201章【DR Count:01】同盟正式締結
「…やったぁ〜っ、今日はよく眠れたぁ〜っ…!」
道人は目を覚ましたと同時に上半身を起こし、身体を思いっ切り伸ばした。
「良かったな、道人。」
机に置いてあるデバイスからジークヴァルも祝いの言葉を送ってくれた。
「えぇ、よく眠っていた。」
端っこで体育座りして漫画を読んでいたソルワデスも祝ってくれた。ソルワデスはすっかりヤジリウスの影響を受け始めている。
「ありがとう、ジークヴァル、ソルワデス。ガイアフレームから何かしらの交信がないのはそれはそれで残念ではあるけれども…とにかく、久々によく眠れたよ…。」
道人は万感の思いを胸に外着に着替え、洗面所に行って顔を洗った。
「おはよう、道人!今日も良い天気だな!」
真輝が秋子の朝ご飯作りの手伝いをしていた。道人もそれを見て手伝いに入る。
「おはようございます、真輝さん。よく眠れましたか?」
「おう、ばっちりだぜ!」
「それは良かった。後は俺が朝ご飯の手伝いするんで真輝さんは…。」
「いいって、いいって!一宿一飯の恩義ってやつだ!俺がやるから、道人はゆっくりしてな。」
「ふふっ、別に気にしなくてもいいのよ?」
さすがに三人だと台所が狭い。道人はお言葉に甘えて椅子に座ってテレビを見た。
「うわっ、尾凝長官だ…!?」
御頭防衛隊の尾凝長官がテレビの画面に映っていた。せっかく気分が良かった道人だったが、一瞬で気分を害してしまった。
「今日の昼に重大発表があるらしいですが、一体何なんですか?」
「がっはっはっ!それはまだ秘密だよ、君ぃっ!」
「重大発表…?」
道人は報道が気になったが、もう次のニュースに切り替わってしまった。
朝ご飯ができたようなので道人も食卓テーブルに並べるのを手伝う。
「「いただきます。」」「ご馳走になります!」
道人たちは朝食を食べ始める。今日はトーストとコーンポタージュ、目玉焼きとハムだった。
「くぅっ、朝ご飯もうまいぜ!」
「何だったら、今日も夜泊まります?」
真輝とは長い付き合いになるかもしれない。旅費も節約できるだろうから道人は提案してみた。
「そりゃ、ありがたいぜ。割と懐が寂しくてなぁっ…。」
「ははっ、優勝者さんが何をおっしゃるか。」
今朝も真輝と一緒に賑やかな食事をした後、自室に戻った。スマホを確認すると今日もグルーナが潤奈と一緒に車で迎えに来てくれると知らせがあった。
「あ、そうだ。博士に…。」
「私が運びましょう。」
「ありがとう、ソルワデス。助かるよ。」
博士に空野家の資料を見せないといけない。道人はソルワデスに段ボールを渡して空を飛んで玄関前まで運んでもらった。
荷運びを終えた後、一階に降りて真輝と共に玄関に立った。
「それじゃあ、母さん。今日も行って来ます!」
「はい、いってらっしゃい。真輝君もね。」
「一宿させてもらってありがとうございました!」
秋子が玄関の扉を閉じた後、道人と真輝、段ボールを持ったソルワデスは階段を降りる。
「おっす、道人!」
「おはようございます、道人!」
「おはよう、二人共。」
「朝から美人二人と挨拶できるとは良いねぇっ、目の保養だねぇ〜っ!」
真輝は笑いながら道人の胸に右肘を軽くぶつけて来た。
「しかし、これが話に聞いてた道人に関する重要な資料ってやつかい。確か、ウェントだけ?」
昨日大分説明したのもあるが、真輝は飲み込みが早い。もうカウンター・ディサイド・デュラハンとヒューマン・デュラハンの事を理解してくれていた。
真輝は地面に置いてある段ボールを見た。
「聞いてたら何だかすげぇ話だったけど、何かわかるといいな。」
「えぇ、ありがとうございます。」
道人が三人と楽しく会話しているとグルーナの運転する車がやって来た。
「おはよう、道とんたち!」
「…おはよう、みんな。」
「うん、おはよう!」
朝の挨拶をした後、道人たちは荷物や段ボールを車の荷物置きに置いた。その後に車に乗り込み、発車した。
