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四話

 帰る途中に公園で友達と遊んでいる梨香を見つけ折角だからと、夜ご飯に何を食べたいか尋ねることにした。

 梨香と呼びかけると遊んでいる友達まで一緒になって俺のところまで駆け寄ってくる。

「にいに!何しに来たの?一緒に遊ぶ?」

 と、目の前に来るなり矢継ぎ早に口を開く。それは梨香だけではなく、一緒にいた友達も「遊ぼう」や、「何してんの?」などと、自分が自分がと言わんばかりに各々が口を開く。はたから見れば同級生から相手にされないからと、小学生に絡みに行ってる情けない高校生と映ったかもしれない。まぁ正直そんなことはどうだってよかった。もう二度と顔を合わせることのない人間にどう思われたって、今後の人生に何か影響があるわけじゃないから。

「梨香は今日の夜ご飯なん食べたい?」

 俺の問いに対して、あまりに多くの答えが返ってくる。「おれハンバーグ」「カレー好き!」「オムライス食べたーい」などと各々の好きな答えの中から何とか梨香の「スパゲッティ!」を拾い上げ、何とか子供たちを落ち着かせてその場を後にする。

「兄ちゃん買い物行ってくるな。暗くなる前に帰るんだよ」

 俺のその言葉に対してわちゃわちゃと何かを言っていたが、聞き取ることができなかった。小学生とは興味の移り変わりが激しいもので、もう一度振り返る頃にはすでに鬼ごっこを始めていた。

 帰りの足でそのままスーパに寄り、朝のおぼろげな記憶を引き出し、今日の夜と明日の朝の分の足りないであろう食材をカゴに入れる。

「あ、ソース聞いてないや。」

 梨香が何スパゲッティが食べたいか聞きそびれていた。仕方がないのでレトルトのソースをいくつか買って帰ることにした。

 家に帰ると中はガランとしていて、玄関には早く遊びに行きたいという気持ちに負けた梨香のランドセルが寂しそうに転がっていた。食材をキッチンまでもっていった後に転がっていたランドセルを梨香と望海の部屋まで持っていく。あいも変わらず散らかっている部屋だ。

「今度休みの日に一緒に片づけてやるか」

 物が散乱した部屋を後にし、洗濯物を取り込みそれぞれの服を分けてたたむ。一人で淡々と家事を進める。テレビをつけるわけでもなく、何か音楽をかけるわけでもなく静かな家の中で一人、今頃ライチは部内紅白戦でもしているんだろうかなんて考えながら。

 夕焼け放送がなる頃に、「ただいまー!」と梨香の元気な声が家に響く。課題を進める手を止めて階段を降りると、鬼ごっこで転んだのか泥だらけになった梨香が手を洗っていた。慌てて梨香を担ぎ上げ風呂場まで運び泥を洗い流す。そのままの流れでパジャマに着替えさせ、学校の宿題するように促す。

 リビングの机で宿題をする梨香を横目に晩御飯の準備をする。

 「そういえば梨香は何味のスパゲッティがいいんだ?」

 と、聞くと何も考えてなかったのかしばらく悩んだ後

 「きのこ」

 と屈託のない笑顔でリクエストをした。

 「きのこか。あったかなぁ」

 幸いシメジがかなりの量残っていたので、シメジと豚肉を適当に炒めパスタに絡めて、適当和風パスタをつくり始める。出来上がる前には望海も帰宅していて、三人で食事を囲む。

 余った分にラップをかけて両親用にとっておく。

 梨香がベットに入る頃に父さんが帰ってきて、続いて母さんも帰ってくる。後のことは両親に任せ俺は学校の課題を再開させる。

 いつも通りの日常。

 あらかた終わったころにライチからの電話でスマホが動き出す。

「もしもし?」

「きひろぉ課題わかんない。教えて」

 そこからは長かった。俺が説明するたびにライチからハテナが返ってくる。日付が変わるまでそんなやり取りを繰り返しながら少しずつライチの課題を進めていき、最終的にライチから返事が返ってこなくなり、スースーと寝息がかすかに聞こえてくるようになる。しばらく起きてこないかなと寝息を聞いた後、おやすみと電話を切り俺も一日を終えることにした。

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