208章Side:グルーナ 羽の数だけ無限の分岐!エターナル=ビーフォールルレンデス
「…アンビリーバボー…。道とんたちから話は聞いていたけれど、これがディサイド・デュラハンの前世を知るための空間ってやつ…。」
グルーナは目が覚めたら色んなデュラハンの頭や絵画が辺りに散らばった不思議な空間に浮いていた。
「…ビーフォールの奴、マジで私をその場で眠らせるとは…。道とんたち、大丈夫かな?早く現実世界に戻った方がいいよね…。」
グルーナは腕を組んで胡座をかきながら前へ前へと流されていく。
「でも、ディサイド・デュラハンの前世って特定の場所で試練を受けないといけないんじゃなかったっけ?何かその場で私見せられてるけど…。」
グルーナは不思議に思った。
「ま、いっか。さっさとルレンデスの前世を知って道とんたちの所に帰ろ、っと。」
グルーナが深く考えるのをやめた途端、光が広がった。
グルーナは気がつくと部屋に立っていた。
「ここは…?」
グルーナは近くに窓を見つけたのでそこまで歩き、外を見た。
「年期を感じる岩造りの家に迷路のような道…。眼前に広がるは雄々しき山々…。雲一つない青空は何と眺めが良い事か!創作意欲アップ!フレーミングよ、フレーミング!」
グルーナは指をカメラの形にして色んな角度から外の風景を見る。
「あ〜あ…!また駄目だったぁっ、また評価されなかったぁっ…。今度は自信あったのになぁ〜っ…。」
グルーナの後ろから聞き覚えのある声が聞こえた。
「あい、ルレンデス!」
グルーナは振り返って指差した。
ニット帽を被ったセミロングヘアの若者が評価されなかった自分の絵を寂しそうに椅子に座って見ていた。
「正解!ふむふむ、これがルレンデスの前世…。まだ若いけど、将来有望なイケメンと見た!」
『…君、緊張感ないね。』
目を輝かせてるグルーナの隣に急にガイアヘッドが現れた。
「あ、何かデパート付近にいた子供だ。」
『…君、道人たちから僕の話聞いてないの?』
「聞いてるわよ?悪い方の地球の意思でしょ?何で?」
ガイアヘッドはグルーナのノリに合わせるのを諦めたのか、前世のルレンデスを見た。
『…彼はスペイン暮らしの売れない画家であり、また父親譲りの才能を活かした発明家でもあった。』
「あ、語り出した。」
『彼にとって場所など関係なく、自分が存在する空間…。そこが彼の世界。だから、試練の場所に指定がない訳さ。』
「へぇ〜っ、なるほどねぇ〜っ。」
グルーナはガイアヘッドの右頬を人差し指でつんつんした。
『…才能はあったんだけど、彼は言葉が強くてね。彼の強過ぎる審美眼が周りには受け付けられなかった訳さ。』
「ふーん、いいじゃない。それだけ自分のドリームにパッションがあった訳でしょ?私はグッドだと思うけどな、その我の強さ。」
『周りに取り入って、媚びるのも世の中を渡り歩くのには必要な事だよ。』
「へぇっ、偉い。地球の意思さんが世の中を気にしてる。感心、感心。」
『…何だ、こいつ…?』
ガイアヘッドは不機嫌そうに腕を組んでいるグルーナを見る。
『ルレンデスは結局短命で、周りに評価されずにその命を終えた。彼の過去はそれで終わりさ。』
ガイアヘッドは手を叩くと辺りが真っ暗になった。
グルーナは暗闇の中、静かに立っていた。
「…! ルレンデス…。」
暗闇の中、機能停止したルレンデスが漂っていたのでグルーナは近づき、優しく胸の顔を撫でた。
『彼はランドレイクと同じく、本来ディサイド・デュラハンになるべき存在じゃなかった。だから、別に特別な過去なんか何もない。これで終わりさ。さて、どうだい?これだけの材料で君たちは何かを掴める?ビーストヘッドを入手できるかな?できるんなら、見せてよ。君たちのディサイドをさ。』
ガイアヘッドはグルーナに対し、嘲笑して見せた。
「なるほどね、確かに前世のルレンデスはそうだったのかもしれないけどさ。でも、今は違うんじゃない?」
グルーナはルレンデスに背を向けてガイアヘッドの方を向いた。
『ほう?』
「本来はディサイド・デュラハンじゃなかったって言うけどさ、それなら良かったじゃない。どういう形であれ、ルレンデスは生をまた得られてさ、私っていう自分を評価してくれる存在に出会えたんだからさ。私は逆に運命を感じちゃうわ。」
『すごい自画自賛だね。君はルレンデスを裏切らないと?』
「最初にこの子と出会った時、自暴自棄に陥ってた私は一方的にルレンデスの事を決して裏切らない最高の理解者って思っててさ…。ルレンデスも私も、正直お互いに依存してた…。あなた、さっき言ったわよね?ルレンデスは強過ぎる審美眼で言葉が強かった、って。」
