二十四話
カーテンの隙間から差し込んでくる一筋の光に目が覚める。目覚めたくなくって、タオルケットにくるまっている。昨日の言葉が目をつぶっても頭の中で反芻しては、俺を追い詰める。失望したような表情のライチが山根とともに背を向けそれのもとを去っていくそんな景色が脳裏に焼き付いて離れない。
ライチは俺の想いを知らないし、知ることもない。もし仮に知ったとしてもライチはきっと偏見なく俺と向き合ってくれる。ライチは他の奴らとは違う特別だから。
でもそれが理想の押し付けだったら...。俺のキモチに気づいたライチが、俺を避けるようになってしまったら。俺は、俺はどうすればいい?俺の見えているライチが理想に上書きされたライチだったら。俺はどこまで正確にライチを見られているんだ?
こんなこと考えてもどうしようもないことくらいわかってる。こんなタオルケットにくるまって一人で悶々としていても、ライチに対する思いが変わることも、この思考が変わることがないことも分かってる。でも、脳裏をよぎるこの言葉と、あの空想が消えない。俺を蝕んでやまない。
そんな俺の思考を阻むように勢いよく部屋のドアが開けられる。
「にいにおはよー!いつまでも寝てるとかびはえちゃうよってパパが言ってた!」
そんなやかましい掛け声と共に勢いよく入ってきては、カーテンを開ける。変わらずタオルケットにくるまっている俺からタオルケットを取り上げる。
「うーん分かった。ご飯食べよっか」
梨香の元気にあてられてネガティブ考えなんて吹っ飛んでいき、梨香に手を引かれて俺はリビングへと向かった。
リビングに着くとすでに朝食ができていてみんなが席について俺を待ってくれていた。
「「「「いただきます」」」」
朝ごはんをみんなで囲んで食べていると気持ちも落ち着き始め俺は昨日のことを両親に話そうと箸を止めた。
「昨日はごめん。ちょっと友達と喧嘩してそのまま気持ちが晴れるまで散歩しようと思ってたら、雨に降られちゃって...」
少し言葉を濁しながら、昨日のことを話す俺に両親は起こるでも心配するでもなく優しくこういった。
「多感な時期だから細かいことは言わないけど、梨香が心配するから連絡だけはしてあげて」
細かく追究してきたらどうしようかなんて俺の心配は杞憂に終わり、俺はただただ両親の暖かさに改めて触れることとなった。涙が出そうになるのをぐっとこらえ、食器をシンクに運び俺は部屋に戻った。




