217章 再戦の刻!道人VSウェント
愛歌たちが階段を駆け降りて行った後、道人たちも急いで個室に戻り、手荷物を持って外出準備をした。
「みんな、準備はいいね?よし、行こう!」
道人が全員揃ったのを確認した後、みんなで階段を駆け降りた。
建物から外に出ると街中から光が点滅するのが見えた。
「…愛歌たち、もう戦ってる…。」
「俺たちも急ごう!」
自分たちが混沌巨玉を再封印しない限り、愛歌たちの戦いが終わる事はない。
道人たちは急いで海岸にあるキャルベンの小型船に乗って実験エリアへと向かう。
島と島でのエリア間の移動なのであっという間に実験エリアに辿り着いた。
ビルの中に入り、デュラハン・シップのある格納庫へと向かった。
「…来た!道人君たちーっ!」
「流咲さん!」
流咲がデュラハン・シップの入口付近に立っていて、ぴょんぴょん跳ねながら手を振っていた。
「出発準備は急ピッチで何とか終わらせました!ジークヴァルたちもマーシャルも既に船内に運び終えています!いつでも発進できますよ?」
「わかりました!」
「真輝君は待って下さい!出発前にエッジヴァハムートにどこから強い波動を感じるか聞かねばなりませんから。」
「出番だぜ、エッジヴァハムート。」
真輝がそう言うとスマホの中から光の玉が出て、エッジヴァハムートが出現した。
「どうだ、エッジヴァハムート?感じられるか?」
エッジヴァハムートはその場で気を集中した。
「…敵も馬鹿ではない、そう簡単に足は掴ませないだろうが…。…うむ、十糸の森付近に微かだが、妙な波動があるな…。」
「…そっか、傀魔怪堕は
バドスン・アータスの宇宙からの砲撃で目を覚ましたから…。」
潤奈の言う通り、戦島での戦いが傀魔怪堕の三大将軍たちの封印解除のきっかけだった。
あの場所が傀魔怪堕にとっての活動拠点であってもおかしくはない。
「なるほど、灯台下暗しという訳ですか…。わかりました、操縦士の方たちに伝えて来ます!」
流咲が船内に入ったのと同時に道人たちも急いで船内に入った。
エッジヴァハムートもスマホに戻った。
中に入ると整備班の人たちが既に十五人座っていた。
アトランティス突入の時に見た人たちと同じだった。
「おや、来ましたね。」
アトランティスの時と同じようにマーシャルが最前席で目隠しと両手を拘束されている状態で座らせられていた。
「また一緒に行動できて嬉しいですよ、姉さんに義兄さん。」
「何かもう慣れてるね、マーシャル…。」
道人は何だかくつろいでいるマーシャルに対し、思わずツッコミを入れた。
「おぉっ…!?何じゃ、ここは…?」
「あ、そっか…。姫は飛行船、初めてだよね?ごめんね、気遣わずに急いで入っちゃって…。」
道人は十糸姫の右手を掴んで引き寄せた。その瞬間、姫は頬を染めた。
「席に座って、それでシートベルトをちゃんと付けて…。」
「うむ。すまぬな、道人。礼を申すぞ。」
「ほう、あなたが十糸姫ですか。お姿を拝見できないのが残念です。」
「うむ、我もじゃ。其方はなかなかに麗しい容姿と見た。早くその目隠しを取った姿が見たいの。」
「なっ…!?」
マーシャルが珍しく頬を染めた。マーシャルの嫌味をすかさずカウンターするとはやるな、姫と道人は内心感心した。
道人と潤奈は姫が座っている場所の席に座った。
「しかし、すげぇな!まるでヒーロー番組の戦闘メカみたいじゃねぇか!」
「確かに、これは上がるわね!」
隣の席に真輝とグルーナ、ユーラが座った。
「二人共、こんな状況で呑気だなぁっ…。」
「…ふふっ。でも、平常心を保てて何だか頼もしいよ?」
「まぁ、そうだけどさ。」
道人は潤奈と共に微笑み合った。
「皆さん、時は一刻を争います!直ちに出発します!」
流咲が小型モニターに映り、アナウンスした。
その光景はトワマリーとフォンフェルのビーストヘッドの試練を受けにフランスに行った事を道人に思い出させた。
船内からでも外の格納庫ハッチが開く音が聞こえて来る。
デュラハン・シップが浮遊し、前進し出した。
完全にシップが外に出たその時だった。爆音が響き、船内が急に揺れた。
「…きゃぁっ!?」
「な、何だっ!?」
急な揺れに驚き、両隣の潤奈と姫が道人に抱きついた。
「よぉ、道人。どこ行くんだよ?せっかく戦いに来たのにさ。街中で戦っているメンバーの中にはいなかったし、これに乗ってるんだろう?」
現状、絶対に聞きたくない声が道人の耳に否応なく聞こえてきた。
道人は窓から外を見た。
「…ウェント…!」
外には蝶の羽を生やしたウェントが腕を組んで宙に浮いていた。