ガイアヘッドはグルーナの言葉に対して頷いた。
「じゃあ、今までのルレンデスはその審美眼の強さを内に秘めてたんだね。」
『内に秘めてた?前世の事を忘れてただけだろう?』
「違うよ。御頭デパートで潤奈やスタッフたち、私のファンたちの熱い想いを聞いた時、この子は私に言ってくれたの…。」
「…『ねぇ、グルーナ…。おかしいね…。何で、あの人たちは泣きながらグルーナを必死で止めてくれるの…?わからなくて、胸が苦しいよ…』だよね…?」
ルレンデスが目を覚ましたのでグルーナは急いで振り向き、涙目になって頷いた。
「そう、さすが私のルレンデス!一言一句完璧な記憶力よ!」
グルーナは笑みを浮かべ、ルレンデスに抱きついた。
「あなたはそう言って私に意見してくれた…。今思えば、あれは君の素だったのね…。」
「そっか、だから僕はあの時、心が痛かったんだね…。」
『まやかしなんじゃないの?君たちの関係なんてさ。』
ガイアヘッドが空気を読まず、茶々を入れて来た。
「いいえ、まやかしなんかじゃないわ。私たちだけじゃない、道とんたちはみんな、自分のディサイド・デュラハンたちの前世を知っても、関係性は悪化しなかった。むしろ、前よりずっと確かな信頼で、ディサイドという形で結ばれている…。それはあの子たちが自分たちが好きなデュラハンに対して素直に向き合って、受け入れて、前に進めた結果だから。それがあの子たちの永久不滅な美徳だと、私は思うから…!」
ガイアヘッドはグルーナの言葉を聞いて顔を歪み始めた。
ガイアフレームが姿を現し、右平手をガイアヘッドに向けた。
「私があの子たちみたいにできるかどうかはわからないけど…。」
「出来てる!出来てるよ、グルーナ!僕の気難しい審美眼がそう言うんだ、間違いない!」
「そう?そう言ってくれるの、ルレンデス…?」
「うん!前世には現れなかった、新たに生を得た事で出会えた、僕の価値を認めてくれる永遠のパートナー…!大好きだよ、グルーナ…!」
「合格!!」
ビーフォールの声が聞こえたと同時にグルーナは目を覚ました。
「おっ?道人、安心するのじゃ!この外人さんはすぐに目を覚ましたぞ!」
グルーナは十糸姫に支えられていた事に気づく。ルレンデスも立ち上がってグルーナを見る。
「…ありがとう、Ms.大和撫子。もう大丈夫よ。」
遠くで変質した竜鳥亀虎=四騎王と戦っている道人たちが目を覚ましたグルーナを見て笑みを浮かべる。
ガードレールに座っているガイアヘッドは夢の中と同じく顔を歪めていた。
「さぁて、私の聞き間違いじゃないわよね、ビーフォール?」
「合格で間違いなしの文句なし!君たちの美的センスは大変僕好み!これからもずっと、永遠にそのままの君たちでいてね!」
そう言うとビーフォールは機械の孔雀に変化した。
「僕の真の名は君の原点!『エターナル=ビーフォール』!以前、君はこの演劇を始まりであり、呪いと言った!それを成長した君たちが否定してみせて!」
エターナル=ビーフォールはグルーナに向かって小型のビーフォールメカを飛ばし、グルーナは左手に乗せた。
「もちろんよ!私はみんながいれば天井知らず!スランプなんて何のその!見せてあげるわ、永遠に!」
「僕たちの無限大の可能性を今!」
「ビーストヘッド、スタンバイ!」
グルーナがそう言って自分の左頬を人差し指で軽く二回タッチするとエターナル=ビーフォールデバイスがデバイス型に変形し、左手でキャッチした。
「ビーストデバイス、セットオン!」
スマホと合体させたディサイドデバイスから更にエターナル=ビーフォールデバイスをはめ込んで羽で閉じ、ディサイドビーストデバイスへと姿を変える。
「ビーストヘッド・エターナルエヴォリューション!!」
『ビーストヘッド、承認。ビーフォールver.eternal. 後、エターナルは不要です。』
グルーナが自分の髪を左手でパサっと上げた後、右手に持ったディサイドビーストデバイスを前に出す。
一筋の光が掃射され、ルレンデスの背中に当たる。
「行くよ、ビーフォール!」
「うん!」
背中に受けた光通信で合体シークエンスを理解したビーフォールは共に前に走り出した。
「エターナル=ビーフォール、フォーメーション!」
ルレンデスに孔雀をイメージした頭部と変形機構がある肩パーツや爪のついたレッグパーツが付き、ウイングユニットを装着して孔雀のようなカラフルな羽を展開した。
「この羽の数は僕たちの分岐点!無限大で永久に分かれる可能性!エターナル=ビーフォールルレンデス!僕はグルーナと共に理想の未来を選び続ける!」




