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ディサイド・デュラハン  作者: 星川レオ
第4部 「現」「冥」融合大戦 傀魔怪堕
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254章 降臨!天極時烈災城軍

「くっ…!こんなのと戦わないといけないのか、俺たちは…!?」


 道人たちが地上から見上げる中、惡獄必帝苦悶城はみるみる内に姿を変えていく。

 攻撃をしようにも融合している最中に攻撃をしてしまえばその攻撃も吸収してしまって更に強くさせてしまう可能性もある。なので、迂闊には攻撃出来なかった。

 ガイアグレート・ジークヴァルたちは武器を構えて警戒している。


「わ、我が惡獄必帝苦悶城がぁっ…!?」


 よく周りを見ると鎖縛丸が道人たちの近くにいて、地面に膝をついていた。


「鎖縛丸、お前は無事だったのか!?」

「あ、あぁ…。城の変化を感じて何人かの部下も一緒に…。」


 魔月のフクロウ人形に聞かれた鎖縛丸は素直に答え、後ろにいる首有り鎧武者三人を見た。


「…道人!」

「…! 潤奈…いや、フォンフェル…?」


 道人の前に姿が変わっているフォンフェルが着地して来た。


「…? 何だか、同時に潤奈の声も聞こえたような…?」

「…すまないが、説明している暇はない…。頼む、潤奈を…。」


 フォンフェルはそう言うとふらついた。


「おっと!?フォンフェル!?」


 道人は慌てて倒れそうになったフォンフェルを抱き締めた。


「いぃっ…!?」


 フォンフェルの鎧が消え、気を失った潤奈が発光した裸の状態で姿を見せた。

 道人は赤面して慌てると潤奈のデバイスから服が出現し、自動的に服が着せられた。

 ほとんど一瞬の出来事だったので他のみんなには潤奈の裸は見えていないはずだ。


「どうかしましたか、義兄さん?」


 マーシャルとシルエリオンに乗ったシルエット大将軍が近寄って来た。


「なっななな、何でもない、何でもないっ!?」


 道人は必死で首を左右に振りまくる。仮面を被ってて良かったと道人は心の底から思った。


「よくわかんないんだけど、フォンフェルが潤奈になって…!?」

「…! 姉さん?」


 マーシャルとシルエット大将軍は道人が抱えている潤奈を見た。


「だ、だ、大丈夫!?潤奈の心臓の鼓動は…いや、これは俺の鼓動か???」

「お、落ち着いて下さいよ、義兄さん…?」


 道人は自分の心臓がバクバクなって冷静でいられなかった。今は惡獄必帝苦悶城が変化している危機的状況なのに、と道人は何とか落ち着こうとする。

 よく確認すると潤奈はちゃんと呼吸をしていた。


「潤奈隊員はボディを失ってしまったフォンフェル隊員に身体を貸して戦っていました。」

「フィ、フィールドトラッカー?」


 走って来たフィールドトラッカーが小型消防車から人型に変形し、道人たちの近くに立った。


「オーバー・ディサイドと言っていました。」

「オーバー・ディサイド…。それって確か…。」

「はい、私たちがフランスにビーストヘッドの試練を受けに行った時にイーグルとヴィーヴィルが言っていましたね。」


 流咲も通信で会話に入って来た。


「と、とにかく!ここにいると潤奈が危ない…!マーシャル、潤奈を連れてシップまでワープを頼める?」

「わかりました、お任せを。」


 道人は気を失っている潤奈をマーシャルに渡した。


「…ジュンナ、大きくなったな…。」

「えっ?」


 シルエット大将軍がぼそっと何かを呟いたので道人とマーシャルは一緒にシルエット大将軍を見た。


「あなた…?」

「…早く行くんだ。その子を頼んだぞ。」

「…はい、必ず…。」


 マーシャルはシルエット大将軍が気になったようだが、潤奈を連れてワープした。


「流咲さん、グルーナさんや真輝さんたちは?」

「ダガー・デュラハンたちの群れをフォンフェルと潤奈さんが倒した隙にシップに戻って来たのですが…。こちらでも今、確認できていますが…何やらとんでもない事が起こりそうですね…。」


