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ディサイド・デュラハン  作者: 星川レオ
第1部 始まりのディサイド
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53章Side:潤奈 後編 永遠の助っ人

「…グルーナ、さん…?」

「大丈夫、潤奈さん?」


 グルーナは潤奈の元へ駆け寄った。ルレンデスも抱えていた潤奈を下ろし立たせる。潤奈はきょとんとしてグルーナを見る。


「…あ、ありがとうございます。」

「グルーナですってぇっ…?何でここに…!?」

「ルレンデス、姿が変わって…?まさか…ディサイドを…?」


 シユーザーとマーシャルも駆けつけたグルーナとルレンデスを見て困惑している。


「グルーナさん、どうしてここに…?」

「言ったでしょ?あなたは外宇宙で初めてできた私のファン第一号だもの!ほっとける訳ないじゃない?」


 グルーナは潤奈に対して右目でウインクをする。


「…って、かっこつけてるけどね!実はこれからどうしようかと考えてたら、今朝の騒ぎじゃない?気になってデュラハン・パークまで見に来たらセンスのない島が何か浮かんでるし!様子を見ようと思ってたら、また君がバトっててさ。君がピンチに陥ってるのを見たらいても立ってもいられなくて!気づいたらここに来てた、って訳!」

「…グルーナさん…。」

「…それに昨日のお礼がしたくて…。あなたの言葉、心に染みたわ…。あなたのブレイブな行動で周りの私のファンたちも精一杯私を止めてくれた…。私はそれに応える事にしたの。…ありがとうね。」


 グルーナは潤奈の頭を優しく撫でた後、シユーザーたちの方を見た。


「グルーナ、私たちはあなたが芸術品の永久保存を求めていたから、デストロイ・デュラハンを渡したのですよ?恩を仇で返すつもりですか?」

「だまらっしゃい!あんたたちの誘惑に負けた私が弱くて、スモールで、馬鹿だったってだけの話よ!」

「無理してはなりませんよぉっ、Ms.グルーナ?ニンゲンというのは昨日今日で本質を変える事などできません!あなたはまだその手に求めているはずでしょう?芸術品の永久保存を!」


 シユーザーはハートに正直になれよと言いたげに自分の胸の顔を軽く叩く。


「…確かに私はまだ、自分の芸術が永久に保存できる方法を諦めきれた訳じゃない…。」

「…グルーナさん…。」


 潤奈は心配そうにグルーナを見る。グルーナは優しい表情で潤奈を見て頷き、再びシユーザーたちを見た。


「…だけど、世界を、誰かを犠牲にしてまで叶える事じゃない!そんな当たり前の事を私はわからなかった…!ほんっと愚かだったわ!だから、私はこの戦いが終わったら、警察に自首するつもり!」

「…グルーナさん、えっと…。」


 潤奈はグルーナに掛ける言葉を見つけられなかった。


「…いいの、潤奈さん。当然の罰だもの…。でも、それで終わる私じゃないわよ?いつか罪を償い終わったら、今度は誰にも迷惑をかけずに永久を求めるつもり!それが私の求める永遠の探求だもの!私、諦めが悪いんだから!私の才能も、私のファンもエターナル!絶対に枯れたりなんかしないんだから!」

