってないなぁきひろ。俺はギャップで魅せるんだよ」

 「ハイハイ。これでよし」

 ネクタイを少し緩めに締めて先生たちから注意されない程度に着崩した形に整えてあげる。

「いつもありがとな、きひろ」

 いつも見ている屈託のない笑顔に目を奪われる。何時どんな時に見たって目を奪われる、いつまでも見馴れることのない表情。つられてこっちまで口角が上がる。

 

 今日は、山村は野球部の朝練で、清信が体育委員の関係で先に登校していて、久しぶりにライチと二人での登校だった。ライチと二人きりになることは珍しくないし、馴れたものだけど今日はなんだか気恥ずかしさがあった。何話そうかななんて考えていると、気恥ずかしさなんて感じていなさそうなライチが口を開く。

「代表リレー楽しみだな」

 代表リレー。各クラスから男女二人ずつが走る四百メートルのリレー。今年は俺が第三走者でライチがアンカーを任された。

「練習中俺とライチはミスなかったし、もしかしたら一位も目指せるかもな」

 俺の言葉に、燃えてきたと気合を入れるライチ。

 俺たちは晴天の下を軽い足取りで歩いて行った。


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