206章 四聖獣と孔雀
「グルーナさん!」
「大丈夫よ、道とん!ルレンデス!」
竜鳥亀虎=四騎王はランドレイクのパイルバンカーに模した右腕をグルーナとルレンデスに対し放とうと突撃したが、ルレンデスが先に跳んだ後、フィルムテープを伸ばしてグルーナを巻き、引っ張る形でその場から移動させた。
「さて、どうする、道人…!?」
道人は自分の名を呼んで必死に打開策を考える。
こちらの手の内を見せれば見せる程、行動パターンを学んでいって、強くなっていく竜鳥亀虎=四騎王。
それは今後戦う事になるまだ見ぬダガー・デュラハンたちも同じだと思うと道人たちは足踏みせざるを得なかった。
「人命救助が最優先だから、こいつを無視して先に進んでもいいんだけど…!こいつに背を向けたらいけない気がする…!」
「はい、道人!あいつがこちらを学習するように、私たちも今後のためにあいつの戦闘能力を知っておいた方がいいと思います!」
ユードラ・オリファルゴンの目を点滅させながらユーラも道人に同意してくれた。確かに竜鳥亀虎=四騎王がこの一機だけではない可能性がある。
「難しく考えちゃ駄目よ、道とん!シンプルに!且つ、大胆に!そして、奇抜に!」
「とは言いますが!」
ルレンデスは道人の隣に着地し、グルーナを下ろした。
「…見た目だけで言うなら、合体の中核を成しているドラゴニックダガーを破壊できれば瓦解して、一網打尽にできそうなんだけど…。」
道人は瞬時にドラゴニックダガーを無力化できる方法を考える。
「そうだ、フレンドリーファイアなんてどう?それを私らで演じて、わざと学ばせるの!」
グルーナがアイディアを出してくれた。フレンドリーファイアとは味方同士が誤って攻撃し合う事だ。
「…こいつのAI、そんなに頭悪いかなぁ〜っ…?応用技を咄嗟に思いつく程ですよ?」
「幸いジークヴァルとユーラはオリハルコンボディ!物は試しよ!Let's トライ!」
「OK、グルーナ!ごめんよ、ジークヴァル!」
ルレンデスはフィルムテープを伸ばし、鞭のようにしてガイア・ジークヴァルを攻撃した。
「ぐわぁっ!?ルレンデス、何をぉっ!?」
ガイア・ジークヴァルはノリが良くてやられた振りをして地面に倒れた。
「?」
竜鳥亀虎=四騎王は疑問には思ったようだが、構わず倒れているガイア・ジークヴァルに対し、パイルバンカーで攻撃して来た。
「お、おっと!」
ガイア・ジークヴァルはすぐに起き上がり、ヴァルムンクを構える。
「ごめん、道とん!浅知恵だったみたい!」
「い、いや、誤学習させようってアイディア自体は悪くないと思いますよ?」
「道とん、優しい!撫で撫で!」
グルーナは歓喜の余り抱きついて頭を撫でて来た。グルーナの胸が身体に当たるので道人は紅潮した。
「グ、グルーナさん、戦闘中!戦闘中ですからっ!」
「そうです、グルーナさん!道人へのお触りは許しません!」
空を飛んでいるユードラ・オリファルゴンが目を激しく点滅させた。
「ユーラもムキにならないで!」
「痴話喧嘩、理解不能。」
「いや、痴話喧嘩の知識はあるのか!?」
道人は竜鳥亀虎=四騎王に対して思わず突っ込んだ。
竜鳥亀虎=四騎王は右腕からミサイルを発射した。
「危ねぇっ、道人!」
ヤジリウスが抜刀して黒の斬撃を飛ばしてミサイルを誘爆させた。
「無理矢理、合体解除させてやろう!」
ソルワデスが飛行形態となって飛び回り、ビームを大量に浴びせた。
竜鳥亀虎=四騎王は三度笠をジェルで作って防ぐ。
「…! そうか、ヤジリウスの次元を裂く刃は学習できないんじゃないかっ!?」
道人はヤジリウスの黒の斬撃を見て閃いた。
「あいつはジェル状の球体を変化させる形でトワマリーたちの攻撃を模倣できてるけど、特殊な攻撃方法は真似できないんじゃ…!」
