221章Side:卒間 二人の博士
デュラハン・パークのモノレール乗り場の近くで傀魔怪堕との戦いを繰り広げる卒間たちの前にDレボリューションとカウンター・ディサイド・デュラハン、コラテラが姿を現した。
「待て、千太郎!!」
「…!? 博士!?」
パークの偵察用ドローンが飛んできて、卒間たちの前に浮遊した。
「…悟か。」
「そうじゃ、お前の大親友の悟じゃ!頼む、もうこんな馬鹿な事はやめるんじゃ…!そして、攫った人たちを全員解放してくれ…!」
ドローンから聞こえて来る声だけでも博士の悲痛さが十分伝わって来た。
「…悟、残念ながら、それは無理な話だな。」
「…何じゃと…?」
「何故なら、傀魔怪堕こそが私の本当の居場所だとわかったからだ。彼らの技術提供のおかげで私は最高のエンチャント・アクアジェネレーターを装備するに相応しい最高のダガー・デュラハンを開発する事ができた。彼らには感謝したいところだ。」
「博士、奴の言葉を真に受けないで!」
愛歌と深也がドローンの近くに立った。
「あいつは江端博士のヒューマン・デュラハンなの…!だから、本心を話してるとは限らないわ!」
「その通りだぜ、博士!バドスン・アータスの胸糞悪いやり方だ…!」
愛歌と深也はヒューマン・デュラハンに今も尚、苦しめられている二人なのでDレボリューションに対して嫌悪感を剥き出しにした。
「…しかし、悟。お前はずるいな。今までお前はこんなに素晴らしいディサイド・デュラハンに関する知恵を生まれ持っていたとはな…。」
「何じゃと…?」
Dレボリューションは右手の人差し指で自分の頭を二回軽く叩いた。
「私はディールマーシャルの力で松島かなめに植え付けられたマーシャルの知恵…。ディサイド・デュラハンに関する知恵の芽をコピーさせてもらえたんだ。そして、見事開花。それでも悟、お前とはまだ差がある…。お前と私は学生時代の頃から対等の立場かと思っていたが、最初から歴然の差があった訳だ…。」
Dレボリューションは自分の黒い手袋をつけた右手を見た。仮面をつけていてもその姿は悲しそうに見えた。
「違う!それは違うぞ、千太郎!わしは学生時代の時点ではディサイド・デュラハンに関しての知恵とやらは開花しておらん!それにわしはディサイド・デュラハン0号機のフォンフェルの発作や、1号機トワマリーの発声機能の不具合を未だに直せない程の未熟の身じゃ!お前との差など、わしは我が人生において一度も気にした事はない!」
「嘘をつくなぁっ!」
Dレボリューションは博士が言った言葉を払うかのように右手を横に振った。
「地球の意思とやらがお前を選んだ時点でもう不公平は始まっていたんだよ!私はヒューマン・デュラハンとなったおかげでこの新たな肉体を得られた!これからはゆっくりお前との差を…いいや、お前を遥かに超えてみせる!お前すらも傀魔怪堕に内包してもらった後、じっくりとなぁっ!」
「…みんなから話には聞いていたが、ヒューマン・デュラハンというのはこれ程、不愉快なものなのだな…!」
卒間は下を向き、両手で作った握り拳を震わせた。
「いくら別人格とは言え、友人に対してあそこまで非情に当たれるものなのか…!?」
「確かに、Dレボリューションは千太郎とは別人格なのかもしれんが、話が無意味という訳ではない…。強き想いが込められた言葉なら、別の場所で眠っている元の人格にも気持ちが届く可能性がある…!それは道人君や愛歌君、深也君のおかげで証明済みじゃ…!」
「博士…。」
卒間は例えドローン越しでも、怒りと悲しみを噛み締めながらもDレボリューションに向き合おうとする強き博士の姿が見えた気がした。
「千太郎…科学とは人々がより良き営みを、生活を得られるように己の知恵を、腕を研鑽し、役立てていくもの…。それを内包という形で人々を閉じ込めてどうする!?人あってこその科学!それを蔑ろにした傀魔怪堕のやり方など、愚の骨頂ぉっ!それを思い出すんじゃ、千太郎ぉっ!!」
博士がそう叫んだ瞬間、Dレボリューションの仮面の目の部分が開き、両目からビームを放った。
「なっ…!?」
ドローンはビームに撃ち抜かれ、破損して地面に落ちた。
「綺麗事を…。科学を悪用して兵器転用するのもその人間の愚かさから来るものなんだよ。現にお前もディサイド・デュラハンを兵器として繰り出しているではないか。下らん。」
「博士をぉっ…侮辱すんじゃねぇっ!!」
深也が右拳を振り上げ、Dレボリューションの元へと駆ける。
「深也!?」
「深也、無茶するんじゃないぞい!」
「やれやれ、最近の若いのは血気盛んで困る。」
Dレボリューションは高速移動し、向かって来た深也の右足を軽く蹴って転ばせた。
「ぐおっ!?」
「ガキが。」
Dレボリューションは両目のビームを撃とうとする。
「深也君っ!!」
卒間は懐から護身用の銃を取り出し、連射した。
「どいつもこいつも死にたがりだな!」
Dレボリューションは卒間に向かってビームを発射した。
「カサエル!」
「任せるさぁっ!」
カサエルは三度傘を卒間の前に配置し、ビームを防いで見せた。
卒間は物怖じせずに深也の元へ走る。
「深也君、立てるか?」
「司令、すまねぇっ…。」
「いいや、君のおかげですっきりしたよ。ありがとう。」
卒間は深也を立ち上がらせて一緒に走り、愛歌たちの元へ急いで戻った。
「何?あのヒューマン・デュラハン…?ウェントたちとは違うの…?」
「あの仮面、正体を隠す以外にも用途があったんか…!」
「そもそも、ヒューマン・デュラハンならエイプリルたちみたいに顔は本人とは違うはずだ…!仮面をつけてる時点で変だった…!」
愛歌と大樹、深也は共にDレボリューションを気味悪がった。
仮面は正体を隠すためだけではなく、頭に攻撃機能が備わっている事を隠す意味もあったとは思わなかった。
「驚いたかい?この身体はサイボーグみたいなものでね。化学にも戦闘にも使える。」
Dレボリューションはそう言うと左腕を変形させ、ペンチやドライバー、トンカチに変えて見せた。
「さて、話が長くなってしまった。そろそろバトるといこうか。大物も交えて…ね?」
Dレボリューションが指を鳴らす。
「うおっ!?」「な、何だっ!?」
遠くで戦っているキャルベンの兵士たちが騒ぎ出した。
地面から五体の竜鳥亀虎=四騎王が姿を現して攻撃を開始した。周りのビルの壁を破壊していく。
「あれは道人君やグルーナ君の報告にあった…!?」
「しかも五機もかよ…!?」
卒間は深也と共に驚いた。戦う度に学習し、ダガー・デュラハン間で共有したAIによって無限に学習していく一回り大型サイズのデュラハンだ。
「うん、とりあえず五機。二日掛けてたくさんの竜鳥亀虎=四騎王の相手を願おうか。さて、どこまで学習して強くなるかな?楽しみだ。」




