204章 竜騎兵と竜殺し
道人たちが出撃してから一時間が経った。戦島の時は事前に市民を避難させる事ができた。しかし、今回はいきなりの事態で対策が出来なかった。
今や御頭街全体に首無し鎧武者軍団が現れ、街中は戦島の時よりも大パニックに陥っていた。
幸いだったのは首無し鎧武者たちは意思がなく、群れても単調な動きしかできなくて動きがとろい事だ。
道人は以前、傀魔怪堕に行った際にそれは知っており、もう通信で首無し鎧武者たちのとろさは愛歌たちには伝えてある。
そのおかげで道人たちが救出できた人たちもいるが、逆にそれでも既に傀魔怪堕に連れて行かれてしまった人たちも多くいた。
「このぉっ!」
道人がメタリー・ルナブレードで御頭デパート付近に蔓延る首無し鎧武者を次々と薙ぎ倒していく。
道人は逃げ遅れた市民たちの側に近寄った。
「早く逃げて下さい!」
「う、後ろ!」
道人の背後に首無し鎧武者が襲い掛かって来た。
「くっ!」
道人はメタリー・ルナブーメランに変形させて投げる。首無し鎧武者は真っ二つになり、地面に倒れて沈んでいく。
「ふんっ!」
ジークヴァルがメタリー・ルナブーメランを左手に掴み、ブレードに変形。右手に持ったヴァルムンクで二刀流の構えとなって首無し鎧武者たちを次々と薙ぎ倒す。
「道人!」
「ジークヴァル!」
ジークヴァルはメタリー・ルナブーメランにまた変形させ、投げた。道人に返す形で投げられたブーメランは首無し鎧武者たちを吹っ飛ばし、道人の手元に戻った。
道人はメタリー・ルナブレードにしてまた首無し鎧武者の相手をする。
「ひえぇっ、グルーナ!これじゃあ、キリがないよぉ〜っ…!」
ルレンデスはグルーナと背中合わせの形を取り、両肩のフィルムテープを伸ばして鞭のようにして首無し鎧武者を倒していく。
「泣き事…言いたくなるわよねぇっ、この地獄絵図じゃ!」
首無し鎧武者は倒しても次々と地面に沈んでは復活して襲い掛かって来る。
同じくキャルベンの兵士たちもやられてもキャルベンの宇宙船から次々と出てくる。
既に街中は霊魂が飛び交い、キャルベンの兵士と首無し鎧武者たちで溢れる合戦場と化していた。
「道人殿!」
キャルベンの兵士五人が駆け寄って来た。
「ごばぁっ!?」
キャルベンの兵士の一人が首無し鎧武者二人に刀で刺され、消滅した。
「にゃろうがぁっ!」
ヤジリウスが抜刀し、キャルベンの兵士を殺した首無し鎧武者二人を跡形もなく消滅させた。
「大丈夫ですかっ!?ごめんなさい、放置してしまって…!怖かったですよね…?」
ユーラが市民たちに駆け寄った。
「アナウンスは聞かれてますか?」
「あ、あぁ。ご当地ヒーローの格好をした人たちが救助員だと…。」
街中には大神のアナウンスが常に流れている。キャルベンの兵士たちはソルワデスのアイディアでご当地ヒーローという事になっている。
「そうです!式地博士驚異のメカニックヒーローたちなのです!その人たちについて行って、パークの遊園地エリアに避難して下さい!」
ユーラが自信満々に言い切ってくれたので市民たちも信じてくれた。
「わ、わかった!ありがとう!」
「さぁ、こちらに!」
市民たちはキャルベンの兵士たちに護衛されて走る。その間にも首無し鎧武者は襲い掛かって来る。
「させない!」
飛行形態のソルワデスがビームを放ち、首無し鎧武者軍団を吹っ飛ばした。
「よし、グルーナさん!次に行きましょう!」
「大丈夫、道とん?疲れてない?」
もう何人か襲われている市民たちを助けた。だが、道人たちの救助数はまだ三桁にも満たない。
「平気です…!それに休んでる暇ありませんから!」
こうやって話してる間にも首無し鎧武者軍団は次々と地面から湧き出て来ている。
「グルーナさんこそ、気をつけて!」
「全く、こいつら…!周りの人に迷惑掛けずに大人しく私だけを狙ってなさいよね…!」
傀魔怪堕はグルーナを優良人種扱いして狙っていたが、今となってはもう人間全員が標的になったので関係なかった。
「母さん、大丈夫かな…?」
道人は自宅にいる秋子の事が気になってきた。御頭デパートから道人の自宅まではかなり距離がある。
「大丈夫よ、道とん!道とんと愛歌の家の方面には今、海音と真輝が向かってくれてるって虎城から通信があったでしょ?」
