199.5章 ディサイド・メリー・クリスマス!?
「…なぁ、道人。俺、みんなとクリスマスパーティがしたいぞい。」
「…どうしたの、急に?」
道人たちが司令室から外に出た後、整備班たちがガイア・ジークヴァルのボディとランドレイクを回収するために待機していた。
二体は輸送車に積まれ、開発エリアへと運び込まれていった。
今は待機室でグルーナや虎城が帰りの車の用意するのを座って待っている。
真輝はカートン買いをしたデュエル・デュラハンのカードBOXを車に積む都合があるのでグルーナの手伝いに行っていた。
「今、五月ですよ?大樹さん。」
「そうよ。何でクリスマス?」
「…まだ半年以上先だね。」
道人、愛歌、潤奈と次々と大樹に突っ込んでいく。
「何となくじゃ、何となく!そんな気分なんじゃ!今年は何だかんだで俺たちには色んな仲間が増えていったぞい…。前にやったD・D PARTYを今のメンバーでやったら前以上に楽しいものになるに違いないぞい!」
大樹の言う通り、前にやったD・D PARTYでは現地参加が出来なかった海音とスラン。ダーバラやディアス、ソルワデス、イジャネラやグゲンダルたち、ユーラや真輝らがあれから新たに仲間に加わった。
「それで、この大人数で今度やれるパーティと言ったら…そう、クリスマスじゃ!」
「ハロウィンとかじゃ駄目なのか?」
今度は深也が突っ込みを入れた。
「いんや、クリスマスじゃ!俺はどうしてもクリスマスがいいんじゃ!」
「お、落ち着いてよ、大樹…。」
「道人、そのクリスマス?とは何ですか?」
ユーラが首を傾けて尋ねて来た。
「あ、そっか…。ユーラはアトランティス出身だから馴染みがないんだね。」
「クリスマスってのはね、確か元々はキリストの降誕を祝う祭の事なの。他にもサンタクロースが寝ている良い子にプレゼントを大きな靴下に入れたりとかさ、ケーキやチキンとかをパーティという形でみんなと食べたりとか…とにかく、色々目白押しな日なの。」
道人の代わりに愛歌がユーラに説明してくれた。
「なるほどなるほど…。プレゼントとは胸がときめく要素ですね…。サンタクロースについてもっと詳しく聞いても?」
「サンタクロースは空飛ぶトナカイとソリで世界中を飛び回って子供たちを喜ばせてくれる存在なんだ。」
今度は道人がユーラに説明した。
「何と…!?道人の世界にはそんな凄まじい超戦士がおられるのですか…!?クリスマスって一日だけなんでしょう?一日で世界中を…!?」
「…私、駄菓子屋夫婦から聞いてたから、クリスマスは知ってたけど…。サンタクロースってそんな凄い人なんだね…。びっくり…。」
「わたしもびっくり!」
潤奈はリフドー星出身、スランは元シチゴウセンだからかサンタクロースの事を聞いて驚いていた。
「それ程の強者なら、是非手合わせ願いたいものですね。」
「いや、待って欲しい、フォンフェル。サンタクロースは戦闘能力を有しているものなのだろうか?」
「何を言うのです、ソルワデス。一日で世界中を飛び回る程の機動力を持っているのです。恐らく只者ではありませんよ。」
「確かに…。」
「何かサンタさんが誤解されていく…。」
サンタの事を聞かされて張り切っているフォンフェルとソルワデスを見て道人は静かに突っ込んだ。
「私、何だか興味津々です!もっと私にクリスマスを教えて下さい!」
「おっしゃっ!その意気じゃ、ユーラちゃん!」
ユーラに現代知識を教える一環として、まだ待ち時間もあるので話題のためにクリスマストークをする事になった。
「やっぱり、俺は愛歌ちゃんや潤奈ちゃん、ユーラちゃんにグルーナさん、海音さん、虎城さんや流咲さん、大神さんのサンタ姿が見たいぞい!」
「やはり…それが目的か、大樹…。」
「ふーん、大樹君。ふーん…。」
道人と愛歌はジト目で大樹を見た。
「女性陣がサンタ姿とはどういう事です?」
