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十一話

 体育祭前では打ち上げに行こうなんて話があったが、体育際で惜敗し、お葬式ムードの教室でそんなことを口にする者はいなかった。

 結局打ち上げの話はなかったことになり、俺たちはいつもの四人で集まって、回転寿司を食べに行く運びとなった。

 店に入った時こそは負けムードが俺たちの席の周りに漂っていたが、そんな空気は徐々になくなっていき、お皿の枚数が二十枚に行く頃には高校生らしいというのはなんだかおかしな気もするが、お店側に迷惑をかけない範囲で最大限の盛り上がりを見せた。

 最終的に皿の総数は八十枚を超え各々が食べたデザートを含めると、会計は一万円を超えていた。

 そのままの流れで解散することなどできずに、俺たちの足は近所の公園へと向かっていた。夜の涼しい風が首筋を撫でる。静かな夜道に自転車を押す音だけが響き、感傷に浸りたくなるような空気が流れる。そんな空気に感化されたかのようにライチがポツリとこぼす。

「最後の体育祭だったし勝ちたかったなぁ」

 全員が驚いたような顔をしてライチの方を見る。いつの間にか自転車を押す足が止まっていた。

「え、何?」

 全員の視線に気づいたライチも足を止める。何かおかしなこと言ったか?と言わんばかりの表情で俺たちを見つめ返す。

「いや、お前がそんな事言うとは思わなかったから」

 清信が俺たちの意見を代表するかのように口を開く。

 確かに基本的に勝ち負けではなく、己が楽しめたか、全力だったか否かでしか物事を考えていなさそうなライチが、そんなことを言うとは誰一人思っていなかった。

「いや、俺だって勝ちたいって思ったりするよ」

「特に今回は最後だったし、きひろと同じクラスだったし」

 突然の言葉に心臓がドキッとはねる。少し気恥しそうなライなんだそと尻すぼみになっていくライチの声も相まって、二人きりだったら告白だと勘違いしていてもおかしくなかった。そんな俺の思考を叩き切るように山村が笑い声をあげる。

「プハハハ、なんだそれ乙女かよお前」

「別にいいだろ!幼稚園からずっと一緒だけど、同じクラスになること多くなかったんだよ!」

 見馴れた光景に俺も清信も笑みがこぼれる。和気あいあいとした雰囲気で、星が輝く空の下を歩いて行った。

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