28章 またね、マーメイド
ディフェンスダイヤトウは完全に機能を停止した。ジークヴァルたちもディサイドヘッドが時間切れになり、元に戻る。バンペイのデバイスが粉になって消滅し、周りの矢尻も落ち、バンペイは正気を取り戻して尻餅をついた。
「…あれ?俺、どうして…?」
「それっ!確保じゃぁっ!」
「ぐえっ!?」
博士と虎城がバンペイを取り押さえ、両手を博士のズボンのベルトで縛った。博士は道人にサムズアップし、道人もお返しにサムズアップする。
「…ディフェンスダイヤトウもランドレイクのようにディサイド化したら困りますね…!ふん!」
マーシャルは右手から光弾を発射し、ディフェンスダイヤトウを粉々に粉砕した。爆風が起き、道人たちは風から防御体勢を取る。
「…また会いましょう、姉さん。」
マーシャルはワープし、消えた。
爆風が収まった後、博士たちはスタッフや警察と共に神殿の外に散らばったディフェンスダイヤトウの残骸や折られた木などの片付けを行った。逃げた木倉下とディフィカルトクラーケンは指名手配し、捜索を行う事になった。壺の行方もネットオークションや質屋などを監視する予定になっている。捕まえたバンペイも警察に連行され、取り調べを受ける事となった。
もう時刻は夕方六時。後の事は警察とスタッフを一部残し、道人たちは明日の学校のために御頭街に帰る事になった。
「もう帰ってしまうのですか?せめて、晩御飯だけでも…。まだ紹介していないお友達もいますし…。」
「気持ちはありがたいが、今すぐ御頭街に戻らんといかんのじゃよ。」
「また来ますから、その時は神殿の中や人魚騎士伝説の事を聞かせて下さいね!」
博士と愛歌は寂しそうな海音を励ました。
「海音、また必ず会いに来る。その時またお粥とか海苔を食べさせてくれよ?」
「深也…。はい、また会う日を楽しみにしています!」
深也は少し笑んだ後、目を瞑って下を向いた。道人たちはトラックに乗り込む。
「船長、このトラック狭くありません?」
「元々三機乗せる用のトラックなんだってさ。我慢してくれ、ランドレイク。」
「へぇーい。」
ランドレイクは渋々トラック内にフォンフェルと共に座った。
「ふむ…。フォンフェルもランドレイクもデバイスにデータを送れんのは何故じゃろうな?今度調べてみんとな。」
そう言った後、博士はトラックに乗った。虎城の車とディサイド・デュラハンを搭載したトラックが発車した。
「皆さん、お元気で!また会いましょう!」
海音は右手を上げて深也たちに手を振った。道人と愛歌、潤奈も車の中で手を振った。深也も右手だけサイドウインドウから手を出して振る。
「…海音さん、見えなくなっちゃったね。自由で、楽しい人だったね。」
「うん。」
「結局、今回は人魚騎士伝説とデュラハンの繋がりはわからず仕舞いだったね…。」
「クラーケンの化石、がそうだったのかな?」
「そうだったら、今回はマーシャルに取られたって事になっちゃうし、違うと思いたいなぁ〜っ…。」
道人と愛歌は今日あった出来事を振り返っていた。
「木倉下とディフィカルトクラーケンの行方も気になるしね…。すぐに見つけて十糸姫の糸を取り返さないと。」
「うん。ねぇ、潤奈は…。」
道人と愛歌は一番左に座っている潤奈を見ると潤奈は窓ガラスに頭を当てて寝てしまっていた。
「…今日一日大変だったもんね。潤奈、海水浴とか色々楽しんでくれたかな?」
「うん。未だに麦わら帽子を手に持ってるしさ、気に入ってくれたよ、きっと…。」
「だね…。」
しばらくすると潤奈は頭の位置を変え、道人の左肩に頭を乗せて左手を道人の胸元に手を当てた。
「いっ…!?じゅ、潤奈…!?」
道人はすぐ近くで潤奈の寝息が聞こえてきて心臓がバクバクした。
「あ、愛歌…。潤奈が…。」
愛歌も寝ていて道人の右肩に頭を乗せて右手を道人の右腕に当てる。
「いぃっ…!?愛歌まで…!?」
しまった、真ん中に座るんじゃなかったと道人は後悔し、愛歌の寝息も近くで聞こえて道人は更に心臓の鼓動が早くなる。
「クスクスッ…!大変ですね、道人君。」
運転している虎城もその様子を見て微笑んだ。
「そんな…。助けて、ジークヴァル…。」
「道人、許せ…。私は無力だ…。」
「何デ?嬉しくないノ、道人?」
道人は家に着くまでこの状態が続き、家に到着した頃には顔が真っ赤になっていた。
母に心配されるが、何とか晩御飯を食べた後、風呂に入り、そのまま自分の部屋のベッドで眠った。




