200章Side:ジークヴァル【DR Count:1.5】D会合in空野家
「改めて自己紹介しよう。我が名はエッジヴァハムート。真輝のデュエル・デュラハンだ。よろしく頼む。」
道人と真輝が家の中で会話をする中、ソルワデスたちは屋根の上で腰を落ち着けて会話する事になった。
ジークヴァルはデバイスの中から話すのでソルワデスが気を使って両手で持ってくれている。
「あぁ、よろしく。」
「おう。」
「こちらこそ…。」
ジークヴァル、ヤジリウス、ソルワデスは挨拶し返した。
「すまないな、外で会話する形になってしまって。」
「いや、気にしなくていいぞ。普段はスマホの中にいるからな。むしろ、解放的な気分で良いくらいだ。」
「常にスマホの中にいんのか?せっかく実体化に制限がないのによ。俺なんて道人の漫画常に読み放題だぜ?」
「あなたは逆に遠慮がなさ過ぎるのでは…?」
ソルワデスがヤジリウスに静かにツッコミを入れた。
「たまに真輝がテントで野宿する事があるのだが、その際は常に実体化しているな。旅館などでは姿を見られないように実体化は避けている。」
「なるほどな…。おっと、こちらの自己紹介がまだだったな。私はジークヴァル。道人のディサイド・デュラハンだ。」
「俺はヤジリウス。道人の…何だ?まぁ、デュラハンだ。」
言われてみれば、ヤジリウスは十糸姫の十一本目の糸で歯車がついた布を元にして実体化しているデュラハンであり、他とは違った経緯で誕生した者だという事をジークヴァルは思い出した。
「それでこっちはソル嬢。俺らの紅一点だ。」
「先に言われた…。正式名称はソルワデス。私も道人のディサイド・デュラハンだ。」
「丁寧にありがとう、ジークヴァル。ヤジリウス。ソル嬢。」
「ヤジリウスのせいであだ名呼びになった…。」
ソルワデスがヤジリウスを冷たい目で見るとヤジリウスは両手を合わせて軽く謝って来た。
「ハーライムも会話に参加させたいのだが、彼は三分しか実体化できないからな…。ドラグーン化したら六分ではあるのだが…。話を聞くだけなら、スマホ越しで聞く事はできるのだが…。うーむ…。」
ジークヴァルは画面内で悩んだ。
「しゃあねぇな…。道人の奴、今は真輝と一緒にパック開けてるし、エッジヴァハムートもここにいるからデュエル・デュラハンはやらねぇだろ?俺が借りて来てやんよ。」
そう言うとヤジリウスは立ち上がり、道人と会話をして来た。道人は気前よくハーライムを実体化させてくれた。
「おぉ、ハーライム。また話せて嬉しいぞ。」
「あぁ、三分…ドラグーン化すれば六分という短い間だが、会話に参加できて嬉しい。よろしく、エッジヴァハムート。」
実体化できたハーライムはエッジヴァハムートと改めて握手した。
「しかし、一人でこれだけのデュラハンを連れているとはすごいのだな、道人は。」
「あぁ、大したものだ。もう一人仲間がいるのだが、道人の精神衛生上的に愛歌の家に泊まっている。」
「はい、愛歌には世話になっています。昨日はお風呂の入り方も教えてくれました。」
「そうか、馴染めているようで何よりだ。…」
「「「「…って、ユーラ!?」」」」
ソルワデスの隣に座っているユーラを見てジークヴァルたちは一斉に驚いた。
「はい、何でしょう?」
「いや、何でしょうじゃねぇよ。何でここにいんだよ?」
ヤジリウスが真っ先に質問を投げてくれた。
「ふふん♪皆さんが道人の家の屋根に集まっているのを見て、それを交渉手段に用いて愛歌を説き伏せました!皆さんが会話を終えるまでここにいていい事になったのです!」
「愛歌が双眼鏡でこちらを見ているのですが…。」
ソルワデスがそう言うとジークヴァルのデバイスを愛歌の家の方向に向けてくれた。
「あんまり愛歌の姉さんを困らせんなよ…。」
