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ディサイド・デュラハン  作者: 星川レオ
第1部 始まりのディサイド
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49章Side:BA ジェネラルヘッド

「シユーザー様、お身体の具合はどうですか?」


 マーシャルは修理を終えてカプセルから出てきたシユーザーに身体の具合を尋ねた。


「ふふっ!ご安心なさい、マーシャル。私たちの開発した修理カプセルに一部の隙もありませんよ。ほら、この通り!」


 シユーザーは両腕を思いっきり横に伸ばすと両腕のロケットパンチが起動して壁にぶつかる。


「おっと、失礼!元気過ぎて腕が飛んでいってしまった…。失敬、失敬!」

「…行きましょう。ゴウ=カイが始まりますよ。ダジーラク様を待たせてはいけません。」


 マーシャルとシユーザーは動く床の上に立ち、大広間へと向かう。


「それでね、そこにはさかながいて…。」

「サカナ、イロンナ、サカナ。」

「いろんなさかながうたいだしてね。」

「サカナ、ウタウ?ソレ、フシギ!」

「こんどラクベスもくるといいよ。たのしいよ。」


 大広間に向かう最中、スランとラクベスが会話をしていた。


「スラン様、ラクベス様、何をしておられるのです?ゴウ=カイが始まりますよ?」」

「あ、はーい。いこ、ラクベス。」

「オウ、イコウ!スラン!」


 スランとラクベスもマーシャルとシユーザーの後ろについていく。大広間の扉の前に辿り着き、マーシャルが扉を押して開くとダジーラクが玉座に座っていた。


「ダジーラク様。シユーザー様、スラン様、ラクベス様をお連れしました。」


 マーシャルは右手を右肩に当て、お辞儀をした。


「うむ。ご苦労。では、早速ゴウ=カイを始める。集え。今ここにありし、ヴァエンペラのシチゴウセン達よ。」


 ダジーラクがマントをたなびかせ、右手を前に出すとシチゴウセンが集結する。


「ライガ、とっくにお着きだぜ?」

「ダーバラ、天よりここに。」

「レイドルク、健在。」

「…ディアス、出席。」

「ヴァエンペラの元へ集いしシチゴウセンたちよ、よくぞ参った。よき、頭を外すがよい。」


 ライガたちは頭を外し、それぞれ自分の専用の柱に背をもたれかかる。ライガが口笛を鳴らす。


「さすがに今日は豪華だねぇ〜っ!シチゴウセン、勢揃いときた!」

「まずは此度のデストロイ・デュラハンの件の報告をせよ、マーシャル。シユーザー。」


 マーシャルとシユーザーはダジーラクの右に移動し、ライガたちを見て話す。


「はい。本日はグルーナというニンゲンに与えたダビングルレンデスを道人たちに仕向けました。グルーナがファッションショーなるものをやると急に言い出した時は困りましたが…。」

「いやぁっ、なかなか楽しめましたよ。私もニンゲンに変装して見てましたが、皆華やかだった…。ジュンナも参加していましたし、マーシャル。あなたも出たら良かったのに。」

「冗談は程々に、シユーザー様。」


 マーシャルは少し苛立ちを感じたが、報告を続ける。


「デストロイ・デュラハンに意思を持たせたのは良かったと思われます。ニンゲンの日頃外には出せず、我慢している感情を刺激して増長させ、悪の芽を開花させる…。デストロイ・デュラハンがニンゲンの悪しき部分を肯定する事でニンゲンの凶暴な部分をより際立てる事が可能となりました。」

「私の理論は正しかった!私自ら出向いた甲斐がありましたよ!ニンゲンは面白い!ダジーラク様、チキュウはまだ調べたい事が山程あります!採掘星にするのはまだ早いかと。」

「デストロイ・デュラハンは我が軍の未来に役立つ優秀な兵となるかもしれん。まだまだ問題はあるだろうが、引き続き、デストロイ・デュラハンの発展に励むが良い。」

「ははっ!」


 マーシャルとシユーザーは右手を右肩に当てて頭を下げた。


「次の問題だ。ディサイド・デュラハン共が既に五人ものシチゴウセンを退けている件だ。そなたらの意見を聞こう。」

「トワマリーに愛歌、あいつらにはあたいの美しさを再度魅せつけてやらないとねぇっ…!」

「ランドレイクと深也は交戦的で血の気があって良かったのぉ。対してカサエルと大樹はわしが今まで闘った事のないタイプでこちらの二人も興味深い。奴らがどう答えを得るか…。」

