204章Side:愛歌 三鳥の激突
「えぇい、全くぞろぞろと…!」
「ホントにネ!」
フォンフェルとトワマリーが首無し鎧武者を蹴散らしながら進み、愛歌と潤奈、キャルベンの兵士たちはそれでできた道をひたすら走っていた。
「ダーバラ、聞こえる!?御頭中学は今、どうなってるの?」
愛歌はダーバラに飛んでもらい、一足先に御頭中学校に向かわせていた。
本当はフォンフェルとトワマリーに抱えてもらって移動したり、先行をさせたかったが、ぞろぞろと湧いて出る首無し鎧武者軍団のせいで道を塞がれ、それは難しかった。
合間合間に助けられた市民たちをキャルベンの兵士たちに護衛を任せたりもした。
「愛歌かい?参ったよ、校庭には鎧武者がうじゃうじゃさ!えぇい、焦ったい!」
ダーバラは首無し鎧武者たちと戦闘中のようだった。
潤奈の右耳につけている片耳通話イヤホンから着信音が鳴った。
「…はい、こちら潤奈!」
「潤奈さん、流咲です!周辺の監視カメラなどの映像で御頭中学の現状が確認できました!」
流咲の声を聞いて、愛歌も潤奈の近くに走り寄って耳を傾けた。
「ダーバラが戦ってくれていますが、もう生徒が既に何人か…。」
「うっ、そんな…!?」
愛歌はその知らせを聞いて潤奈と共に苦悶の表情を浮かべた。
「ですが、まだ懸命に逃げ続けている生徒や教師たちが残っているようです!」
「…! わかりました!急ぐよ、潤奈!」
「…うん!」
フォンフェルとトワマリーが道を切り開いてくれたおかげで何とか御頭中学まで辿り着けた。
ダーバラが校庭で鞭と鉄扇を振り回して首無し鎧武者軍団を次々と倒していた。
「わ、私の生徒たちに手を出さないでぇっ!」
「…!? 吉野先生!」
愛歌のクラスの担任教師・吉野の声が聞こえて来た。
愛歌と潤奈は共に頷き、声が聞こえた方へと走る。校舎裏に怯える生徒たち四人を箒を振り回して守っている吉野と二人の生徒がいた。
「吉野先生!」
「…!? 城之園さん?」
「トワマリー!」
「…フォンフェル!」
トワマリーは五つの小型リングを、フォンフェルは日本刀で首無し鎧武者を蹴散らしていく。
「じょ、城之園さん…?あなた、どうして…?ひっ!?」
吉野はトワマリーとフォンフェルを見て怯えた。
「大丈夫です、先生!トワマリーは…あたしのディサイド・デュラハン!潤奈とフォンフェルも味方です!」
「ディ、ディサ…イド…?城之園さん、あなた一体…?」
吉野含め、生徒六人は不思議そうに愛歌を見る。
「話は後です!先生、他の先生や生徒たちは!?」
「た、体育会系とミステリー研究会の生徒たちが率先してみんなを守ってくれて…。一部の生徒たちは学校から何とか外に出られたわ。」
「そ、そうなんですか…。意外とやるわね、うちの学校の部活動…。」
それを聞いて愛歌は御頭中学の生徒たちの頼もしさに安心感と勇気を貰えた気がした。
「でも、パークに無事に辿り着けたかどうかは…。」
「それは流咲さんたちに確認を取ってもらわないとわからないか…。わかりました!パークの兵たちが護衛しますから、先生たちも急いでパークに!」
「ま、待って!城之園さん!校内にまだ生徒たちが残っているかも…。」
愛歌は冷や汗を掻いて校舎を見た。
「…愛歌、私とフォンフェルで見て来る!行くよ、フォンフェル!」
「御意!」
フォンフェルはそう言うと潤奈を抱えて飛び跳ねて行き、校舎へと入って行った。
こうしている間にも首無し鎧武者は次々と地面から出て来る。
「こいつら、一体何体いんのよ!?」
「たくさん出て来るように見えるけド…でモ、無限じゃなイ…。多分限りはあると思ウ…。」
「確かに…。無限に出て来られるんだったら、あたしたちの真下に出てきてさっさと足を掴んでもして、地面に沈めばいいだけの話だしね…。」
トワマリーの言う通り、首無し鎧武者たちは数に限りがあり、決して無限ではないように思えた。
「こ、こいつ!?」
「ダーバラ!?」
ダーバラの声がデバイスから聞こえて来た。
「先生、とにかくあたしたちについて来て下さい!」
「じょ、城之園さん!」
吉野たちは戸惑いながらも愛歌について行き、校庭を見た。
ダーバラが空飛ぶ赤い鳥のようなデュラハンと戦っていた。
「ダーバラ!」
「愛歌かい!こいつ、他のと違う…!?」
赤い鳥のようなデュラハンは肩からミサイルを発射。ダーバラは鉄扇を操作してミサイルを防いだ。
「見るからに他のとは違う…!隊長機のご登場って訳…!」
「その通り、私が造った『DRP バードダガー』さ。さて、お手並み拝見。」
愛歌の背後から声がしたので振り返るが、その声を発したドローンはもう飛び去っていった。
「何よ、あいつ…?」
「愛歌、それよりモ!」
愛歌はトワマリーの言葉を聞いて今成すべき事を思考した。
