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ディサイド・デュラハン  作者: 星川レオ
第1部 始まりのディサイド
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38章 明日へ向かって

 レイドルクが去った後、デュラハン・ガードナーのスタッフたちが公園の整備を始めた。右足が故障したランドレイクもジークヴァルたちに肩を貸してもらい、トラックのコンテナに乗せてもらった。ジークヴァルたちもボディを輸送トラックに乗せ、意思データをデバイスに移動する。カサエルも問題なく、意思データをデバイスに送れた。


「今回はフォンフェルがいないから俺一人かよ。ちぇっ!」


 ランドレイクはデバイスに移動できないため、一人拗ねていた。


「ちっ、しょうがねぇな…。俺がコンテナに乗って話し相手してやるよ。」

「マジですかい、船長!そいつはありがつぇっ!」

「だから、大人しく右足の応急処置を受けろよ?」

「へーい。」


 ランドレイクは機嫌を直し、台に横たわった。整備員が修理を開始し、深也は見守った。


「じゃあ、僕たちも運転席に乗ろう。」


 道人は愛歌と大樹にそう言うとトラックの運転席に向かった。


「…先程の大道芸、見事でした…。何時か私と手合わせ願いたい…。では…。」


 大樹は後ろから声が聞こえたので周りを見たが、誰もいなかった。


「何じゃ?今の小声…?どっかで聞いた事あるような…?」

「あっしも聞こえた。誰さぁ?」

「どうしたんだ、大樹?」


 道人が戻ってきて大樹に訪ねた。


「今、声が聞こえたんじゃ。」

「声?」

「あぁ、どっかで聞いた声だったんじゃが…。うーん、小声じゃったし…。」


 大樹は腕を組んで考え込んだ。


「…何かいるのかな?何かあったら事だし…とにかく、ここから早く離れよう。」

「あぁ、そうじゃな。」


 大樹は道人の意見を聞き、トラックにさっさと乗る事にした。

 トラックは発車し、デュラハン・パークの会社エリアへ向かう。パーク近くの公園だったため、あっという間に着いた。道人たちはトラックから降り、司令室に真っ直ぐ向かった。司令室には潤奈もいて、司令たちがみんな集まっていた。道人たちは公園であった出来事を司令たちに報告する。


「…わかった。大樹君、カサエル、本当にそれでいいんだね?」


 司令は大樹を見つめる。道人たちも大樹に視線を集めた。


「あぁ!司令さん、俺もデュラハン・ガードナーに協力する!俺はカサエルの目指す目標の手助けをするって決めたんじゃ!」

「昨日はすまんかったさぁ、パートナーがわからんなんて嘘言ってしまって。これからは大樹たちと一緒にがんばるさぁっ!」

「わかった。大樹君、カサエル、ようこそ!デュラハン・ガードナーへ!君たちを歓迎する!」


 司令は大樹と握手をした。拍手をする道人たち。


「カサエル、わしも大樹君たち人間が怪我をせんように最大限サポートをする。元々お前さんは三度傘シールドを展開して皆を守る防御特化のディサイド・デュラハンじゃ。基本的には人命救助を最優先に動いてもらうぞ。よいな?」

「わかりました!ありがとうさぁ、博士!」

「がんばろうな、カサエル!」

「あぁ!必ずみんなと一緒に自分なりの答えを見つけてみせるさぁっ!」


 大樹はデバイスに映るカサエルと共に微笑んだ。その様子を見て愛歌たちも笑った。道人はフォンフェルの事が気になったので潤奈に尋ねる事にした。


「潤奈、フォンフェルはもう大丈夫なの?」

「…うん。もう私と一緒に家に帰っても大丈夫だって。」

「そっか、良かったね。」

「…うん、ありがとね、心配してくれて。」


 道人と潤奈はお互い笑い合った。


「よし、みんな!今後の事について話がある。」


 司令がこの場にいる全員に呼びかけ、視線を集める。


「明日、博士は潤奈君の宇宙船を見に十糸の森に行くつもりだ。そこで学校帰りでも構わない、博士について行ってもらえないだろうか?」

「良いですけど、全員って訳にはいかないですよね。御頭街(おがしらまち)にバドスン・アータスが現れるかもしれないですし。」


 道人は何時襲ってくるかわからないバドスン・アータスへの警戒を司令に進言する。


「道人君の言う通りだな。それだと…。」

「俺が残るぜ。」


 壁に寄っ掛かっていた深也が自分を右手の親指で指差した。


「ランドレイクはデバイスに入らねぇし、この街に何かあったらランドレイクなら真っ先にパークから現場に向かえるしな。…潤奈の宇宙船、ってのもどんなのか見てみてぇ気もするがな。」

「すまんな、深也君。バドスン・アータスの急な遭遇戦対策に関しては近々何とかできそうなんでな。もう少しの辛抱じゃ。」

「本当ですか、博士?」


 愛歌は博士に嬉々として聞いた。


「ふっふっふっ、楽しみにしておれ。」 


 博士は腕を組んで自信満々に微笑んだ。


「俺も残るわ。デュラハン・ガードナーの事とか、バドスン・アータスの事とか司令たちに詳しく聞きたいしの。」


 大樹もパークへの居残りを希望する。


「よし、わかった。それでは博士と潤奈君と共に向かうのは道人君と愛歌君という事でいいな。ジークヴァルとトワマリーのボディを乗せたトラックにフォンフェルとハーライムがいれば護衛は十分だろう。」

「…明日はよろしくね、道人、愛歌。」

「うん、よろしく。潤奈。」

「潤奈の宇宙船かぁ〜っ…。どんなのか見るの楽しみぃ〜っ…!」


 司令たちへの報告を終え、明日やる事を聞き、道人たちは今日は解散する事になった。帰る前にデュラハン・パークの遊園地エリアのレストランで晩ご飯を食べてから大神の車で家に送ってもらえる事になった。道人たちは司令室を出る。


「何じゃと…!?そのフリーパスってのがあれば、遊園地で遊び放題なうえ、レストランで食べ放題じゃと…!?」

「うん、ほら。」


 道人は大樹にフリーパスを見せた。


「おぉっ、これが…!?」


 大樹は目を輝かせてフリーパスを見る。


「近々大樹も貰えると思うよ。」

「お前ら、今まで毎日レストランで食事を?いいのぉ〜っ!」

「いや、毎日ではないけど…。さすがに…。」

「遊園地ももうたくさん遊んだんか?」

「愛歌と一回遊んだくらいだよ、まだ。」

「お前、愛歌とデートしとったんか、やっぱり…。」

「違う!」「ち、違うよ!」

「…むぅっ、何時かと同じ反応じゃのぅ…。」

「ったく、見てて飽きないぜ。お前らの会話はよ。」

「…うん、楽しい。」


 道人たちは遊園地エリアに向かう道中で楽しそうに会話をして歩く。ディサイド・デュラハンがきっかけで集まった五組の仲間たち。今後どんな強大な敵が現れたって、このメンバーなら必ず大きな苦難も乗り越えられる。道人の心には勇気が溢れ、自信に満ちていた。


「おーい、道人!何立ち止まってんだ?」

「早く行くよーっ?」


 道人は深也と愛歌の声を聞いて我に返った。どうやらみんなの事を考えている内に立ち止まっていたようだった。


「行くぞ、道人。皆が呼んでいる。」

「うん、ジークヴァル。行こう!」


 道人はみんなの元へ力強く走る。今後もみんなとの楽しいひと時が続く事を願って…。

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