オペレーターたちは避難指示だけでなく、道人たちに定期的に通信もしてくれていた。
愛歌と潤奈は御頭中学校方面に、深也と大樹は御頭商店街方面にいるとの知らせが来ていた。
「そ、そうですよね…!あの二人なら、安心して任せられる…!」
道人は海音と真輝を信じ、ただひたすらジークヴァルたちと共に首無し鎧武者軍団を倒しながら人命救助し続ける。
「やぁ、お疲れ様、道人君。」
急に合成音声が道人の背後から聞こえて来た。
道人が振り向くとドローンが飛んでいた。
「Dレボリューション…!」
「良い殺気だね。どれ、ここで更なる敵増援と行こうか。」
Dレボリューションがそう言うと道人たちの目の前にローラーで移動して来るデュラハンが五体姿を見せた。
「ダガー・デュラハン…!」
「おい、一機だけ何か違うぜ?」
ヤジリウスの言う通り、四体は量産型の見た目だが、一機だけ色や形が違った。
明るい青色で竜の意匠が組み込まれたダガー・デュラハンだった。
「その通り、指揮官機の『DRP ドラゴニックダガー』だ。じゃあね。」
「待て、まだお前には聞きたい事が…!」
道人の言葉は無視され、ドローンは飛んでいった。
ダガー・デュラハンたちは右肩にキャノン砲を背負い、ローラーダッシュで迫り、キャノン砲を放った。
「冗談でしょっ!?まだ逃げ遅れた人たちがいるかもしれないのに!」
「ちぃっ!」
グルーナの言葉を聞き、ヤジリウスは黒の斬撃を、ヤジリウスはビームで弾丸が建物に当たる前に撃ち落とした。
抜刀後のヤジリウスの隙をついてDRP ドラゴニックダガーが急接近。ヤジリウスにボディーブローをお見舞いした。
「ヤジリウス!」
「大丈夫だ、道人!効かねぇよ、こんなヘナチョコ攻撃ぃっ!」
ヤジリウスはすぐに着地し、すぐさま抜刀して黒の斬撃を飛ばした。
DRP ドラゴニックダガーはバック走行して避け、間合いを取った。
「こいつら相手にはヘッドチェンジを解禁せざる終えないわね…!ルレンデス!」
「いつでもいいよ、グルーナ!」
グルーナはカードを実体化させ、デバイスに読み込ませる。
「ヘッドチェンジ!マグネティックディスク!」
『あなたは自分が何極だと思いますか?』
「N極!」
『S極。』
ルレンデスに磁石のような角がついた頭が装着され、両手にマグネティックハンドが装着された。両肩にディスク再生機のような肩パーツがつく。
「みんな、こいつらを足止めしてねぇ〜っ?」
ジークヴァルたちはダガー・デュラハンたちにキャノン砲を撃たせないように動き回る。
MDルレンデスは両手に八つのディスクを出現させて持つ。
「当たれ、当たれぇっ!」
MDルレンデスは八つのディスクを投げ、二体のダガー・デュラハンと首無し鎧武者六体に命中した。
ディスクが体内に入ったのでダガー・デュラハンと首無し鎧武者は不思議がった。
「これだけいれば、そりゃ当たるよね!君たちS極!僕はN極!さぁ、寄って来なぃっ!」
MDルレンデスは両手を前に出す。
両肩の再生機に入っているディスクが高速回転して磁力を発生。
ディスクを入れられたダガー・デュラハンと首無し鎧武者は吸い寄せられていく。
「へっ、こいつはいいぜ!自分から来てくれてよぉっ!」
「えぇ、手間が省ける!」
ソルワデスがヤジリウスの隣に着地し、両手に鉤爪をつけた。ダガー・デュラハンと首無し鎧武者を二人で共に斬り刻む。
「敵の数が多くければ、私の研磨も早まるというものだ!」
ジークヴァルは右手に持ったヴァルムンクと左拳と蹴りで首無し鎧武者に攻撃すると全身のオリハルコン化が始まった。
「研磨、完了!」
ヴァルムンクを左手に持ち替えて、最後に右拳で首無し鎧武者を殴ってガイア・ジークヴァルへの変化が完了した。
「よし、私も変化!」
ジークヴァルのオリハルコン化をきっかけにし、ユーラもユードラ・オリファルゴンになって羽を羽ばたかせ、風圧で首無し鎧武者軍団を吹っ飛ばした。
「DRP ドラゴニックダガーとやら!私の前でドラゴンの名を語るとはな!前世から持つ竜殺しの名!伊達ではない事を教えてやろう!」
ガイア・ジークヴァルはDRP ドラゴニックダガーを指差し、挑発してみせた。




