第八話:闇の門とかいうヤバいフラグに胃が死にそう
「闇の門!? 何!? 俺、こんなファンタジー大戦、望んでねえよ!」
ルミエール王国の建国記念舞踏会。シャンデリア輝く王宮の広間は、さっきの賊の襲撃で大混乱だったけど、今はもっとヤバい状況だ。床に不気味な紋様が浮かび、俺——佐藤悠斗、いや、悪役令嬢イザベラ・フォン・クロイツェルの腕の刻印がビリビリ光ってる!
「これ、絶対魔導書と関係あるだろ! 試練とかやめてくれ、俺の胃、もう限界!」
サファイアブルーのドレスを握りしめ、俺は逃げ場を探してキョロキョロ。
第一王子ルーカスが衛兵を指揮しながら叫ぶ。
「全員、離れろ! これは闇の門の兆候だ! イザベラ、近づくな!」
(婚約者、めっちゃカッコいいけど、近づいてねえよ! 俺が巻き込まれてるんだ!)
第二王子カイザーはニヤニヤしながら短剣を構える。
「イザベラ嬢、ピンチだけど、なんかワクワクするね!」
「ワクワクしてる場合か! てか、お前、楽しすぎだろ!」
ヴィクター・フォン・グレンツェル、黒髪灰目の冷酷イケメンが俺の前に立つ。
「イザベラ、刻印が反応しているな。魔導書の力だ。隠すな、話せ」
「隠してねえ! 俺、知らねえんだよ!」
(いや、貴族っぽく!)
「ヴィクター様、わたくし、何も存じませんわ…!」
レオン・ヴァルド、黒髪赤目の暗殺者風イケメンが俺の横にスッと現れる。
「令嬢、刻印が光ってるってことは、魔導書が近くにある証拠だろ? 持ってるんだろ?」
「レオン! お前、味方だろ!? 疑うな!」
(やばい、みんな俺が魔導書持ってるってバレバレじゃん!)
その時、金髪の美少女——ゲームのヒロイン、エレナ・リリエールが怯えながら俺に近づいてくる。
「イザベラ様…私、怖いけど…何か手伝えることがあれば…!」
「エレナ!? ヒロイン、なんで俺に絡む!? ゲームじゃ敵だろ!」
でも、エレナのキラキラした瞳見てたら、なんか悪い気しない…。
「え、う、うん…ありがと、エレナ。とりあえず、離れてて!」
(やばい、ヒロインと共闘フラグ!? シナリオ、どんどんズレてる!)
突然、床の紋様が真っ赤に光り、ゴゴゴって不気味な音が響く。
「うわ! 何!? 地震!?」
ルーカスが叫ぶ。
「闇の門が開く! 魔導書の力が暴走している! イザベラ、刻印を抑えろ!」
「抑えろって、どうやって!? 俺、こんなファンタジー知識ねえよ!」
腕の刻印が熱くなり、ビリビリ電気が走るみたいに痛い。
(これ、マジでヤバいんじゃ…!)
レオンが剣を構えながら言う。
「令嬢、魔導書を持ってないなら、刻印が反応する理由を説明しろよ」
「だから、知らねえって! てか、お前、ほんとに味方!?」
ヴィクターが冷たく割り込む。
「イザベラ、クロイツェル家とグレンツェル家の盟約を思い出せ。刻印は魔導書の鍵だ。君がその力を使えるはずだ」
「盟約!? 鍵!? 俺、そんな設定知らねえよ!」
その瞬間、床の紋様から黒い霧が噴き出し、会場が暗闇に包まれる。貴族たちが悲鳴を上げ、衛兵たちが慌てて松明を掲げる。
霧の中から、フードをかぶった賊のリーダーらしき男が現れた。
「イザベラ・フォン・クロイツェル、刻印の者よ。魔導書を渡せ。さもなくば、この場で全てを終わらせる」
「終わらせる!? 何!? 俺、ただのサラリーマンだぞ!」
ルーカスが剣を構えて前に出る。
「貴様、何者だ! 魔導書を狙う組織の首領か?」
賊のリーダーが低い笑い声を上げる。
「首領? ふん、我々は闇の使者だ。ルミエール王国の偽りの歴史を暴くために、魔導書が必要なのだ」
「偽りの歴史!? 何!? また新情報!?」
カイザーがニヤニヤしながら短剣を投げる。賊のリーダーが軽く避けるけど、カイザーは楽しそう。
「イザベラ嬢、めっちゃモテモテだね。こんなヤバい奴らにまで狙われてさ!」
「モテてねえ! 命狙われてるんだよ!」
ヴィクターが俺の腕を掴む。
「イザベラ、刻印を制御しろ。さもなくば、闇の門が完全に開き、王国が滅ぶ」
「滅ぶ!? そんなスケールでかい話、俺に振るな!」
でも、腕の刻印がどんどん熱くなり、なんか頭に変な声が響いてくる。
『刻印の者よ、真実の鍵を開け…』
「うわ! 魔導書の声!? やめろ、俺に話しかけんな!」
エレナが俺の手を握ってくる。
「イザベラ様! 私、信じてます! イザベラ様なら、きっと大丈夫!」
「エレナ!? ヒロイン、なんでこんな良い子!? ゲームと違いすぎ!」
エレナの純粋な瞳に、なんか心が落ち着く…けど、状況は全然落ち着かねえ!
