200章【DR Count:02】「黒い」夜空の下で
グルーナと虎城から帰りの車の準備ができたという連絡が入ったので休憩室で待機していた道人たちは外に出た。
「皆さんとのお話が楽しくて、兵士さんを待たせてしまいました…!それでは皆さん、また明日!」
「あぁ、お休み、海音。スランもな。」
「はい、お休みなさい。」
「またねー!」
海音とスランは深也たちに手を振りながら海岸まで走っていった。
スランの右肩に乗っているクラちゃんも触手を振って挨拶をしていた。
先に虎城の車が到着した。
「それじゃあ、また明日の!道人たち!」
「あばよ。」
「うん、お休み!またね!」
大樹と深也は虎城の車に乗り、去って行った。入れ替わりでグルーナのワゴン車がやって来た。
「お待たせん!じゃあ、帰ろっか!」
グルーナがそう言うと道人たちはワゴン車に乗り込む。グルーナの手伝いをしていた真輝は既に助手席に座っていた。
後部座席に愛歌、ユーラ、潤奈と乗った後に道人は最後に乗り込み、ワゴン車は発車した。
「さて、今度は愛歌ちゃんたちの視点を交えて今までの道人たちの話を聞かせてくれよ!」
真輝のリクエストに応え、車内にいるみんなで今までの戦いの話を真輝に話した。ユーラにも聞かせてあげられるのでちょうど良かった。
話をしているとあっという間に道人の家に着いた。
「…じゃあ、みんなお休み。またね。」
「うん、お休み、潤奈。グルーナさん。」
潤奈とグルーナは手を振り、ワゴン車は走り去っていった。
「それでは、道人!参りましょう!」
「はいはい、ユーラはあたしの家だからねー。」
愛歌はユーラの右手を掴んで自宅へ向かう。
「あわわっ!愛歌!私、道人のお母様に挨拶したいですぅっ!」
「それはまた今度ねぇーっ。」
「ははっ、愛歌と仲良くね、ユーラ…。」
道人は手を振って愛歌とユーラを見送った。
「ふむ、これが道人の家か!なかなか立派な一軒家じゃないか!しかも隣に幼馴染の家があるとか俺、初めて見たぜ!なかなかの主人公力の高さじゃないか!」
「それはどうも…。」
道人は照れながらも自宅の玄関まで歩いた。鍵を開け、家の中に入った。
「母さん、ただいま!」
「お帰りなさい、道人。 …あら?またお友達?」
「初めまして、界堂真輝って言うしがない男です!今日、道人と友達になりました!」
そう言えば、今朝に真輝と初めて会ったんだった、と道人は思い出した。何だか前からいたような馴染み具合で不思議な感じだった。
道人は真輝の事情を秋子に話した。
「そう、旅にねぇっ…。今日は道人の友達がたくさん来て何だか嬉しいわねぇ。すぐにご飯作るから、道人は真輝君の話相手になってあげなさい。」
「わかったよ。あ、その前に寝床を教えときますね。」
道人は空き部屋に真輝を案内した。押入れの中から布団を出した。
「この布団使って下さい。もう敷いときますね。」
「おう、サンキューな!」
道人が布団を敷き終え、真輝が荷物を置いた後、リビングに戻って会話をした。
今日だけでかなり真輝とは話をしているが話題が尽きない。
しばらくすると晩御飯が完成し、三人で机に並べた。手を洗った後、椅子に座った。
「「いただきます。」」「馳走になります!」
道人たちは食事を開始した。今日の晩御飯はご飯とクリームシチューにハンバーグと結構ボリューミーな内容だった。
「くぅ〜っ…!これがお袋の味ってやつかい!普段外食ばかりだから、胃袋が幸せだぜぃっ!」
「ふふっ、喜んでもらえて嬉しいわ。おかわりもあるから遠慮なく言ってね?」
「恩に切ります!」
真輝は何だか楽しそうに食べるので見ている道人も楽しく食事ができた。
「しかし、食事する時にジークヴァルのデバイスも机に置くんだな、道人って。」
真輝は机に置いてあるデバイスを見ながらご飯を食べた。
「あ、うん…。ジークヴァルは食べられないから何だか悪いかな、って思う事もあるんですけど…。」
ジークヴァルは前世の記憶ももう取り戻した。食事の光景を見せるのはジークヴァルが人間の頃の事を思い出して悪いかな、と道人は思い始めていた。
「そんな事ないぞ、道人。食事をしながら道人や母上殿と会話するのは私にとっての日常的な楽しみの一つだ。最近は色々あったが、気にしなくていいぞ。」
「そっか…。わかったよ、ジークヴァル。」
ジークヴァルの気持ちも聞けて道人はますますご飯が美味しく感じた。
食事を終え、食器を片付けた後、道人、真輝、秋子という順番で風呂に入った。
風呂掃除を終えた後、真輝と共に道人は自室に入った。
「おぉっ、ここが道人の部屋か!何だか見てると道人の世界観っていうか、人柄の理解度が深まっていく気がするぜ。」
「ははっ、そんな大袈裟な…。」
「ブーメラン、結構あんだな…。」
道人の部屋には父との思い出のブーメランもいくつか飾ってある。
道人はその内の一つを取った。
「思い出のブーメランか…。話は聞いたけどよ、道人は親父さんと敵対する形になっちまったんだよな…。愛歌ちゃんや深也の家族まで…。えげつねぇ科学者が世の中いるもんだな。」
