二十六話
目安箱に特定の状況は書かなかった。ただいじめのようなやり取りを見た。見て見ぬふりは目覚めが悪いのでどうにかしてほしいとだけ書いた。
目安箱に入れた後、何の情報も無いこの声に応えることなんて不可能では?と思ったが、もう後の祭り状態。一度入れた紙を取り出すことなんてできないし、この小さな箱の中身を取り出そう何としているところを見られたら、俺の学校生活に支障が出てくる。
まぁ生徒集会なりHRなりで教師から全体にアナウンスがあるだろう。それからまた考えよう。今はとりあえず自分の課題に向き合わなきゃいけないからな。
週明けの月曜日にさっそくHRにていじめの件の話がされた。特に深く介入する様子は見られず、「何か情報があったら教員に」とのことだった。
あらかた予想できた感じではあった。生徒間のトラブルと言うだけでもかなりめんどくさいだろうに、教員も忙しくなる受験シーズンと来た。俺なら投げ出したくなる。
教員からアクションがあったので俺は放課後に教師に声をかけ、空き教室にて面談のような形式で今まで見てきたことを話した。
教師はあからさまに「何でこんな時期に...」という表情をしていたが、俺の知ったこっちゃない。ライチの大切な未来がかかってるんだ。
あんな顔をしていた割に対応は早く、次の日には高橋たちと山根が個別に呼び出されていて、周りの奴にひそひそと後ろ指をさされている高橋たちがいた。
これからは教師陣の眼も光るだろうし高橋たちも派手には動けないだろう。
しかし、これで一件落着とならないのが人生の常。
派手な呼び出し等で自分の彼女がいじめられていて、しかもそれに気づけなかったライチとそうなることを危惧していた山根が、また俺にとって面倒な問題を増やしてくる。