まだ潤奈とフォンフェルが戻って来ていない。二人と合流次第、吉野たちをパークに連れて行くのを最優先すべきだと判断した。
「そのためにはどの道、あの空飛ぶ指揮官機は邪魔ね!行くよ、トワマリー!ビーストヘッド、レディ!」
愛歌が右手の指を鳴らすとリベルテ=イーグルデバイスが宙に浮かんで鳥型からデバイス型に変形。
愛歌がその場で横に一回転した後、右手でキャッチする。
「ビーストデバイス、セット!」
スマホと合体させたディサイドデバイスから更にリベルテ・イーグルデバイスを下からはめ込んで合体。羽飾りがついたディサイドビーストデバイスへと姿を変える。
「ビーストヘッド・エヴォリューション!!」
『ビーストヘッド、承認。イーグルver. Liberta.』
愛歌がディサイドビーストデバイスを前に出すと一筋の光が掃射され、トワマリーの背中に当たる。リベルテ=イーグルが出現し、共に高くジャンプした。
「リベルテ=フォーメーション!」
リベルテ=イーグルがそう叫ぶとトワマリーと合体を開始し、リベルテ=イーグルトワマリーに姿を変えて羽を大きく開いた。
「す、すげぇっ…!」
「城之園さん、あなた一体…?」
キャルベンの兵士たちに守られながら吉野たちは愛歌とリベルテ=イーグルトワマリーを見て驚いていた。
「ダガー・デュラハンだかなんだか知らないけど!」
「私とダーバラのコンビなら!」
「一瞬さ!」
リベルテ=イーグルトワマリーがDRP バードダガーに向かって飛び、右手のクローで襲い掛かる。
DRP バードダガーは向かって来るリベルテ=イーグルトワマリーを警戒した。
「出来の悪いAIだねぇ。あたいと戦ってる最中だろうにさ!」
ダーバラはDRP バードダガーを背後から蹴り飛ばされたが、ミサイルも同時に発射した。
「おやおや、たくさんいるおかげで味方の鎧武者に当たって助かるねぇ。」
首無し鎧武者がミサイルで吹っ飛ぶ中、リベルテ=イーグルトワマリーは回転しながら突き進み、右手クローでDRP バードダガーの腹を殴った。
「ダーバラ!」
「あいよ!」
リベルテ=イーグルトワマリーは鞭になったフェザーグレイブを、ダーバラは鞭を振り回してDRP バードダガーと一緒に首無し鎧武者たちも宙に舞わせる。
「一緒にぃっ!」
「ドーン!」
リベルテ=イーグルトワマリーとダーバラは左右からDRP バードダガーを板挟みにする形で蹴り挟んだ。
「よし、トワマリー!」
愛歌はディサイドビーストデバイスを両手に持って電流が流れても大丈夫なように構える。
「ガアァァァァァーッ!」
リベルテ=イーグルトワマリーは全身からピンクのオーラを放ち、両手のクローでDRP バードダガーをタコ殴りにしながら上昇。
最後にDRP バードダガーの両足を掴んでひっくり返し、下にいる首無し鎧武者たちを巻き込む形でパイルドライバーをお見舞いした。
「ほい、終わり。もう正気に戻りな。」
ダーバラがリベルテ=イーグルトワマリーの頭と胸の鳥の顔にデコピンを喰らわした。
「…ちょっ、ちょっトォ〜ッ…!ダーバラまで私ニ、デコピンする事ないでショ!?」
リベルテ=イーグルトワマリーは右手で額を、左手で胸を抑えてダーバラを見た。
「ごめんねぇ〜。でも、正気には戻ったじゃないか。」
リベルテ=イーグルトワマリーとダーバラは愛歌の近くに戻る。
「何だったの、あのデュラハン…?手応えがまるで…?」
愛歌はDRP バードダガーの弱さに拍子抜けしたと同時に何故だか胸騒ぎがした。
「…DRP各機に…データ、転送…。」
DRP バードダガーは地面に沈んでいった。
「…愛歌、お待たせ!」
潤奈がフォンフェルと共に戻って来た。生徒を九人と校長先生を連れて来てくれた。
「こ、校長先生!?まだ校舎にいらしたのですか?」
「何を言うのです、吉野先生。校長が生徒たちよりも先に逃げ出すなんて有り得ませんよ。本当は校舎を守るために私一人でもここに残りたいくらいです。」
愛歌はまだ四月に入学したばかりなので校長とはあまり面識がなかった。
眼鏡をかけ、白髪と立派な髭を生やしたスラっとした紳士的な老人だった。
「…この人が校舎に残っていた生徒たちを掻き集めてくれてて、すぐに見つけられたの。」
「もう校内には誰も残っていません。私が保証しましょう。」
校長は眼鏡を光らせ、髭を弄った。
うちの学校、部活だけじゃなくて校長も頼もしいな、と愛歌は思った。
「よし!じゃあ、早いとこパークに急ぎましょう!トワマリー、ダーバラ、フォンフェル!道を切り拓いて!」
「OK!奴らに残りの二分間、私のビーストの力を味合わせてくれるワ!」
リベルテ=イーグルトワマリーとダーバラ、フォンフェルが首無し鎧武者たちを蹴散らし、愛歌たちはキャルベンの兵士たちに守られながらパークへと目指した。