「イガイトヤル、ニンジャ!イガイトヤル!アト、イトヤロウモ!」

「そう、あのハーライムとかいう部外者!今思い出しても(はらわた)が煮え繰り返りますよぉ〜っ…!」


 シチゴウセンたちは各々の因縁をダジーラクに伝えた。


「おうおう、いいねぇっ!お前らがそこまで戦う相手を意識するなんて珍しいじゃねぇか!ジークヴァルと道人たち、かなり暴れているようで何よりだぜ…!」


 ライガは両手の鉤爪を合わせて金属音を

鳴らす。


「ライガの言う通りだ。今まで数々の惑星を採掘星に変えてきたが、お前たちがここまで苦戦したのは珍しい事だ。だから、わしも一人の武人として興味を抱き、チキュウに出向く事にしたのだ。」


 ダジーラクは玉座から立ち上がる。


「本日、チキュウ時間十二時にわしはシチゴウセン全てを率いてチキュウに降り立つ!わしと共に出向き、各々の因縁相手と戦うのも良かろう!わしと共にチキュウにアイサツに行こうではないか、皆の者!」

「ははっ!我らの意思はダジーラクと共に!」


 シチゴウセンの六人は声を合わせてダジーラクに答えた。


「マーシャル、『戦島(いくさじま)』の用意は良いかっ!?」

「はい!もう要塞の隣りに配置しております!」

「シユーザー、例の催しの準備はできておるかっ!?」

「はい、ご安心を…。」


 ダジーラクは剣を抜き、天に掲げる。


「我が元に集いし精鋭たちよ!咆哮せよ!激昂せよ!チキュウに我らの恐怖を植え付ける時だ!」

「…素晴らしい演説だ、ダジーラクよ…!」


 マーシャルは突然聞こえた声に寒気を感じた。


「おぉっ、おぉっ…!ヴァエンペラ…!ヴァエンペラではありませんか…!」


 小さな火の玉が現れ、姿は見せないが、大広間にヴァエンペラの声が鳴り響く。シチゴウセンたちは慌てて(こうべ)()れる。


「…お主の生き生きとした姿を見るのは久々じゃ…。…チキュウに苦戦していると聞いて分身体を送ってみたが、増援の補充はしなくても良さそうじゃな…。」

「ははっ!何の、この程度ではまだまだ苦戦しているとは言わず!ヴァエンペラ様の精鋭部隊を呼ぶには至りませぬ!」

「…よくぞ、申した…!…本日はお主に渡すものがある…。…わしからの激励じゃ、受け取るがよい…。」


 ダジーラクの頭上に頭が出現し、その場に浮遊する。


「これは…!?」

「…マーシャルよ、チキュウの言葉では軍勢を束ね、統率する者を何と呼ぶのか…?」


 急に話し掛けられたマーシャルは慌てて自分の脳内から言葉を探る。


「はっ、『ジェネラル』かと…。」

「…わかった…。…ダジーラクよ、このヘッドの名はジェネラルヘッド…!…チキュウ侵攻の間、お主は『ジェネラル ダジーラク』と名乗るがよい…!」


 ヴァエンペラの言葉を聞いて約ニ名を除いてダジーラクたちは歓喜の声を上げた。


「ダジーラク様が、わざわざチキュウの言葉の頭を与えられたという事は…!」

「うむ、正式にダジーラク様はチキュウの侵攻をヴァエンペラに託された事になる…!」


 ダーバラとレイドルクは自分の事のように喜んだ。ダジーラクはジェネラルヘッドを手に取り、勢いよく自分の頭に装着する。ディアスだけはその様子を見て悲しそうにしていた。


「…さぁ、行くのだ、ダジーラクよ…!…チキュウの者共に恐怖を!絶望を!戦慄を…!」


 ヴァエンペラはこの言葉を発した後、火の玉が消える。


「わしはジェネラル…!ジェネラルダジーラク!!さぁ、皆の者!戦の時は来た!紛い物にバドスン・アータスの鉄槌(てっつい)を!!」


 ダジーラクは剣を前に出し、スクリーンに映るチキュウに刃を向けた。

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