207章 十糸に導かれし白き雷牙
「さて…!参ったな、これは…!」
竜鳥亀虎=四騎王を相手にしている最中に現れたビーストヘッド、ビーフォール。それに釣られる形でガイアヘッドが現れ、棒人間がたくさん地面から出て来る、という状況に道人は冷や汗を掻いた。
ガイアヘッドはこちらを嘲笑うように、ビーフォールは大人しく戦っている道人たちを見ている。
「ったく、昨日と同じくぞろぞろとぉっ!」
ヤジリウスは棒人間たちを相手にしながら竜鳥亀虎=四騎王も相手にしていた。
ガイアグレート・ジークヴァルとソルワデスは竜鳥亀虎=四騎王に対してビーム攻撃で攻めていた。
「ねぇ、道とん?確か、ルレンデスの前世を知って納得させれば試練は終わりなのよね?」
「はい!昨日の幽霊船と同じなら、この棒人間たちはそれで消えるとは思いますけど…!」
棒人間たちは腕を伸ばして攻撃して来るが、道人はメタリー・ルナブレードで、ルレンデスは二本のフィルムテープを鞭にして攻撃を防ぎながら棒人間たちを倒していく。
「じゃあ、そこのビーフォール!さっさと私にルレンデスの前世を見せなさいよ!」
グルーナはビシッと呑気に座ってこちらを見ているビーフォールを指差した。
「別にいいけど、その前に僕にもっと見せて。君の美的センスや技術力を。それからじゃないと、や。」
「な、何て融通の利かなさなの…!?」
グルーナは顔を引き攣らせて指差した人差し指を何度も曲げた。
『ははっ、困ったね。さてさて、どうするの?』
「そこのショタ、黙らっしゃい!」
グルーナはガードレールに座っているガイアヘッドを指差した。
「いいわよ、この大観衆の中で私たちの美的センスを披露してあげるわ!行くわよ、ルレンデス!」
グルーナはそう言うとカードを実体化し、デバイスに読み込ませる。
「ヘッドチェイーンジ!ハイディスクプレーヤーヘッド!」
『ディサイドヘッド、承認。この承認に問いかけは必要ありません。』
ルレンデスはHDプレーヤールレンデスに姿を変え、右手に持ったハンドカメラでヤジリウスの刀と黒の斬撃を撮影すると頭に付けているゴーグルにヤジリウスの刀のデータが送られて来る。
「ナイスフレーミングよ、ルレンデス!」
「撮影完了!ディスク生成!」
ハンドカメラを腰のベルトに一旦つけて、右足の小型ディスクが上に射出され、右手でキャッチして、ディスクの穴に人差し指を入れてくるくる回して見せた。
右足にすぐ補充の小型ディスクが装着される。
「黒の斬撃ディスク、セットオン!」
胸のディスクトレイが開き、右手のディスクを入れた。
「録画再生、っと!」
HDプレーヤールレンデスは右手に刀を持ち、抜刀の構えを取る。
「見様見真似のひっひゃぁっ!」
HDプレーヤールレンデスは抜刀し、黒の斬撃で棒人間の一体の身体を抉った。
「へぇっ、俺の斬撃だけじゃなくて、制御ヘッドまでをコピーするとはやるじゃねぇか、ルレンデス!だが、俺に言わせればまだ抜刀のタイミングが甘いぜ!」
「OK、それは僕自身が真似てみせるよ!」
ヤジリウスとHDプレーヤールレンデスは共に黒の斬撃を飛ばし合い、棒人間たちをどんどん消していく。
「どうよ、ビーフォール?これが私とルレンデスの友情のディサイドヘッドなんだからん!」
「うんうん!新しい何かを生み出すためには模倣も大事!しかも、竜鳥亀虎=四騎王がコピーできない特殊な技をルレンデスはコピーできるという対比!良いよ、もっと見せて!」
ビーフォールはHDプレーヤールレンデスの性能をお気に召したようでご機嫌だった。
「よし!俺たちもここで一気に畳み掛けるよ、ジークヴァル!」
道人はそう言うとカードをニ枚実体化させた。
「ユーラに斬撃強化、リムルトさんにダブルブーメランをカードスラッシュ!」
ガイアグレート・ジークヴァルの左肩にダブルブーメランが装着された。
「喰らえっ!」
ガイアグレート・ジークヴァルが高く飛行するとダブルブーメランを射出。斬撃強化がされたダブルブーメランはジェルでできた三度笠を貫通し、竜鳥亀虎=四騎王の身体に激突し、火花を散らせる。
「お前に学習させる隙は与えん!」