遠くの空でフォンフェルを乗せた飛行形態のソルワデスが飛ぶ。
昨日の帰りの再現のような賑やかな会話をしているとあっという間に会社エリアの駐車場に着いた。
「…?」
道人が車から降りると何か白い物体のようなものが見えた。
「…どうしたの、道人?」
「いや、何か白いのが見えて…?」
「…白いの?」
道人は潤奈と一緒に周りを見たが誰もいなかった。
「ごめん、俺の気のせいだったみたい。行こうか。」
道人たちは駐車場を後にし、普段通りに身体検査を受ける。
博士から話を聞いていた職員が段ボールを運んでくれる事になった。
道人は段ボールを預けた後、司令室へと向かった。
司令室に入るともう全員揃っていた。そこには珍しい人物たちもいた。
「あれ、イジャネラさん?グゲンダルも。」
イジャネラとグゲンダル、海音とスランが司令の隣に立っていた。
「よっ!」
「うむ、おはよう、道人君たち。ははっ、驚いたかい?今からキャルベンと正式に同盟を結ぼうと思ってね。」
「そういう事じゃ。まだ我らが信に置ける存在かどうか、不十分な気もするがな…。」
イジャネラは何だか申し訳ない感じで寂しそうにしていた。
「いや、気にしないでくれ。こちらこそ、こんな状況の中では大した式ができない事をどうかお許し頂きたい。」
「お母様、これから私たちは共にバドスン・アータスや傀魔怪堕と戦う同志です。仲良くやっていきましょう!」
「…そうか。改めて、よろしく頼む。」
司令とイジャネラは握手を交わし、道人たちは拍手を送った。
司令とイジャネラは互いに書類を記入し、これで正式にデュラハン・ガードナーとキャルベンは同盟を組んだ。
「さて、皆に報告しないといけない事がある。まず、ディサイド・デュラハンの知恵を植え付けられた博士三人の件がやっと片付いた。」
「えっ?本当ですか?」
「あぁ、尾凝長官が横島博士を不要と言ったおかげでな。今後、三人の博士たちはデュラハン・パークで雇うという形になった。家にも帰すが、いつディサイド・デュラハンに関する知識が発現するかわからないから、監視付きとなる。」
やっとディールマーシャルに知恵を植え付けられた博士たちの対策がされて道人たちも問題が一つ片付いてほっとした。
「行方不明となったもう一人の…。一般人の松島かなめさんの捜索も引き続き継続する。」
「司令、尾凝長官と言えば今朝ニュースで…。」
道人は今朝見たニュースを司令に言う事にした。
「あぁ、同盟締結の式を簡略化したのもその件のためだ…。尾凝長官が一体何をする気かはわからんが、昼になったら御頭防衛隊が何かを発表するらしい…。我々はそれを確認する。道人君たちはそれまで勉強をして待機していてくれ。」
「わかりました。」
「よし、これで朝のミーティングは終了とする。」
ミーティングが終わるとイジャネラとグゲンダルは海岸に待たせてある小型船へと戻っていった。
道人たちは待機部屋でプリントを渡され、勉強に励む。
真輝は元々、通信性の授業を受けているので道人たちとは別に勉強していた。
グルーナはユーラと海音、スランに絵を教えていた。
黙々と静かに勉強をするのは何だか久しぶりだ、と道人は思った。
「はい、みんな!今日はお昼は早めにしましょうか!」
御頭防衛隊が行う発表会に備えるため、昼食をする事になった。現在の時刻は昼の十一時だった。
「やっと勉強終わったぞい…!」
「さぁて!昼食を食べ終わったら、余った時間でデュエル・デュラハンやろうぜ!愛歌ちゃんや潤奈ちゃん、大樹の実力を知りたいしな!」
「面白いじゃない!あたしたちが優勝者相手にどこまで喰らいつけるか、腕試しなんだから!」
「腕が鳴るぞい!」
真輝たちは張り切りながら、食堂に向かった。
「…何だか真輝さんが来てから更に賑やかになったね、道人。」
「うん、そうだね。」
「何だかんだで楽しいのが一番です!」
潤奈とユーラの言葉に同意しながら道人たちも食堂を目指す。
ずっとこんな平穏な日々が続けばいいのにな、と道人は思った。