「道人、聞こえてるんだろう?早く出て来いよ。じゃないと…。」
またデュラハン・シップが光の槍の投擲で攻撃され、船内は激しく揺れた。
「ちっ、ここでシップを落とされる訳にはいかない…!」
道人は小型モニターに映る流咲と通信を試みる。
「流咲さん、ウェントの狙いは俺です!ここは俺とジークヴァル、ユーラが食い止めます!だから、流咲さんたちは先に十糸の森に向かって下さい!」
「えっ!?道人君、でも…!」
道人は急いでシートベルトを外し始める。
「…道人っ!」「道人!?」「道とん!?」
道人がシートベルトを外し始めたので、みんなが一斉に名前を呼んだ。
ユーラも続いてシートベルトを外し出す。
「大丈夫!すぐに追いつくから!みんなは先に行ってて!」
「…道人、でも…。」
道人はシートベルトを外し終えた後に席から立ち上がり、涙目になっている潤奈の涙を右手の指で拭いてあげた。
「…大丈夫だよ、潤奈!ウェントとアレウリアスにオリハルコンの力を得た俺たちの力をこれでもか、ってぶつけてやるからさ!すぐに追いついてみせるから!ね?」
「…うん、わかった。道人たち、強くなったもんね…。」
「潤奈もね?」
道人は涙を拭った後の右手で潤奈の左頬に手を当てた。潤奈も道人の右腕を優しく掴む。
シートベルトを外し終えたユーラが道人の近くに立った。
「…いってらっしゃい、道人、ユーラ…。待ってるからね?」
「うん!行って来ます!行くよ、ユーラ!」
「はい!道人は私たちが責任を持ってお守りします!」
道人はユーラと一緒に走り、格納庫に向かった。
格納庫にはソルワデス、フォンフェル、キャプテン・雷牙、ルレンデスがいた。
ヤジリウスのヘッドパーツがジャンプし、ユーラが両手でキャッチした。
「道人、話はわかった。私も共に行こう!」
「ありがとう。一緒に行こう、ソルワデス。」
道人はデバイスを取り出し、ジークヴァルのボディの前に立った。
「ジークヴァル、インストール!」
ジークヴァルに意思データを転送。ジークヴァルの胸の目が光り、起動した。
道人の身体にガントレットとレッグパーツが装着される。
「ご武運を、道人、ユーラ、ジークヴァル、ソルワデス…。」
「外のガキの事はよく知らねぇが、俺との…ライガとの決着をつけるまで死ぬ事は許さねぇぞ。」
「こんな形の永遠の別れは僕は認めないからね!」
フォンフェル、キャプテン・雷牙、ルレンデスが道人たちにエールを送ってくれて、道人たちは頷いた。
ソルワデスは飛行形態になり、道人とユーラは乗った。ユーラはヤジリウスのヘッドパーツを右腕にしがみつかせ、道人に背後から抱きついた。
「ジークヴァル、最初からビーストヘッドで行くよ!それで何とかオリハルコン化を試みる!」
「わかった!」
道人は右肩に乗っていたHoffnung=ドラッヘデバイスを左手に取った。
「ビーストヘッド、レディ!」
道人がそう言うと左手に持ったHoffnung=ドラッヘデバイスが竜型からデバイス型に変形した。
「ビーストデバイス、セットォッ!」
スマホと合体させたディサイドデバイスから更にHoffnung=ドラッヘデバイスを下からはめ込んで合体。竜の羽のような飾りがついたディサイドビーストデバイスへと姿を変える。
「ビーストヘッド・エヴォリューション!!」
『ビーストヘッド、承認。ドラッヘver. Hoffnung.』
道人がディサイドビーストデバイスを前に出すと一筋の光が掃射され、ジークヴァルの背中に当たる。
格納庫のハッチが開き、ジークヴァルは駆けて飛び降りた。
ジークヴァルの下にHoffnung=ドラッヘが出現し、乗って飛んだ。
「合体だ、Hoffnung=ドラッヘ!」
「心得た!」
「Hoffnung=フォーメーション!」
ジークヴァルが足場にしていたHoffnung=ドラッヘが空中でバラバラになった。
ジークヴァルの背中に刃がついた尻尾付きの巨大な翼が付き、クローがついたアームカバーを新たに装着。
突起物がついたレッグパーツも付き、胸に竜の顔がついた胸パーツも新たに付く。 横に長い新たな肩パーツがついた。
「頭着っ!!」
頭上に竜の意匠が施された尖った角と耳がついた新たな頭を左手で掴み取り、強引に装着した。
右手にヴァルムンクを、左手に七支刀のHoffnungレーヴァテインを持って飛行した。
「空野道人、ユーラとソルワデスと共に行きます!」
道人が通信越しに流咲にそう言うとソルワデスは格納庫から飛行。
デュラハン・シップは道人たちを置いて十糸の森に向かって飛んで行った。




