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第五話:冷酷公爵跡取りとカオスな対面

「俺の胃、もう限界なんですけど!? イケメン追加すんな!」


クロイツェル家の屋敷、俺の部屋。俺——佐藤悠斗、いや、悪役令嬢イザベラ・フォン・クロイツェルは、窓から勝手に侵入してきたレオン・ヴァルドを睨みながら叫んでる。

こいつ、黒髪赤目の暗殺者風イケメンで、昨日賊から俺を助けてくれたけど、「獲物」とか言って怪しさ全開だ。

「レオン、いい加減にしろ! なんでお前がヴィクターとの会談にまで首突っ込むんだよ!」

レオンはニヤニヤしながら窓枠に腰掛ける。

「ほら、令嬢。お前、魔導書でヤバい状況だろ? 俺がいないと、また何か起きるぜ」

「何か起きるって、お前が原因じゃねえか!」


そこへ、メイドのリナが息を切らして部屋に飛び込んできた。

「お嬢様! ヴィクター・フォン・グレンツェル様が応接室でお待ちです! 至急ご準備を!」

「うわ、ほんとに来た! ヴィクターって、ゲームのあの冷酷なライバルキャラだろ!?」

ゲーム『キラキラ☆ロイヤルハート』では、ヴィクターは公爵家の跡取りで、イザベラを嫌う高慢なイケメン。ヒロインをいじめるイザベラを糾弾する役割だったはずなのに、なんで俺に会いに!?

「リナ、ヴィクターって何の用!?」

「そ、それが…魔導書の件で、イザベラ様に直接話したいと…!」

「また魔導書!? やばい、みんな俺が持ってるってバレてる!?」

(隠し扉にしまったけど、ほんとに安全かよ…!)


レオンがクスクス笑う。

「イザベラ、顔が真っ青だぞ。ま、俺が一緒なら怖いもんないだろ?」

「怖いのはお前だよ! 勝手に付いてくんな!」

でも、リナにドレスを着せ替えられながら、俺の胃はさらにキリキリ。今日のドレスは深紅のゴージャスなやつ。鏡に映るイザベラの美貌は完璧だけど、俺の心はボロボロだ。

(王子二人、レオン、そしてヴィクター…! 俺、こんなイケメンだらけの状況、耐えられるか!?)




応接室に通されると、そこには予想通りのイケメンが待ってた。

ヴィクター・フォン・グレンツェル。黒髪に灰色の瞳、鋭い目つきでスーツがビシッと決まった貴族の鑑。ゲームじゃイザベラを「高慢な女」と蔑む冷酷キャラだ。

「イ、イケメンの圧、ヤバい…! いや、俺は男だ! いや、今は女…!」

心の中で葛藤しつつ、貴族令嬢らしくお辞儀。

「イザベラ・フォン・クロイツェル、参上いたしました、ヴィクター様」

(声、可愛すぎ! 毎回慣れねえ!)


ヴィクターはソファに座ったまま、俺をじっと見つめる。

「イザベラ、噂通り美しいな。だが、その裏で何を隠している?」

「!?」

(いきなり核心突いてくる!? こいつ、怖え!)

「わ、わたくし、何も隠してなど…!」

しらばっくれようとした瞬間、レオンがドサッと隣のソファに座る。

「よお、公爵の坊ちゃん。イザベラの護衛、レオン・ヴァルドだ。よろしくな」

ヴィクターの目が一瞬鋭くなる。

「護衛? クロイツェル家にそんな男がいたとは聞いていない。貴様、何者だ?」

(ほら、レオン! お前が勝手に絡むからややこしくなる!)


レオンはニヤリと笑う。

「ただの流れ者さ。イザベラが可愛いから、守ってやるってだけ」

「可愛い!? てめえ、ふざけんな!」

思わず素で叫ぶと、ヴィクターとレオンが同時に「は?」って顔。

(やばい、イザベラ口調!)