「はい…。でも、大丈夫。父さんたちは必ず助け出してみせますから。」
「やっぱ強ぇな、道人は!俺たちも手伝うから、絶対に親父さんたちを助け出そうぜ!」
「はい!」
道人と真輝は共に強く頷いた。
「しかし、あれだな。本当に窓から幼馴染の家が見えるんだな。」
「幼い頃から隣の家ですから、俺にとってはこれが普通ですかね…。」
真輝は窓から愛歌の家を見たので道人も近くまで歩いて一緒に見た。
「ん?」
道人は窓を開け、右を見た。ソルワデスが屋根の上で体育座りしていた。
昨日は潤奈が愛歌の家に泊まったのでフォンフェルがいたが、今日はいないんだったと道人は気がついた。
「ソ、ソルワデス。別に家の中に入ってもいいんだよ?ほら、ヤジリウスなんてもう当たり前に実体化して俺のベッドに寝転がって漫画読んでるんだよ?」
「おう。」
ヤジリウスはくつろぎながら道人の本棚の漫画を読んでいた。
「いえ、私はここで…。」
「ならば、私が話相手になろう。」
真輝のスマホからエッジヴァハムートが実体化し、ソルワデスの横に座った。
「私はあまり他のデュラハンと話す機会がなくってな。これは良い機会だ。」
「ど、どうも…。」
「どれ、ソル嬢は人見知りだからな。俺も混ざってやるか。」
「だ、誰が人見知りだ…!」
ヤジリウスは漫画を片付け、窓から外に出た。
「せっかくだし、ジークヴァルも参加する!」
「あぁ、そうだな。せっかくの機会だから友好を深めるとしよう。」
道人は窓の近くにジークヴァルのデバイスを立たせてあげた。
「そう言えば、真輝さんはどこに住んでるんですか?」
「ん?俺は隣町の星体町に住んでんだ。そう言えば、道人たちの話を聞いてばっかで俺の話は全然してなかったな。よし、寝る前に昔語りと行くか!」
道人はベッドに、真輝は椅子に座って会話をする事にした。
「…とは言ったものの、別に特別な過去とかないんだけどな。デュエル・デュラハンにハマったのだって、なんとなくアプリを落としてみたってだけだしよ。」
「別にいいですよ、そう言った日常的な話はむしろ大歓迎です。」
この一ヵ月、道人たちはハードな日々を過ごしている。逆に和むような話を聞きたいと道人は思った。
「確か幼馴染がいるんでしたよね?」
「あぁ、春香って言うんだけどな。幼稚園の頃から世話焼きな奴でよ。これが口うるさい奴なんだな。」
「まぁ、わかります。俺も愛歌とは幼い頃から一緒ですし。」
「おう!気が合うな、道人!でも、愛歌ちゃんと比べると可愛げないんだぜ?こ〜んな吊り目でおっかなくてよ!」
真輝は両手の指で自分の両目を釣り上げると同時にスマホが着信音を鳴らした。
「げっ!?噂をすればかよ…!?」
真輝は慌ててスマホを操作し、着信を確認した。
「案の定、春香だったぜ…。」
真輝はトークアプリを道人に見せて来た。『あんた、私の悪口言ってない?』と言う文章だった。
「エスパーかよ、こ奴は…。」
「確かに、すごい察知能力ですね…。」
「…ま、こんな風に頻繁に連絡して来るから何だかんだ寂しくはねぇんだけどさ。」
真輝は旅をしていると言っても道人の一つ上くらいの年齢だという事を道人は思い出した。
「大変じゃないですか、中二で旅するなんて?」
「まぁな。でも、それだけの価値があるぜ、デュエル・デュラハンにはよ。旅したおかげで大会には参加してない強者…道人みたいな存在とも出会えるし、デュエル・デュラハンの生みの親である式地博士とも今日出会えたしな。ディサイド・デュラハンって言う不思議な存在も知る事ができたし…。世界は広いぜ…!尽きる事のないミステリアスさがこの世界にはたくさんあるなぁっ!」
真輝は嬉しそうにスマホを見た。
「デュエル・デュラハンの未来を思うと心が躍るな…!まだ世界には広まってねぇけどさ、いつかは世界っていう大舞台でも俺は優勝してみたいね…!道人も大会に出ないか?道人の腕前なら全国大会でも良い線行けると思うぜ?」
「大会かぁ〜っ…。」
道人はスマホに映るハーライムのステータス画面を見た。
道人は大会には興味があったが、なかなか参加には至れなかった。
「…そうですね。世界が平和になったら、出たいな、大会に…。」
「おっしゃっ、そう来なくっちゃな!新たなライバルの登場は胸が煌めくぜ!よし!」
真輝は一回部屋から出た後、デュエル・デュラハンのカードBOXを二箱持って戻って来た。
「今のこの高揚感なら、良い引きができそうだ…!一つやるからさ、一緒に開けようぜ!」
キャルベンの宇宙船で海音がスランやクラちゃん、深也と一緒にレアフレームのカードを持って絵柄をつけた事を思い出した。
その時に道人もやってみたいと思っていた。
「よぉし、寝る前に開封の儀ですね!良いヘッドカードを当ててみせるぞぉ〜っ…!」
「その意気だぜ!このパックを開ける瞬間!レアを引けるかどうかの一喜一憂が楽しいんだよなぁ〜っ…!」
「わかります、わかります!」
こうして、道人と真輝は楽しく話し合いながらカードに絵柄をつけていった。