レオンが賊のリーダーに突進。剣が火花を散らす。
「令嬢、時間稼ぐから、なんか考えろよ!」
「考えるって、何!? 俺、ただのサラリーマンだぞ!」
でも、頭に浮かんだのは、魔導書のページ。
『刻印の者は、過去の盟約を解く。だが、裏切りが真実を覆う』
「盟約…裏切り…。クロイツェル家とグレンツェル家…?」
ヴィクターが俺をじっと見る。
「イザベラ、思い出したか? 両家は魔導書を守る盟約を結んだ。だが、裏切り者が闇の門を開こうとしている」
「裏切り者!? 誰!? てか、俺、そんな大事な話、初耳だよ!」
突然、刻印がピカッと光り、俺の体が勝手に動く。
「!? 何!? 俺、動かされてる!?」
腕の刻印が熱くなり、床の紋様と共鳴するみたいに光が広がる。
賊のリーダーが叫ぶ。
「その力だ! 刻印の者よ、闇の門を開け!」
「開かねえよ! 俺、こんなヤバい門、絶対開かねえ!」
ルーカス、ヴィクター、レオンが一斉に賊のリーダーに襲いかかる。カイザーは衛兵を率いて他の賊を抑える。エレナは俺の手を握ったまま、怯えながらも離れない。
「イザベラ様、頑張って…!」
「エレナ、めっちゃ良い子! でも、俺、どうすりゃいいんだ!?」
その時、刻印から光が爆発的に広がり、会場が真っ白に!
「うわ!? 何!? 俺、死ぬ!?」
光の中、謎の声が響く。
『刻印の者よ、試練の時だ。真実の鍵は、君の心の中にある』
「試練!? 心!? やめてくれ、俺の心、ただのサラリーマンだぞ!」
光が収まると、会場は静まり返り、賊たちは消えてた。床の紋様も消え、闇の門の兆候は止まったみたい。
でも、俺の腕の刻印はまだ光ってる。
ルーカスが息を切らしながら言う。
「イザベラ…君が、闇の門を抑えたのか?」
「俺!? いや、知らねえ! 勝手に光っただけだよ!」
ヴィクターが冷たく言う。
「刻印の力が反応した。イザベラ、君は魔導書の鍵だ。もう隠せない」
レオンがニヤリと笑う。
「令嬢、なかなかやるじゃん。俺、ますますお前に興味出てきたぜ」
カイザーが茶々入れる。
「イザベラ嬢、めっちゃヒーロー! 惚れちゃうね!」
エレナが目をキラキラさせて言う。
「イザベラ様、すごい…! 私、もっとイザベラ様のこと知りたいです!」
「みんな、落ち着け! 俺、ただバッドエンド回避したいだけなのに!」
その夜、屋敷に戻った俺は、魔導書を手にベッドに突っ伏す。
「闇の門、試練、真実の鍵…。情報量多すぎ! 俺の頭、処理しきれねえ!」
そこへ、リナが慌てて部屋に飛び込む。
「お嬢様! 緊急です! 王宮から新たな使者が!」
「また!? 今度は誰!?」
「国王陛下直々の召喚です! イザベラ様、至急王宮へ!」
「国王!? ゲームのラスボス級キャラ!? 俺、こんな大物に会う準備ねえよ!」
窓からレオンの声。
「よお、令嬢。国王って面白そうだな。俺も行くぜ」
「レオン!? またお前なの!? 」
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