「その…レオン様は、わたくしを助けてくださった方ですわ!」

必死で取り繕うけど、ヴィクターの目がさらに怪しそうに細まる。

「ふん。イザベラ、随分と変わったな。以前の君は、こんな得体の知れない男を側に置くような女ではなかった」

(以前のイザベラ!? やばい、ゲームの傲慢なイザベラの設定、忘れてた!)


ヴィクターが立ち上がり、俺に近づいてくる。

「イザベラ、魔導書の話をしよう。クロイツェル家の刻印を持つ君が、その在処を知っているはずだ」

「刻印!? またそれ!?」

俺は無意識に腕を隠そうとしたけど、ヴィクターの視線が鋭すぎて動けない。

「隠すな。君の腕に刻まれた紋様は、魔導書の鍵だ。クロイツェル家とグレンツェル家は、かつてその秘密を共有していた」

「え、共有!? 何!? ゲームにそんな設定なかったぞ!」

心の中で叫びつつ、俺はなんとか平静を装う。

「ヴィクター様、そのような話、わたくし初耳ですわ…」


レオンがニヤニヤしながら口を挟む。

「へえ、公爵の坊ちゃん、ずいぶん詳しいな。魔導書、欲しくてたまらないって顔だぜ」

ヴィクターがレオンを睨む。

「黙れ、流れ者。貴様が魔導書を狙っている可能性も否定できん」

「はは、鋭いね。けど、俺はイザベラに興味があるだけさ」

「興味!? またフラグ!? やめろ、俺は男だ!」

(いや、今は女…! もう頭ぐちゃぐちゃ!)




その夜、屋敷に戻った俺は、魔導書を手にベッドに突っ伏した。

「ヴィクター、めっちゃ怖え…! あの冷たい目、ゲームそのまんまだよ!」

でも、ヴィクターの言った「クロイツェル家とグレンツェル家の共有」って言葉が気になる。

「ゲームにそんな設定なかったのに…。この世界、どんどんズレてきてるぞ…!」

魔導書を開くと、またしてもページが勝手にめくれる。

『刻印の者は、過去の盟約を解く。だが、裏切りが真実を覆う』

「盟約!? 裏切り!? また新しいフラグ!? やめてくれ、俺の胃が死ぬ!」

腕の紋様は、さっきより強く光ってる。触ると、なんか熱いような…?

「これ、ほんとに俺の体に何かヤバいもん宿ってるんじゃ…?」


そこへ、リナが慌てて部屋に飛び込んできた。

「お嬢様! 大変です! 王宮から緊急の招待状が!」

「また!? 今度は何!?」

「舞踏会です! ルミエール王国の建国記念を祝う大舞踏会に、イザベラ様が特別に招待されました!」

「舞踏会!? ゲームのあのイベント!?」

ゲームでは、舞踏会がイザベラの運命を決める重要イベント。ヒロインに王子を奪われ、イザベラが悪役ムーブ全開でやらかす場面だ。

「やばい、こんな早い段階で舞踏会!? 俺、絶対やらかすパターンじゃん!」


窓の外から、聞き覚えのある声。

「よお、令嬢。舞踏会って面白そうだな。俺も連れてけよ」

「レオン!? またお前!? なんで毎回窓から!?」

レオンがヒョイと部屋に入ってくる。

「舞踏会なら、魔導書を狙う奴らも動きそうだ。イザベラ、俺がいないとマジでヤバいぜ」

「ヤバいのはお前だよ! てか、俺、こんなイケメンだらけの舞踏会、精神持つかな!?」


さらに、リナが追い打ちをかける。

「お嬢様、ヴィクター様からも舞踏会での同伴のお申し出が…!」

「ヴィクター!? なんで!? 俺を嫌ってるはずなのに!?」

レオンがニヤリと笑う。

「ほお、公爵の坊ちゃん、動きが早いな。イザベラ、どっちと踊るか決めなきゃな」

「踊る!? 俺、ダンスなんて知らねえよ! てか、俺の人生、ハードモードすぎだろ!」

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