「えっとね、クリスマスにはパーティの際に色んな仮装をして楽しむ要素もあるんだ。それでサンタの格好をする人もいる訳なんだ。」
「そうなのですか…。ではでは、道人は私がサンタの格好をしたら嬉しいですか?」
ユーラは楽しそうに道人の右腕にしがみついて来た。
「えっ!?ま、まぁ、似合うと思うよ、うん…。そ、そう言えば、愛歌が昔サンタの格好して喜んでたっけぇ〜っ…。」
道人は愛歌がユーラにアクションを起こす前に話題を振る高等テクニックを披露した。
「うん、着てた着てた!小学五年生の頃だっけ?懐かしいなぁ〜っ、道人の前でちょっとしたファッションショーしてさ、何だか嬉しかったりさ…。」
策士、策に溺れるとはこの事だ。道人は露出が高く、スカートの丈が短かったサンタ姿の愛歌を思い出してしまって紅潮し、同じく頬を染めた愛歌と互いに見つめ合ってしまった。
「私にも着られますかね?その愛歌のサンタ衣装!」
「無茶ヨ、ユーラ!ユーラのナイスバディと愛歌のスレンダーボディではサイズが違うワ!衣装が破けてしまウ!」
「おのれはいつも一言多い!」
愛歌はデバイスに映るトワマリーに軽くデコピンを喰らわした。
道人は不覚にもサイズが合ってないサンタ姿のユーラを想像してしまい、首を左右に強く振る。
「クリスマス、懐かしいですね…。私も昔は孤児たちとちょっとしたクリスマスパーティをしたものです…。今は全くしなくなってしまいましたが…。」
「なら、ことしはやろうよ、みおん!わたし、くりすます、きょうみしんしんになってきた!きゃるべんのみんなもまじえてやろ?ね?」
スランは海音の背後に回り、海音の両肩に手を置いた。スランの肩に乗っているクラちゃんも喜んでいる。
「スラン…。えぇ、そうですね!何だったら、キャルベンの宇宙船をパーティ会場にする勢いでお母様やソルワデス、グゲンダル、イルーダたちに地球のクリスマスの楽しさを教えてあげましょう!」
「おぉ〜っ!」
「もちろん、深也。その時はあなたも…。」
「お、おう…。」
深也は頬を染めて海音から視線を逸らした。
「くぅ〜っ…!何だか、もうクリスマスまで待ち切れないぞい!カサエル、ビーストヘッドじゃ!『皆』=狸夢操士の夢の力なら、今にでもクリスマスパーティが可能じゃぁっ!」
大樹は靴を脱いで椅子に右足を乗せて張り切ってみせた。
「大樹ぅっ、今日はもうビーストヘッドは使い切っちゃったさぁっ!」
「そうじゃったぁ〜っ…!?」
大樹は両手で頭を抱え、しゃがみ込んでしまった。
「ーそれにさすがに大人数過ぎて全員夢の世界にご招待とはいかないよ、大樹ぅ〜っ。」
大樹の右肩に乗っている狸が険しい顔をした。
「いや、ディサイドの可能性は無限大じゃ!きっとどうにか奇跡を起こせるはずじゃぁ〜っ…!」
大樹は立ち上がり、気合を入れ直した。気づけば、みんなまだ遠いクリスマスに想いを馳せていた。
「何だかみんな、楽しそうだな、道人。」
デバイスの中からジークヴァルが話し掛けて来た。
「うん、何かこうなってた。」
「クリスマスか…。私もそういった行事はあまりした事がないな…。」
「そうだよね…。ねぇ、ジークヴァル。バドスン・アータスや傀魔怪堕との戦いが終わって平和になったらさ。みんなでクリスマス…ううん、色んな行事をやろうよ!誰一人欠ける事なく、みんなで!絶対に!」
「あぁ、明るき未来を求めてお互い頑張ろう、道人!」
「うん!」
道人とジークヴァルは明るき未来を共に夢見て互いに見つめ合った。
「私も一緒に戦いますからね、道人?」
ユーラが改めて道人の右腕にしがみついて来た。
「…よし!なら、私も!」
潤奈の左腕にしがみつく。
「あ、ずるい!二人共!なら、あたしだって!」
愛歌は道人を背中から抱き締めた。
「モテるな、道人。」
「何だかなぁっ…。」
グルーナが呼びに来るまで道人は何とか無心を心掛けて三人の体温を一身に受けていた。




