213章 アタックチームとディフェンスチーム
博士からの急な通信により知らされたDレボリューションの正体。
博士から告げられたのはエンチャント・アクアジェネレーターの開発者、江端千太郎博士の名だった。
「間違いないのか、博士?」
「誰かに奪われて悪用されているとかじゃなくて?」
司令とグルーナがスクリーンに映る博士に問い掛けた。
「わしは千太郎とは若き頃から化学で競い合っておってな…。わかるんじゃよ、千太郎の癖が。たった一部のパーツだけでもわしにはわかる…。エンチャント・アクアジェネレーターを調整できるのは現段階でわしと千太郎しかおらん。」
博士は口では江端博士で間違いないと話しているが、表情には悲しさが満ちていた。
「…でも、江端博士にしては若々しい体型のように見えるけど…。」
「…ヒューマン・デュラハン…って事はないかな?」
江端博士とDレボリューションの体型の差を気にした潤奈に対して、道人はヒューマン・デュラハンである可能性を提示した。
「傀魔怪堕とバドスン・アータスに何かしらの繋がりがあるのは幽霊船での戦いでわかった…。だから、そう思ったんだ。」
「なるほどね。確かに、ヒューマン・デュラハンなら、性格や体型が異なってても不思議じゃないわね。」
愛歌が道人の意見に賛成してくれた。
「じゃとすると、俺と潤奈ちゃんが芽依ちゃんと戦った際に現れたDレボリューション…。その時に奴が連れていた黒いマントを着たデュラハンの一体が奴の相棒となるカウンター・ディサイド・デュラハンじゃった可能性もある訳だぞい。」
大樹の推理に対して潤奈は頷く。
「…わかった、博士。だが、まだ確定した訳ではない。あまり気にし過ぎてはならないぞ?」
「わかっとる、司令!今はわしにできる事を…傀魔怪堕との決戦の前にディサイド・デュラハンの整備を完璧に仕上げるだけじゃ!」
博士は本当は辛いだろうが、道人たちの前で気丈に振る舞ってみせた。
「バドスン・アータス…。シユーザーたちまで今、攻めて来たらたまったもんじゃねぇな…。」
「確かに、ほとんどの人たちが地平からいなくなった今、奴らにとっては好都合だろうけど…。」
深也の不安を聞いて道人も釣られて不安になった。
「何、バドスン・アータスはまだラックシルベ…デュラハン・ハートや地球の文明・軍事力を観察し終えてねぇんだ。まだ来ねぇだろうさ。」
「ライガ、しってる?いまのバドスン・アータスのりーだー、きぶんやのシユーザーなんだよ?」
「マジかよ…。世も末だな…。それじゃ、わかんねぇな…。後、キャプテン・雷牙な。」
元バドスン・アータスのスランとキャプテン・雷牙が意見をくれた。
何にしても、バドスン・アータスへの警戒もするべきだと道人は思う。
「とにかく、改めて傀魔怪堕との決戦、襲って来る可能性があるバドスン・アータスのためのチーム分けを行う!」
時は一刻を争う。司令と十糸姫、通信越しでイジャネラが討論し、道人たちも意見を出し合った結果、メンバー分けが決まった。
「よし、これより決定したチーム分けを発表する!傀魔怪堕に向かい、混沌巨玉の再封印を目的とした突入チーム!まずは傀魔怪堕の地形や情報に詳しい十糸姫とキャプテン・雷牙!」
司令はちゃんとキャプテン・雷牙呼びしてあげていた。
「うむ、道案内は我に任せい!」
「おう!」
「次に波動を探知し、傀魔怪堕の城の位置を探る真輝君とエッジヴァハムート!」
「仲間たちのためにも、全力で煌めいてみせるぜ!」
真輝は椅子から立ち上がり、ガッツポーズを取った。
「偵察行動に長けた潤奈君とフォンフェル!」
「頑張りましょう、潤奈!」
「…うん!」
潤奈も椅子から立ち上がり、右手を胸に当てた。
「同じく、偵察とクリーナーディスクによる回復を兼ねたグルーナ君とルレンデス!」
「奴らの目指す永遠、この私が意を唱えねば誰がやるって感じよ!腕が鳴るわ!」