「なるほど、再現には限界がある訳か!良い着眼点だ、道人!」
道人とガイア・ジークヴァルはお互いにサムズアップした。
「ただ、あくまであいつはって話で後に再現できる奴が出て来たら…。」
「その時はその時よ!もしもを気にしたらキリがないわ!今は目の前のこいつを倒すのが最優先!」
道人はグルーナの意見を聞いて頷いた。
「よし、みんな!あいつが真似できないような攻撃で戦おう!とりあえず、今はヤジリウスを中心にしてフォーメーション!」
「ヒッヒャァッ!俺が主役だぜぇっ!」
ヤジリウスは調子に乗って連続抜刀を繰り返し、黒の斬撃を竜鳥亀虎=四騎王に対して飛ばしまくった。
「ユーラ、私と合体だ!」
「はい、ジークヴァル!」
ユードラ・オリファルゴンはガイア・ジークヴァルの背後に回った。
『私は過去!例え、この身朽ち果てようとも!』
リムルトの幻影がユードラ・オリファルゴンの背後に現れた。
「私は今!例え、人の身でなくても!」
「『過去と現在!今、一つとなりて大事な人たちと未来を歩む!』」
ユードラ・オリファルゴンはガイア・ジークヴァルと合体し、ガイアグレート・ジークヴァルに姿を変えた。
「女神と竜姫、二人の加護を身に宿し!三竜統合!ガイアグレート・ジークヴァル、光誕!」
ガイアグレート・ジークヴァルは胸のガイアブラスターと両肩から発射できる竜のエネルギー体をメインに戦い出した。
「えっと、ルレンデスはぁっ…。」
グルーナはデバイスを取り出し、確認し出した。
「君、面白いね。うん、ずっと面白い。」
「えっ?」
グルーナの背後に突然光が集まり出し、鳥の形となっていく。
「な、何よ、急に…!?」
ルレンデスがグルーナの背後に立ち、警戒する。
光は飛び散り、孔雀が姿を現した。
「…!? ビー、フォール…?」
「えっ?ビーフォールって…?」
以前、道人の祖母の家に行く際に潤奈と共に寄ったグルーナの家。
そこでグルーナが話してくれた思い出を道人は思い出した。
「やぁ、僕は…まだ名前はないんだけど、君の言う通りのビーフォール。君の思い出がビーストの姿になったんだ。」
「やっぱり、エターナル・ビーフォール…!」
「そう、君は面白いね。人としての視点、客観的な視点、そして、あらゆるものを取り入れようとする審美眼とセンス。すごく興味深い。その発想力の豊かさを僕はもっと見たいな。楽しみ。」
そう言うとビーフォールはデパート近くの安全な場所まで走り、座った。
「ちょ、ちょっとあなた…。」
「こ、こんな時にビーストヘッドが現れるなんて…!?」
『タイミング最悪だね、道人。』
道人の耳に今この場で絶対に聞きたくない声が聞こえて来た。
『やぁ、昨日ぶり。まさかこんなに早く次の試練が起きるとは僕も思わなかったよ。』
ガイアヘッドが足をぶらつかせながら遠めのガードレールに座っていた。
「…最悪だ。この状況で敵が増えた…。」
『ご愁傷様、道人。それじゃ、試練開始♪』
ガイアヘッドが右手の指を鳴らすと鉛筆でぐしゃぐしゃに黒く塗った棒人間たちがたくさん地面から出てきた。
棒人間たちは今尚、鉛筆で塗り潰されているように全身の模様がぐるぐる回っている。
『どんな名作家でも失敗作は必然的に生まれる…。完成した成功作を作るためには、失敗作は数多く存在しなければならない。それはルレンデスも同じ事…だよ?』
「…ごめん、道とん。私、何か状況を悪くしちゃったみたい…。」
グルーナが寂しそうな顔をして下を向く。
「そんな、グルーナさんのせいじゃありませんよ!大丈夫、絶対に打開しましょう!俺たちみんなで!」
「道とん…。ありがとう、そうよね…!」
道人とグルーナは背中を合わせ、黒い棒人間たちに囲まれた。