「なるほど、あなたの敵対意思は理解できましたよ、グルーナ!また私の楽しみを邪魔する部外者が…!不愉快です!消えなさい!」


 シユーザーはこれ以上のグルーナとの会話は無意味だと思い、両手の矢印光線銃を構えた。


「おっと、グルーナに指一本触れさせないよ!そぉれ!」


 ルレンデスが肩の大きな映画フィルムからテープを前方に伸ばし、シユーザーとラクベス、マーシャルの胸周りを縛り付けた。


「なっ…!?動け…!?」


 ルレンデスはテープを切り、グルーナの前に立つ。


「かっこよかったよ、グルーナ!僕も君もエターナル!二人は永遠に不滅さ!」

「サンキュー!頼りにしてるわ、ルレンデス! …ん?」


 グルーナの足元に何ががぶつかった。ピンクの石が落ちているので拾って見た。


「この石って確か、死にかけたルレンデスの胸につけたのと似て…。」


 その時、グルーナの持っていたデバイスが輝き出す。道人のいる方角から赤い糸が飛んできて、十糸(といと)姫が現れる。


「グオッ!?ドウクツデアッタヤツ、マタデタ!」

「一体何なんですか、この女はぁっ!?」


 ラクベスは十糸(といと)の森の洞窟、シユーザーは御頭(おがしら)デパートでの出来事を思い出す。


「ワオッ!?何?このビューティフルな大和撫子(やまとなでしこ)は!?」

「…十糸(といと)姫と言って、私たちに力を与えてくれる人なんです。」

「へぇ〜っ…!アンビリーバボー…!」


 潤奈がグルーナに説明した後、十糸(といと)姫は微笑む。糸とデュラハン・ハートが合体し、グルーナのスマホに赤いストラップがついた。


「何、何?イベント盛り沢山?よぉ〜し、乗ってきたぁ〜っ…!」


 グルーナのデバイスにディサイド・ヘッドが追加され、スマホにデュエル・デュラハンの実体化可能画面が表示される。


「何かよくわかんないけど、まずはあの子を助けないと!遅れてごめんね、ニンジャさん!」


 グルーナは発作を起こして倒れていたフォンフェルの元へルレンデスを向かわせる。


「…グルーナさん、デバイスの使い方は…。」

「大丈夫!昨日あなたたちを見てたからわかるわ!スマホをデバイスと合体して、ヘッドチェンジね!」


 グルーナは自分のスマホをデバイスと合体させて、首元にネックレスを出現させる。フォンフェルを助けるためのヘッドを思い浮かべ、カードを実体化させた。


「ヘッドチェーンジ!クリーナーディスク!」

『あなたは壊れたと判断した物を直すのを諦めて捨てられますか?』

「私にそれ聞く?捨てられる訳ないっしょ!」

『承認。』


 ルレンデスに緑色のゴーグルをかけた頭が装着され、肩についていた巨大な映画フィルムが外れて宙に浮く。新たに両肩にラメが入った大きな透明ディスクがつく。


「もう大丈夫だよ?今、楽にしてあげるから!」


 ルレンデスは右肩のディスクを外して自分の前に浮かせる。両手でディスクを掴んだ後、ディスクを力強く右回転させる。するとディスクから光の粒子が発生し、フォンフェルの身体に当てる。フォンフェルの身体から傷がなくなっていく。


「これは…?私の身体が、動く…!これなら戦線復帰できます、主!」

 

