216章Side:深也 旅立つ友たちへの叫び
「もう!何もこんな夜中に来なくたってさぁっ…!」
「愚痴んなよ、愛歌!道人たちが混沌巨玉を再封印するまでの間、下手したら俺たちはここから二日間ぶっ通しで戦う事になるんだからよ!」
時刻は夜一時過ぎ。正確にはもう二日を切っていて、ついに傀魔怪堕が攻めて来た。
深也たちは虎城の通信を聞いて急いで会社エリアのビルから外に出た。
「大船長、こっちだ!」
「ランドレイク!」
ヘリが既に待機していて、ランドレイクが手を振って待っていた。
「私たちは泳いで先に行きます!スラン!」
「あいあいさー!」
「おう、気をつけてな!」
「はい、深也!ビーネ・イオーシャ・ア・クアン!」
海音は高く飛び跳ねながら変身して海に飛び込み、空飛ぶスランと共に先行した。
深也たちは急いでヘリに乗り込む。
「よし!頼りにしてるわよ、トワマリー!」
「絶対にパークを死守するぞい、カサエルゥッ!」
「「インストール!」」
ヘリ内に積んであるトワマリーのボディに愛歌が、カサエルのボディに大樹が共にデバイスから意思データを転送し、起動させた。
「すまない、待たせた!」
司令が走って来て、ヘリに乗り込んだ。
「司令、ディアスは?ダーバラも?」
「二人なら、先行して街に向かってもらった!よし、飛んでくれ!」
愛歌の質問に司令がそう答えるとヘリの操縦士は頷いてヘリを離陸させた。
ヘリは低空飛行で飛び、あっという間にモノレール乗り場近くに着陸した。
深也たちは急いで降りて周りを確認すると首無し鎧武者とダガー・デュラハン、海音とスラン、キャルベンの兵士が既に戦っていた。
「奴は!?ガイアヘッドのガキはどこだっ!?」
深也たちは急いでガイアヘッドを捜す。パークの防衛をする際、まず最優先とする事はガイアヘッドを結界に触れさせない事だ。
今のところ、ガイアヘッドとDレボリューションの姿は見えない。
「しかし、パークの入り口は基本的にはモノレール乗り場じゃが、奴は他のエリアに姿を現す可能性もあるぞい。」
「大丈夫だ、大樹君。各エリアにはキャルベンの兵士を配置している。」
「それに我らがイジャネラ様が各エリアを常に飛び回ってくれてるぜぇっ!」
グゲンダルがボルトを飛ばし、首無し鎧武者たち相手に無双していた。
「お前ら、デュラハン・シップにはソルワデス姉様が乗っておられる!姉様たちが安心して出発できるよう、気合入れるぞぉっ!」
「「はい!」」
グゲンダルは周りの兵士たちの士気を高め、次々と首無し鎧武者たちを蹴散らしていく。
「寄生ヘッド隊、跳べぇっ!」
グゲンダルがそう言うとキャルベンの寄生ヘッドが次々とジャンプし、首無し鎧武者たちに寄生して擬似的に仲間にして仲間割れをさせていた。
「寄生ヘッドも使ってんのか。」
「おう、首無し鎧武者共は耐久力がねぇから、寄生させてもすぐにやられるんだがな!寄生ヘッドはあんまり数はいねぇが、今は猫の手も借りたいくらいだからな!」
深也の言葉にグゲンダルが戦いながら解説してくれた。
「ダガー・デュラハンたちもうまく首だけ外す事ができたら、寄生させてこちらの味方にする事ができそうじゃぞい。」
「何か寄生させるとか言うと悪役みたいね、あたしたち…。」
大樹の発言に愛歌が静かに突っ込んだ。
「グゲンダルも言ってたろ?今は猫の手も借りてぇってな!俺たちも戦うぞ!」
深也たちはデバイスを構えて一箇所に集まった。
トワマリーとランドレイクはキャルベンの兵士たちに加勢し、戦闘を開始する。
カサエルは三つの三度傘を展開し、大樹たちの周りを浮遊させた。
「耐久及び、防衛戦となるとヘッドチェンジの使い所を考えないといけないわね…!」
