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十二話

 翌日、休日の昼下がり電話のコールに昼食を取る手が止まる。

 スマホの画面にはライチの文字。どうせ今日も課題のことだろうなと電話に出る。そんな俺に衝撃を走らす言葉が電話越しにライチの口から放たれた。

「俺、山根さんに告白された。」

「え、山根ってあの生徒会の山根蒼衣さん?」

 ライチが告白されたという事実よりも、山根蒼衣がライチに告白をしたということが一番の衝撃だった。

 普段からライチの周りでアンテナを張っている俺は、ライチに好意を寄せている人が何となくわかるし、他人からの矢印に鈍感なライチがそれに気づかないように、根回しをしたりもしてた。

 だからこそ、まったくと言っていいほどノーマークだった山根蒼衣が、ライチに好意を持っていたことに驚いた。

「本当は、こういうこと人に言うもんじゃないけど、きひろには伝えておきたかったんだ」

 電話越しでもライチがはにかんでいるのがわかる。声が出ない。スマホを握る手に無意識に強くなる。

「きひろ?聞いてるか?」

 ライチの呼びかけにふと我に返る。

「え、あぁ。てかOKしたの?」

「うん、その、付き合うことになった。」

 少しづつ小さくなっていくその声だけで脳みそが沸騰しそうになる。耳まで赤くなったライチが、容易に想像できてきまう。多分電話でなかったら間違いなく俺は、どうにかなっていた。そんな俺の感情に蓋をし、精一杯にいつも通りの演技で少し茶化しを入れて祝福を贈った。

「よかったじゃん。今度は長続きするといいな。」

「もっと素直に祝福でできないのかよ。でもまぁありがとな」

 そんなライチの嬉しそうな声を聴いているのがつらくなり、半ば強引に電話をきりあげた。

 電話を切りあげたとて、知ってしまった事実が消えるわけでも、変わるわけでもなく俺の中では、好きな人が幸せになることを素直に祝福したい気持ちと、自分のものをとられたような憎しみにも近い気持ちなど、様々な感情が入り混じりどんどんと増幅していった。

 今までと違うライチの反応が今は無性に腹立たしかった。今まで付き合うことになった時は、お菓子を買ってもらった子供のような喜び方をしていたのに、あんな恥じらい交じりの喜び方をするライチは見たことがなかった。

 わかっている。俺のこの怒りがお門違いなことが、だからこそ悔しかった。

 行き場のない怒りをどうすることもできず、握っていたスマホをソファに投げつける。誰もいない部屋で一人俺はどうすることもできず止まっていた昼食を再開させた。

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