 フォンフェルは高くジャンプし、立ち上がってみせた。


「…すごい…!回復できるヘッド…?」

「私の自慢のコレクションよ?超絶レアなんだから!後一回分リペアできるよ?回数方式で時間制限ないんだ、これ。頼もしいっしょ?」

「…はい…!はい、グルーナさん…!」


 潤奈は目を輝かせ、グルーナを見る。


「よぉし、私の可愛いファンをいじめた代償、高くつくんだから!覚悟なさい!」

「オォッ!ヤットキレタ!」


 ラクベスは身体に巻き付いたフィルムテープを力付くで切った。


「ヨクモヤッテクレタナ!ユルサン!」


 ラクベスはルレンデスに向かって突撃する。


「お、おい!こらっ!私たちのテープも切っておくれよ!」


 シユーザーの言葉は届かず、ラクベスは前進する。


「…行くよ、フォンフェル!」

「いつでもどうぞ、主!」


 潤奈は元気になったフォンフェルに遠慮なくディサイド・ヘッドのカードを実体化させて読み込ませた。


『ディサイドヘッド、承認。この承認に問いかけは必要ありません。』

「フォンフェル【霧幻】、推参!」


 フォンフェル【霧幻】に姿を変え、日本刀とビームカタナを構え、両肩の巨大手裏剣をラクベスに向かって飛ばし、潤奈がデバイスで巨大手裏剣を操作する。


「ムダダ!キョウカサレタオレニ、モウソレハツウヨウシナイ!」

迂闊(うかつ)に突っ込んじゃ駄目でしょう、ラクベス!」


 シユーザーとマーシャルもやっとフィルムテープを切る事ができた。シユーザーもラクベスと合流し、巨大手裏剣二つを二丁の矢印光線銃で何とか叩き落とそうとする。


「私たちもさっき出たばかりのディサイドヘッド、使っちゃおっか!ルレンデス!」

「ぶっつけ本番大歓迎!僕らの芸術、見せつけよう!」

「ヘッドチェーンジ!ハイディスクプレーヤーヘッド!」

『ディサイドヘッド、承認。この承認に問いかけは必要ありません。』


 ルレンデスに再生機がついた頭が装着される。ディスクトレイがついた新たな胸部装甲、両肩に巨大な、両足に小型な虹色のディスクがつく。右手にハンドカメラを持った。


「ワオッ!?盛りまくりじゃん!ぶちかましちゃってぇーっ、ルレンデス!」

「OK、OK!まずは撮影から!」

「フレーミングよ、ルレンデス!」


 HD(ハイディスク)プレーヤールレンデスがハンドカメラを巨大手裏剣に向けるとゴーグルに巨大手裏剣のデータが送られてくる。


「撮影完了!ディスク生成!」


 ハンドカメラを腰のベルトに一旦つける。両足の小型ディスクが上に射出され、両手でキャッチして、ディスクの穴に人差し指を入れてくるくる回す。両足にすぐ補充の小型ディスクが装着される。


「手裏剣ディスク、セーットオン!」


 胸のディスクトレイが開き、右手のディスクを入れた後、すぐにまた開く。今入れたディスクがなくなっていて、左手のディスクもすぐに入れた。


「録画再生!行っけぇっ!」

 

