221章 クロノスフィアを打倒せよ!
「ソルワデス、ウェントは俺だけで食い止める!だから、君はジークヴァルたちと一緒に!」
「わかった!」
黒装武者ソルワデスは道人の言う事を聞き、Hoffnung=ガイアグレート・ジークヴァルの隣まで移動した。
「…随分強気に出たな、道人!俺を食い止めるだって?」
ヒューマン・デュラハンが死んでしまった場合、元となっている人物も死んでしまうという事を道人は以前、博物館近くの戦いで聞いた。なので、ウェントはこの場で倒す訳にはいかず、ジークヴァルたちが如何に早くクロノスフィアアレウリアスを倒せるかに懸かっている。
まだこの後にも傀魔怪堕との戦いが控えているため、ウェントとアレウリアスが力を温存できる相手ではない事はわかってはいても、これ以上のヘッドカードやD-DUNAMISカードの使用は避けたいところだった。
「なら、食い止めてみせろ、道人ぉっ!」
ウェントは蝶の羽から光の鱗粉を撒き散らすが、オリハルコンの鎧に守られた道人は微動だにしなかった。
ウェントは両手に持った光の槍を投擲するが、それも道人は身動き一つせずに弾いてみせた。
「無駄だ、ウェント。オリハルコンには傷一つつけられない。」
「だろうな!だが、中身は生身の人間なら、いくらだってやりようはあるさ!」
そう言うとウェントは右手に光の剣を、左手を鉄の拳に変えて道人に襲い掛かる。
道人は四枚の光の翼から出したブレードフェザーとメタリー・ルナブレードでウェントと激しい武器のぶつけ合いをして辺りを飛び回る。
「行くぞ、ソルワデス!この三分間でクロノスフィアアレウリアスを打倒する!」
「えぇ、我らが道人のためにも!」
Hoffnung=ガイアグレート・ジークヴァルは右から、黒装武者ソルワデスは左から回り込んでクロノスフィアアレウリアスに斬り掛かる。
「打倒すると言うのなら、この能力を忘れた訳ではあるまい?」
クロノスフィアアレウリアスは左右に大きな懐中時計を四つ出現させ、盾代わりにした。
この懐中時計に当たると動きがスローモーションとなってしまうため、当たったら一巻の終わりだ。
Hoffnung=ガイアグレート・ジークヴァルと黒装武者ソルワデスは斬り掛かるのを止め、後ろに下がる。
「えぇ、もちろんだとも!」
黒装武者ソルワデスは後ろに下がりながら連続抜刀し、黒の斬撃により発生させたワームホールで懐中時計四つを消滅させた。
「なるほど、言うだけの事はあるな。」
クロノスフィアアレウリアスは右手にデストラグルブレードを、左手にデストラグルランスを出現させ、足元の海をブレードで斬り、海水のカーテンを作り出した。
「痺れるがいい!」
クロノスフィアアレウリアスはデストラグルランスに電流の竜巻を纏わせ、海水のカーテンに電流を流した。
「がぁっ!?」
「ソルワデス!?」
オリハルコンのHoffnung=ガイアグレート・ジークヴァルは何ともないが、キャルベンの魚人デュラハンであるソルワデスには電流攻撃は効果的だった。
「だ、大丈夫…!この程度ならぁっ…!」
「いつまで保つかな?」
クロノスフィアアレウリアスは風を纏わせたデストラグルブレードを何度も振り、海水のカーテンを粉々にした。
次にデストラグルブレードに冷気を纏わせて飛び散った水滴を氷の礫に変え、風の竜巻を纏わせたデストラグルランスを突き出し、風の竜巻と氷の礫による自然を活用した遠距離攻撃を繰り出した。
「くっ…!?」
「私には効かんぞ、アレウリアス!」
両手を交差して防御する黒装武者ソルワデスの近くでHoffnung=ガイアグレート・ジークヴァルは胸と両肩のドラゴン、翼に光を溜めながら構わず突進した。
「喰らえ、ガイア・フルブラスター!」
Hoffnung=ガイアグレート・ジークヴァルは胸のドラゴンの口と羽からビームを発射し、両肩のドラゴンからエネルギー体のドラゴンを発射した。
「凄まじい火力であるが!」
クロノスフィアアレウリアスは向かって来る高エネルギーに対し、懐中時計を当ててスローモーションにさせ、デストラグルブレードとデストラグルランスでビームを斬り刻んだ。
「そんな使い方をぉっ!」
ビームの後ろに隠れてHoffnung=ガイア・グレートジークヴァルは刃のついた尻尾を伸ばし、クロノスフィアアレウリアスを突き刺そうとする。
「ちぃっ!」
後ろに仰け反って避けたクロノスフィアアレウリアスに対し、Hoffnung=ガイア・グレートジークヴァルはビームを放った後に熱せられたウイングに当てたヴァルムンクとHoffnungレーヴァテインを一時的にヒートソードに変えてクロノスフィアアレウリアスを罰の字に斬り裂いた。
「アレウリアス!?」
「余所見はさせないぞ、ウェントォッ!」
道人はメタリー・ルナブレードとブレードフェザーによる怒涛の追撃でウェントを追い詰める。