これまでのデータによると潤奈がD・D PARTYの際、フォンフェルにフロアクリーナーヘッドを使ってしばらくし、夜にアレウリアスと戦った時に使ったヘッドが回復していた事があった。
潤奈がフロアクリーナーヘッドを使用したのは午後四時過ぎ。アレウリアスと戦闘したのは午後八時過ぎだったため、ヘッドの一回分の回復に要する時間は大体四〜五時間くらいだと思われる。
「愛歌君の言う通りだ。ヘッドチェンジは温存しつつ、バランスよく使い、全員がヘッドチェンジできなくなる事態だけは避けるんだ。ヘッドチェンジしなくても戦えるスランたちを戦闘の基軸にし、各々で誰が何回ヘッドチェンジを使ったか把握しながら戦おう。」
「「「了解!」」」
司令の指示を聞き、深也たちは気合十分に返事をした。
「ダーバラ、待たせてごめんね!」
愛歌は右手にトワマリーの、左手にダーバラのデバイスを手に持って通信した。
「気にしてないさ、愛歌。それよりもちゃんと道人に甘えて来たかい?」
「なっ!?」
愛歌は頬を真っ赤にする。
「もちろんヨ、ダーバラ!もう熱々のラブラブヨ!」
「トワマリーを武器に使って、ダーバラ!構わん、あたしが許可する!」
「ひぃン!?そんなに怒らないでヨ、愛歌ァ〜ッ!」
トワマリーは愛歌を恐れながらも小型リングを巧みに操り、ダーバラの浮遊する鉄扇と共に首無し鎧武者たちを相手にしてみせた。
「おっ?何だか面白そうな話してんなぁっ、トワマリー!後で話、聞かせろよ?」
ランドレイクは両手に持った装飾銃と蹴りで首無し鎧武者たちを翻弄する。
「グゲンダル、ただ暴れるだけでなく、背後にも目をつけて戦うんです!」
「背後に目とか滅茶苦茶言うなよ、海音!ったく、相変わらずの鬼教官ぶりだな、おい!」
「こうやるんだよ、グゲンダル!こんなかんじ!」
海音とスランはまるでグゲンダルに稽古をつけるように首無し鎧武者たちと戦っていた。
「全く、こんな状況だと言うのに頼もしい者たちだな。」
「あぁ、逆に心強さを感じるよ。私たちも戦うぞ、ディアス!」
「あぁ!」
ディアスはビームコウモリをばら撒きながら、二体のビーム死神と共に鎌を振り回す。
「…! デュラハン・シップが!」
愛歌が叫び、深也たちは実験エリアの方を向いた。
実験エリアからデュラハン・シップが発進していた。
「行っけぇぇぇーっ、道人たちぃっ!」
深也は腹の底から大声を出し、デュラハン・シップに向かって叫んだ。
「守りはあたしたちに任せて!」
「混沌巨玉の方は任せたぞい!」
「頼んだぞ、みんな!」
愛歌、大樹、司令も続けて叫ぶ。その時だった。パークから少し離れた海上でデュラハン・シップから爆発が起こった。
「な、何だっ!?何が起きた!?」
司令がそう叫ぶが、デュラハン・シップは煙を上げながらその場に停止した。
「おやおや、せっかくみんなで一致団結して送り出したのに何だか先行き不安な出発だねぇ。」
「…!? Dレボリューション…いや、江端博士!」
Dレボリューションが司令たちの近くに姿を現した。左右に黒いマントのデュラハンを二体連れている。
「何だ、もう私の正体に気づいたのか。さすが悟だな。まぁ、本人は別の場所で眠っていて、私は別の肉体なんだけどね。」
「くっ、やはりヒューマン・デュラハンなのか…!」
「ほう、それも読んでたか。じゃあ、早速、私のカウンター・ディサイド・デュラハン、『コラテラ』の御相手を願おうか。」
Dレボリューションが右手の指を鳴らすと右にいる黒マントのデュラハンがマントを脱ぎ捨て、黄色を基調とし、緑の差し色が取り入れられた学者風のデュラハンが姿を現した。
「さて、楽しい二日間を過ごそうか、デュラハン・ガードナーの諸君?」