 頭の再生機から光が放出され、巨大手裏剣が二つ構成されてラクベスとシユーザーの元へ飛んでいく。


「オ!?シュリケン、フエタ!?」

「何ですかぁっ!?」

「驚いた?もっと驚かせてあげる!」


 HD(ハイディスク)プレーヤールレンデスは今度はラクベスを撮影する。


「撮影完了!ディスク生成!ラクベスディスク、セーットオン!」


 ディスクを生成し、また胸にディスクを読み込ませる。


「録画再生!二人のラクベスさん、行っけぇっ!」


 コピーラクベスが二人出現し、ラクベス本人とシユーザーにタックルをお見舞いした。


「ぐげっ!?」

「グオォッ!?オレガ、フタリィッ!?」

「」


 コピーラクベスは倒れた二人にマウントパンチを繰り出す。


「ウワァッ!?ヤメロ、オレタチ!ヤメルンダ!」

「飼い犬に手を噛まれるとはこの事かぁぁぁぁぁ〜っ…!?」

「…ルレンデス、すごい…!」

「かっこいいじゃん、ルレンデス!インスピレーション、湧いてきたぁっ!」

「くっ…!姉さん…!」


 マーシャルはシユーザーとラクベスを助け出すために潤奈とグルーナを狙い、右手から光弾を発射する。


「おっと、それは駄目。」


 グルーナはスマホデバイスから光の玉を出し、うさ耳が生えたデュエル・デュラハン「キャロルナ」を実体化させる。マーシャルの光弾を鋼鉄製スケッチブックで防いだ。


「なっ…!?」

「へぇ〜っ、デュエル・デュラハンの実体化ってこんな感じ。細部まで再現されてるんだ…。」


 グルーナは実体化したキャロルナを観察する。


「あのご主人、恥ずかしいんですけど…。」

「あ、ごめんごめん。つい…。キャロルナ、あの女の人が私たちに攻撃して来ないように守ってくれる?」

「私、戦闘用じゃないんだけどな…。」

「わかってるよ。私たちを守ってくれたらいいから。」

「わかった、何とか頑張ってみる!」


 キャロルナはでかい筆を取り出し、宙にコンドルと狐を描いて実体化させ、マーシャルに仕向ける。


「なっ…!?奇妙な術を…!」


 マーシャルは後ろに下がり、襲ってくるコンドルと狐の相手をする。

 コピーラクベスはシユーザーの巨大ハンドを引きちぎり、ぶん投げた。


「ぎゃあっ!?私の新装備がぁっ!?こうなったら…!」


 シユーザーは矢印光線銃を取り出そうとするが、手裏剣が飛んできて弾かれる。


「なっ!?」

「これはお借りします。」


 フォンフェル【霧幻】はそう言って後ろに下がった。


「お、おのれ、ニンジャァーッ!!」

「さぁ、これでとどめと参りましょう、ルレンデス!」

「うん、任せてよ!」


 フェルフェル【霧幻】は高く飛び、腰の巻き物を開いて宙に浮かせて両手で印を結ぶ。


「蒼・界・牙・星・甲・太・騎・装!はっ!」


 フォンフェル【霧幻】が両手を前に出し、シユーザーとラクベスを水の魔人の体内に閉じ込める。コピーラクベス二人はシユーザーとラクベスを羽交い締めにする。


「ルレンデス、この矢印光線銃をコピーできますか?」

「御安い御用さ!」


 HD(ハイディスク)プレーヤールレンデスは矢印光線銃を撮影し、コピーした。


「…さっきはよくも私を苦しめてくれましたね。…これはお礼です!」

「ぼばっ!?びゃべっ…!?」


 シユーザーは叫ぶが水の魔人の中にいるので何を言っているのかわからなかった。フェンフェル【霧幻】とHD(ハイディスク)プレーヤールレンデスは両手に矢印光線銃を持ち、水の魔人の周りを駆け回ってシユーザーとラクベスに撃ちまくった。水の魔人も自分の身体をぶん殴りまくり、中のシユーザーとラクベスを宙に浮かせる。コピーラクベス二人は先に消滅した。


「あぎやゃゃゃゃゃっ…!?」

「手裏剣もつけましょう!」


 水の魔人の中に二つの巨大手裏剣も入れ、シユーザーとラクベスを斬り刻む。


「とどめは一緒に!」

「うん!」


 HD(ハイディスク)プレーヤールレンデスは両肩の巨大なディスクを外し、浮かせて自分の前に配置して高速回転させる。


「ナ、ナメルナァァァァァーッ!!グオォッ!!」


 ラクベスは両腕に力を込め、水の魔人を無理矢理こじ開けて脱出した。水の魔人が消滅する。


「おぉっ!?でかしたぞ、ラクベス!よくも…!」


 反撃に出ようとしたシユーザーだったが、目の前に巨大手裏剣二つと巨大ディスク二つが迫ってきていた。


「がぁっ…!?間に合…!?」


 シユーザーの両手両足が切断され、地面に落っこちた。目をぐるぐる回して気絶する。


「シユーザー、ダイジョウブカッ!?」


 ラクベスはよろけながらもシユーザーを両手で抱えた。

  

「…!? シユーザー様、ラクベス様!ちぃっ…!」


 マーシャルはキャロルナの実体化した動物たちの相手をやめ、シユーザーとラクベスの元へ飛び、ラクベスの肩に手を置いてワープした。


「…勝った…!やった、勝ったよ、グルーナさん!」

「やりぃっ!私たち、最高のコンビじゃん?潤奈!」

「…はい!」


 フォンフェルとルレンデスは握手をし、ディサイドヘッドが解除された。実体化したキャロルナもスマホに戻る。


「…まだ闘いは終わってない…!」


 潤奈は遠くでダジーラクと闘う道人とジークヴァルを見る。


「…行きましょう、グルーナさん!道人とジークヴァルの所へ!」

「OK!ここまで来たら、とことん付き合っちゃうから!」


 潤奈たちはダジーラクと激戦を繰り広げる道人とジークヴァルの元へと走った。

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