「はい!改めまして、ユーラです!監視付きですが、よろしくお願いします!」
「あぁ、よろしく。何だか急に大人数になったな。こうやって、大人数で話すのは初めてだからな。テンションが上がるというものだ。」
エッジヴァハムートはユーラも加わったのを喜んでくれた。
「確かエッジヴァハムートは遺跡で真輝と出会ったのだったな。深也の話だと真輝の元々のデュエル・デュラハンはナックルヴェヒーモスだったらしいが、その時の記憶はあるのか?」
大人数になった事で話の主軸を求めたジークヴァルはせっかくなのでエッジヴァハムートを主に会話を進める事にした。
「あぁ、ナックルヴェヒーモスだった頃の記憶は持っている。だから、真輝とは初めて会った気がしなかったよ。真輝と一緒にたくさんのデュエル・デュラハンと戦ってきた記憶もちゃんとあるんだ。」
「そうか。急な実体化に戸惑ったりはしなかったのか?」
「それは最初の頃は驚いたさ。だが、真輝と現実で出会えたという喜びの方が勝っていて、すぐに慣れたな。」
エッジヴァハムートは自分の実体化した身体を確かめるように右腕を色んな角度から見た。
「その気持ち、私にもわかるぞ、エッジヴァハムート。私も初めて実体化できた時は戦いの最中という事もあったが、その時は道人と現実で出会えたという喜びが勝ったものだ。」
「おぉ、そうか!」
ハーライムと意見を同じくし、エッジヴァハムートは喜んだ。
「私もユーラ本人の鏡的な存在でしたが、道人たちが私を人と認めてくれてですね。経緯は異なりますが、お二人の気持ちはよくわかります!」
「そう言うと、俺はこの中じゃ生まれたばかりだから、赤ん坊みたいなもんなんだよな。」
「随分生意気な赤ん坊だな…。」
「あん?何か言ったか、緑野郎?」
「加えて態度も悪いと来た。」
「二人とも、仲良く仲良く…。」
ソルワデスが険悪になりそうなハーライムとヤジリウスを宥めた。
「ほう。二人共、なかなかの波動だ。真輝風に言うと煌めいてる、というやつだな。ここにいるメンバーはなかなかの強者揃いと見た。幽霊船での戦闘も皆、見事なものだった。いつか、手合わせを願いたいものだな。」
エッジヴァハムートはジークヴァルたちとの手合わせを期待して高揚しているようだった。
「その…エッジヴァハムートの言う波動というのは何なのだ?」
今度はソルワデスがエッジヴァハムートに質問した。
「私が実体化した頃から備わっていた能力だ。攻撃にも使えて、近くにいる者限定だが、相手の気というべきものも私は感知できる。また、高めたり、相手に影響を与える事なども可能だ。」
「なるほど、アタッカーでありバッファーでもある訳か。オールマイティーなんだな、エッジヴァハムートは。」
「おーる?」
「マイティー…?」
ユーラとソルワデスは共に頭を傾げた。ヤジリウスは二人に説明する。
「なるほど、だからゲーム内で私を会話可能にさせたり、ドラグーン化させたりできた訳か。」
「その通りだ、ハーライム。場合によっては敵に塩を送る事にもなりかねない諸刃の剣的な能力だ。だが、相手を最善の状態にさせ、私と真輝もそれを全力で相対す。私たちはこの能力を気に入っているのさ。」
エッジヴァハムートのデュエル・デュラハンとしての、戦士としての誇りを聞けてジークヴァルは何だか嬉しかった。
ハーライムが光の玉になり、スマホに戻ってしまった。
「もう三分経ったのか…。」
「しょうがねぇな…。ドラグーン化を道人に頼んで来てやるぜ。」
ジークヴァルの言葉を聞いてヤジリウスは立ち上がり、また道人の元へと歩いた。
「楽しい会話はまだまだ続きそうだな。」
「あぁ、今日はとことん語り合おうぞ。」
この後もジークヴァルたちは道人と真輝が眠りに入るまで語り合った。




