第35話 決意
帰って来た彼は、直ぐに会ってくれた。
私に、中絶の考えは,無くなった。
彼の気持ちに、涙が止まらかった。
でも、大学では、卒業の論文で忙しいのに大丈夫なのだろうか?
「ねえ、無理してない。」
「大丈夫。
卒論も、メンバーがカバーしてくれてるしね。
元々、初期の時は、誰も来なくて俺一人だったから何も言えないのだろう。」
「バイトも、増やして、体には気を付けてね。」
「うん。」
彼は、無理していても大丈夫だといつも言う。
しかし、それは突然やって来た。
「大丈夫なの?
顔色、悪いよ。」
「ごめん。
会いたくて、来たけど・・・
体が動かないや、ちょっと休んだら大丈夫だから。」
そういうと、車のシートを倒すと目を瞑って声だけの会話をする。
もう、こんなに疲れてるなら家で寝ればいいのに。
私は、そんな彼を見ながら髪をかき上げて撫でる。
寝てしまったようだ。
私には、迷いがあった。
職場の人から誘いと言うか告白されていたのだ。
でも、断ろう、もう手遅れだ。
それからも、学校の空き時間や夕方から遅くまで、アルバイトに行く彼をこの人で良かったと思わずにいられなかった。
ある日の事、少ないけど、彼の家で親戚が集まり挨拶をした。
彼は、恥ずかしそうに挨拶をして私の薬指に指輪をはめてくれた。
ここでは、泣かない。
会が終わると、どうしたのこれ。
「実は、妹さん(瞳の)に頼んで頼んで来たんだ。
瞳と指の大きさが、変わらないって。」
小さいけど、ダイヤみたいな石がちりばめてあって、金のチェーンが巻かれていた。
出来上がるまで、時間がかかったようだ。
びっくりだ。
思わず、涙があふれて止まらない。
彼には、チェーンが無かったが、お揃いだ。
それだけで、胸がいっぱいになる。
今度は、私が元気な赤ちゃんを産む番だ。
私は、そう心に誓った。
それからも、彼は学校にアルバイトに忙しい日を送っていた。
面接した会社から、内定を貰い、私と子供の事も伝えたが問題なく就職できると言っていた。
心の痞えが、また一つ消えていった。
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