ガイアグレート・ジークヴァルは斬撃強化されたオリハルコンランスで竜鳥亀虎=四騎王の頭部を貫いた。その後、膝蹴りでオリハルコンランスを蹴り上げる形で頭を取る。
竜鳥亀虎=四騎王は身体の維持が難しくなったのか、ぐらつき始める。
「よし、中核を成しているドラゴニックダガーが壊れればこっちのもんだ!行けぇっ、ジークヴァル!」
ドラゴニックダガーが破損した竜鳥亀虎=四騎王は合体維持が不可能となり、崩れ始める。
「一つ!」
ガイアグレート・ジークヴァルは高速移動し、バードダガーをヴァルムンクでぶった斬った。
「私が二つ!」
空を飛んでいたタイガーダガーにビームを浴びせ続けた後、飛行形態から人型になり、両手の鉤爪で切り裂いた。
「ヒッヒャァッ!三つぅっ!」
HDプレーヤールレンデスと共に棒人間たちをかなり減らしたヤジリウスは隙を狙って抜刀し、落下して来るタートルダガーに黒の斬撃を浴びせた。
竜鳥亀虎=四騎王はガラクタとなって地面に落ちた。
「ぃよっしっ!竜鳥亀虎=四騎王、撃破ぁっ!」
道人たちは何とか竜鳥亀虎=四騎王に学習する隙を与えずに葬る事ができた。
『おめでとう、やるね。でもさ、まだ終わりじゃないよ。』
そう言うとガイアヘッドは立ち上がり、白と黒の水晶を取り出した。
「…! させるかっ!」
ガイアヘッドが昨日の幽霊船のデンタル・アリゲーターと骸骨兵たちを合体させた時と同じ事をしようとしたのを理解した道人はメタリー・ルナブーメランを咄嗟にガイアヘッドに投げた。が、メタリー・ルナブーメランはガイアヘッドに当たる前に弾け飛んだ。
『残念、当たりません。』
「くっ…!」
『混ざれ、現と冥…。本来、合わさってはならぬ二つを一つとし、この世界を蹂躙せよ…!』
地面から現れた棒人間たちが竜鳥亀虎=四騎王の残骸と合体していき、新たな禍々しい白と黒の竜鳥亀虎=四騎王へと生まれ変わった。
「くっ、せっかく倒したのに…!?」
『またまた残念でした。しかも、デンタル・アリゲーターの時と同じく、前より強いからね。』
ガイアヘッドがそう言うとまた地面から棒人間が現れ始めた。
「み、道とん!あ、あれ!」
「…嘘だろ…。」
グルーナが指差した方を見ると地面から新たなDR デュラハンが八体出現し、すぐに合体して竜鳥亀虎=四騎王が二機現れた。
「くっ、何度現れたってやっつけるまでよ!ね、ルレンデス!」
「うん、永遠は僕らの方が相応しいって嫌と言う程教えてやる!」
HDプレーヤールレンデスはまた黒の斬撃で棒人間たちを倒し始める。
「道人、大丈夫だ!私たちの戦闘力なら、何度だってこいつらを倒せるはずだ!」
「ジークヴァル…!うん、そうだね…!俺たちは諦めない!絶対に!」
「それでこそ我が愛する道人じゃぁっ!」
「えっ?」
聞き覚えのある声が空から聞こえて来た。いきなり光弾の雨が降り始め、棒人間たちはどんどんと撃ち倒されていく。
器用に道人たちには当たらないように撃たれていた。
道人の隣に十糸姫が着地した。
「ひ、姫っ!?」
「道人のピンチに颯爽登場!道人よ、どうだ?惚れ直したか?」
十糸姫は目を輝かせて道人に顔を近づけた。
「ひ、姫、今それどころじゃ…。」
「そうだぜ、姫さん!イチャイチャすんのは後にしな!」
どこかで聞いた覚えのある大声が聞こえてきた。その声の主は道人と姫の前に着地する。
「むぅっ…良いではないか、きゃぷてん。」
「良くねぇよ! ったく、相変わらず調子の狂う姫さんだぜ。」
帽子のような頭をつけ、両手に巨大な爪がある白き狼。または番長のようなデュラハンが姿を現した。
『雷牙』と背中に書かれている、電流が走ったボロボロの黒のマントが風で靡いた。
「よく聞け、てめぇら!地球とバドスン・アータス、傀魔怪堕!果ての果てまで、全ての大地は俺と姫のもの!『キャプテン・雷牙』とは!あ、俺の事だぁっ!」
「「わっはっはっはっはっはっ…!」」
キャプテン・雷牙は腕を組んで威張ってみせた。隣で十糸姫も両手に腰を当てて笑顔で威張る。
「…ははっ、何かすごく見覚えがあるデュラハンなんですけど…。というか、名前そのまんまだし…。」
道人は困り顔で思わぬ助っ人の登場、キャプテン・雷牙と姫の二人の背中を眺めていた。