グルーナは右足を椅子に乗せて腕を組んで強気に出る。
「そして、D・D FORCEのリーダーである道人君たち!」
「はい!」
「道人たちには指一本触れさせん!お互い頑張ろう、ソルワデス!」
「えぇ、頑張りましょう!」
デバイスから声を出したジークヴァルに対し、ソルワデスは同意の構えを取ってみせた。
「そして、オペレーターとしてはこの私!流咲がお供致します!」
流咲も席から立ち上がり、敬礼してみせた。
傀魔怪堕には流咲の父・流咲辰治がいる。その事もあって流咲が抜擢された。
虎城と大神は流咲に拍手を送る。
「そして、ワープ役兼科学者としてマーシャル!このメンバーが突入部隊だ!」
名前が上がらなかった愛歌&トワマリー&ダーバラ、深也&ランドレイク、大樹&カサエル、海音&スラン、司令&ディアス、そして、キャルベン全軍がパークの防衛役となった。
「お前ら、しくじんじゃねぇぞ!」
「深也たちこそ!パークの守りは任せたよ!」
道人は右拳を、深也は左拳を軽くぶつけ合い、互いに笑んだ。
「よし!デュラハンシップが用意でき次第、突入組は出撃!防衛組はいつ襲って来るかわからない傀魔怪堕に備えよ!現状況で両チームに言える事はただ一つ…休むのも仕事の内、だっ!皆、休め!!」
「「「はい!」」」
道人たちは敬礼し、一旦解散となった。
時刻を確認すると夜七時だった。
愛歌たちがまだ流咲たちと会話をしているので道人は司令に気になる事を尋ねてみた。
「夕食…。司令、避難民たちの食事は大丈夫なんですか?」
「あぁ、大丈夫だ。伊達に食堂や遊園地を経営してないからな。」
「それにいざとなったら、キャルベンの兵士に街に食料を取りに行かせる事も可能じゃ。」
「イジャネラ殿の言う通りだ。だから、心配しなくていいぞ、道人君。」
司令とイジャネラの言葉を聞いて道人たちはほっとした。
「さぁ、腹が減っては戦はできぬだ。遠慮せずにたくさん食べて来なさい。」
「はい。ありがとうございます、司令…。」
安心した道人たちは司令室を退室し、食堂を目指す。
「…あのさ、道人。」
愛歌が後ろから呼び止めて来た。
「ん?何、愛歌?」
「良かったら、食事の前にあたしと一緒に遊園地エリアに行かない?流咲さんに聞いたんだけど、道人のお母さんもあたしのお母さんも遊園地エリアで保護されてるみたいだからさ…。」
「あ、そっか…。うん、いいよ。行こうか。」
「じゃあ、私も道人のお母さんにご挨拶を…!」
ユーラが道人の左腕を掴もうとする。
「…駄目。ユーラはこっち。」
潤奈が指を鳴らすとフォンフェルがユーラをお姫様抱っこして飛び跳ねる。
「あぁっ、潤奈!何をぉ〜っ!?」
「道人ぉ〜っ、我も一緒に…!」
姫が道人に飛び付こうとする。
「…十糸姫も駄目。」
潤奈がまた指を鳴らすとソルワデスが姫をお姫様抱っこして跳ねていく。
「そ、其方!何をするかぁ〜っ…!?」
「お、おい、姫さん!?」
キャプテン・雷牙もソルワデスに連れ去られた姫を追いかけていった。
「潤奈…?」
愛歌は不思議な行動を取った潤奈を見る。
「…アトランティスの時は私が留守番だったから…。今度は愛歌の番。ね?」
潤奈は愛歌にウインクして見せた。
「…! うん!ありがとう、潤奈…!」
潤奈は笑みを浮かべ、去って行った。
愛歌はパークの守り組に配属された。あまり考えたくはないが、最悪、愛歌とはもう会えなくなる可能性もある。
潤奈はそれを気遣ってくれたのが道人にも伝わった。
「じ、じゃあ、行こっか。遊園地エリア。」
「うん。何か前もこんな事あったな、愛歌と二人で遊園地で…いや、正確にはジークヴァルとトワマリーもいたけどさ。あの時は楽しかったな…。」
「あ、あたしも…!あたしもあの時は楽しかったよ、道人…!」
愛歌の満面の笑みを見て道人はつい頬を染めた。二人は手を繋いで遊園地エリアを目指した。