「ちぃっ!いくらオリハルコンを纏ったと言っても、頭に強い打撃を与えれば脳震盪を…!」
「起こさせてたまるかぁっ!」
ウェントは右手を巨大化させ、更に鋼鉄化させて道人を殴ろうとする。が、道人は向かって来る鉄の拳を咄嗟に足場にして空へ急上昇した。
「ちぃっ、何たる固さだ…!」
クロノスフィアアレウリアスはHoffnung=ガイアグレート・ジークヴァルと互いに剣とランスをぶつけ合わせる。
「ハーライム!」
道人はメタリー・ルナブレードをウェントに対して横一閃すると同時に巾着袋に入れてあったスマホから再びハーライムを実体化させた。
「もらった!」
「何っ!?」
デュエル・デュラハンの再実体化はクロノスフィアアレウリアスにとっても予想外だったようで、ハーライムの持つ両刃の斧で背中を斬られた。
飛行能力のないハーライムはその後、海に沈む。
「い・ま・だ!!」
Hoffnung=ガイアグレート・ジークヴァルはクロノスフィアアレウリアスの一瞬の隙を見逃さなかった。
斬り合っている最中に両肩の竜の頭から最小限のチャージで竜のエネルギー体を発射し、クロノスフィアアレウリアスに直撃させた。
「しまっ…ちぃっ!?」
クロノスフィアアレウリアスは吹っ飛びながら大きな懐中時計を四つを出現させた。
クロノスフィアアレウリアスは天使と悪魔の羽で何とか方向転換し、回復しようと自身が出した懐中時計の一つまで飛ぶ。
「そこだ!」
海中から黒装武者ソルワデスが両肩のシールドからニードル弾を発射し、クロノスフィアアレウリアスに大量の針を刺した。
「こいつ、姿が見えないと思ったら…!?」
「これがキャルベンの戦い方だ!」
黒装武者ソルワデスは全身を回転させ、クロノスフィアアレウリアスの身体に黒の斬撃をお見舞いした。
「今だ、ジークヴァル!」
Hoffnung=ガイアグレート・ジークヴァルは胸の竜と両肩の竜、羽にエネルギーを溜めていた。
「ガイア・フルブラスター!」
Hoffnung=ガイアグレート・ジークヴァルは巨大なビームを発射し、クロノスフィアアレウリアスに直撃させた。
「我が愛刀を熱っせ、ガイア・フルブラスター!」
Hoffnung=ガイアグレート・ジークヴァルはガイアフルブラスターを放ったまま前進。
ヴァルムンクとHoffnungレーヴァテインを交差させて二つの剣にガイアフルブラスターを利用した光の刀身を作り上げる。
「はあぁぁぁぁぁーっ!!」
ヴァルムンクに幻影のリムルトが、Hoffnungレーヴァテインに幻影のユーラが乗り移った。
Hoffnung=ガイアグレート・ジークヴァルは光の刀身が伸びた二つの剣を上に上げた。
「二人の女神の加護を、私に…!喰らえ、二刀!両ぉぉぉぉぉーっ、断っ!!」
Hoffnung=ガイアグレート・ジークヴァルは二つの剣を勢いよく振り下ろし、クロノスフィアアレウリアスの両腕を切断した。
「ちぃぃぃぃぃーっ…!?」
「私たちの勝利だ、アレウリアス!!」
「…ま、まだだ…!まだ、貴殿と私は…!必ず…!」
「…そうだ、お前にはまだ退場してもらっては困るのでな…。」
クロノスフィアアレウリアスの背後に縦長の箱が現れる。
クロノスフィアアレウリアスは無理矢理箱に押し込められ、箱が消えた。
「今のは、シャクヤスの…?」
「馬鹿なっ!?アレウリアスがやられたっ!?」
敗北して姿を消したアレウリアスを見てウェントは脱力し、両手に持っていた光の槍を消滅させてしまった。
「くっ、短期間でここまで…!?強くなるどころか、戦い慣れまでしているとは…!?」
道人自身も落ち着きを保ったまま、クロノスフィアを倒せた事に驚いていた。
クロノスフィアは今まで使ったヘッドの力を継続し、組み合わせる事で真価を発揮できるヘッド。三回目のヘッドで使うには早過ぎたのかもしれない、と思考している自分にも道人は驚いていた。
「ちぃっ…!」
ウェントは道人との戦いを放棄し、背を向けた。
「まさかここまで強くなってるとは…!?くそっ、俺たちにも…もっと力が必要なのか…!?」
ウェントは蝶の羽から光の鱗粉を撒き散らしながら、もの凄い勢いで飛び去って行った。
「道人、どうする?奴は…。」
Hoffnung=ガイアグレート・ジークヴァルと黒装武者ソルワデスは道人の近くに移動して来た。
「…追わない。どの道、ウェントを倒すと父さんが…。今は姫たちと一刻も早く合流して、傀魔怪堕をどうにかする方が優先だから。」
「わかった。急ごう。」
道人は海中に沈んだハーライムを光の玉に戻してスマホに戻し、ガイア・ジークヴァルもソルワデスも合体を解除した。
道人たちはデュラハン・シップと合流するために十糸の森を目指し、飛ぶ。
道人はパークで戦っている愛歌たちが気になったが、愛歌たちを信じて自分がやるべき事に専念した。