 どうやら、デュラハン・シップも人型に変化していく惡獄必帝苦悶城を確認できているようだ。


『さて、何だか賑やかだけど…。僕の方に注目してもらいたいな。』

「…! ガイアヘッド…いや、ヴァエンペラ!」


 ガイアヘッドは近くの柱に立っていて道人たちを見下ろしていた。


『間もなく融合が完了するよ、ほら。』


 ガイアヘッドが指差した方向を道人とシルエット大将軍は見た。


「こいつは…!?」


 融合完了して人型となった惡獄必帝苦悶城はゆっくりと地面に着地した。

 あまりの巨体なので土煙が舞い、着地し終わった後も残響が響く。

 城と融合したせいでかなり巨大な、刺々しくて禍々しい紫色の鎧武者となり、鬼のような仮面をつけた顔が咆哮した。


「でか過ぎんだろ…!?」


 ヤジリウスの驚きの通り、道人たちが今まで戦ってきた敵の中で一番大きい存在だった。


『もう極亞たちの心は表に出せなくなったみたいだね。ははっ、愉快!本当にお人形さんになっちゃったよ。』

「何とっ…!?あれが極亞様たちだと言うのか…!?」


 鎖縛丸もガイアヘッドの言葉を聞いて驚いている。


『新しいお人形さんには名前が必要だよね。よし、僕が名付け親になってあげよう!そうだな、天極時烈災城軍…ってところかな?』

「お前…!一体何がやりたいんだっ!?」


 道人はガイアヘッドの余裕な振る舞いに腹を立て、言葉を投げた。


『まだ本体の僕の目的は教えてあげなぁーい!ま、そこのシルエットとやらは知ってるかもしれないけどさ。』


 ガイアヘッドはシルエット大将軍を見た後、道人たちに視線を戻す。


『ガイアヘッドとして幼児化した僕として言うと…そうだな、お人形遊びかな?君たちがディサイドという奇跡を起こして抵抗して来るのが楽しい!それでイライラハラハラしたりもするけど、それを叩き潰すのはもっと楽しい!ただ、ラックシルベを採掘星から集めてるだけじゃ面白くないよね?せっかくなら、人形たちの足掻く様も楽しまないとね!』

「こいつ、どこまで腐ってんだ…!?」


 ヤジリウスはガイアヘッドを見て両手の拳を震わせた。


「ったく、こんなのが俺らの御大将だったとはな。正直言って、幻滅するぜ…。ダーバラやディアス、スランが知ったらどう思うやら…。」


 キャプテン・雷牙はヴァエンペラの実態を知って思わずライガとして振る舞う。


『あ、ひどいなぁっ、ライガ。僕だけを見てヴァエンペラを知った気にならないでよ。ヴァエンペラは君たちの知能じゃ到底理解できない程の存在なんだからさ。』


 ガイアヘッドはそう言うと両手を横に広げて空を見た。


『さぁ、ゲームの開始だ、道人たち!天極時烈災城軍から水晶化した人間たちを守れるかい?』

「なっ…!?」


 道人たちは慌てて周りを見た。惡獄必帝苦悶城の周りにはまだ優良人種化されておらず、水晶に閉じ込められままで放置されている人間たちが大勢いる。


「ちょっと待てぇぃっ!惡獄必帝苦悶城は今まで蜘蛛の足による繊細な動きを可能にして来た!だが、今は二本足!あれでは優良人種たちを踏み潰してしまう恐れがあるぞっ!?」

『所詮はその程度の人間たちだったって事さ。優良人種化される事もなかった運のない奴らだったって事で片付けようよ。』

「それは正気で言っているのか、地球の意思よ!?傀魔怪堕(かいまかいだ)の在り方とはっ!?」

『どうでもいいよ、傀魔怪堕(かいまかいだ)なんて。バドスン・アータスの強化パーツに過ぎない。』

「なっ…!?なぁっ…!?」


 鎖縛丸はその場で両手を地面に付けた。


「くっ、私は…私はこんな奴に傀魔怪堕(かいまかいだ)を好きにさせてしまうとは…!?」

『一周目でも二周目でも結果的にマヌケだね、魔月。』

「ガイアヘッド!いや、ヴァエンペラ!!」


 道人は魔月を見下すガイアヘッドを見て憤り、声を上げた。


「お前の悪趣味さはもう十分にわかった!俺たちがすべき事は天極時烈災城軍を止めて水晶化した人たちを救い出す!そして、混沌巨玉を封印する!それで傀魔怪堕(かいまかいだ)の問題が片付いたら、ヴァエンペラ!次はお前の番だ!お前を絶対に叩き潰してみせる!」


 道人は怒りを込めてガイアヘッドを指差した。


「よく言ったぞ、道人!今、この場にいる者は皆、お前と同じ気持ちだ…!ヴァエンペラ、貴様が舐めているディサイドの力、決して侮るなよ…!」


 道人の言葉に続いてガイアグレート・ジークヴァルもヴァルムンクの切っ先をガイアヘッドに向けた。


『そう来なくっちゃ、僕のお人形さんたち。でもさ、ヴァエンペラの本体はこれよりも遥かに大きな存在なんだ。まずこの天極時烈災城軍を倒さないとお話にならないよ?』


 ガイアヘッドはそう言うと宙に浮いた。


「待て、どこに行く気だっ!?」

『僕は優良人種化できた人間たちを何人かバドスン・アータスに連れて行って帰るよ。パークの結界を解くのは…ま、後日かな?僕にあんな啖呵を切ってみせたんだ。天極時烈災城軍を倒してみせてよ、楽勝にさ!』


 ガイアヘッドはそう言うと姿を消し、天極時烈災城軍は目を禍々しく赤く光らせ、起動を開始した。

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