198章Side:大樹③ 嘘との遭遇
順調に進む二体のアディション・デュラハンのテスト。遂に合体テストをやる事になった。
「合体シークエンスは既にインプット済みじゃ。アディション・デュラハン側が合体してくれるから、合体相手は立っておるだけでいいぞ?まずはバイパーウイングからじゃ。合体するのは…空を経験している者の意見が聞きたいの。ディアス、頼めるかの?」
「了解した。」
そう言うとディアスは背中のウイングと頭と肩パーツを外して合体準備に入った。
「それじゃあ、大神君!合体シグナルを!」
「りょ、了解!バイパーウイング!アディショォーーーン・ユナイトッ!」
モニターに映る大神はキーボードを高速で操作した後、最後の承認ボタンを力強く押した。
「承認確認。これよりアディション・ユナイトを開始します。」
バイパーウイングはディアスの元まで走った後、身体をバラバラにしてディアスの周りにパーツを浮遊させる。
が、パーツは全て装着されず、地面に落ちた。
「な、何じゃぁっ…!?」
大樹が声を上げ、愛歌たちも驚いてバラバラになって地面に落ちたバイパーウイングを見た。
「う、うむ…。ここに来て失敗か…。」
「た、大変だ!よいしょっ、こらしょっ!」
ルレンデスが高速で動き回り、バイパーウイングを元の姿に組み上げてあげた。
「ナイス気遣いよ、ルレンデス!」
グルーナのサムズアップにルレンデスもサムズアップで返した。
「うーむ…。何がいけなかったんじゃ…?」
博士はパソコンを操作し、バイパーウイングの合体シークエンスプログラムをチェックした。
その後、フィールドトラッカーもディアスとの合体を試してみたが、こちらも失敗に終わった。
博士は右手を口に当てて深刻そうにする。
「まだ合体シークエンスプログラムが不完全のようじゃな…。一からプログラミングし直してみるか…。」
「博士、江端博士から通信です。」
虎城が新たにモニターに映った。
「千太郎が?わかった、繋いでくれ。」
博士が許可するとエンチャント・アクア
ジェネレーターの産みの親、江端千太郎がモニターに映った。
「…どうだ、悟?実験はうまく行っているか…?」
「おぉ、千太郎。今、ちょうど稼働テストをしている所じゃ。合体に躓いておるが、起動自体は問題ないの。」
「…そうか。なら、良かった…。」
大樹は初めて江端博士を見たが、目に隈があってやつれているようだった。
「…お久しぶりです、江端博士。」
「…あぁ、君は確か潤奈君だったね…?…元気そうで何よりだ…。…何事も元気が一番だからね…。」
「…? は、はい…。」
潤奈は江端の返事に対して疑問符を浮かべた。博士も江端の様子がおかしい事に気づいているようだった。
「どうしたんじゃ、千太郎?何かいつもと感じが…?」
「…いや、少し寝不足でね…。…楽しくて楽しくてぇっ、たまらない物を見つけたんだぁっ…。…これがかなりやり応えがあってね…。」
「そ、そうか。研究熱心なのは良いが、体調には気をつけるんじゃぞ?」
「…その言葉、そっくりそのまま返すぞ、悟…。」
「皆さん、聞こえますか?」
両博士が会話をしている最中、虎城が再び通信して来た。
「どうしたんじゃ、虎城君?」
「今、御頭商店街付近で爆発があったとの報告がありました。」
「何じゃと?」
虎城の報告を聞いて大樹たちは身構えた。
「バドスン・アータスか傀魔怪堕が現れたのか…?」
「…いや、悟…。…案外、今を生きる人の仕業かもしれんぞ…?」
「…? 千太郎、何を…?」
博士と一緒に大樹たちも江端博士の言う事がよくわからなかった。
この街を今攻めているのはバドスン・アータスと傀魔怪堕の二つの組織。そのどちらかのはずだ、と大樹は思った。
「と、とにかく直ちに現地に向かう必要があるな。司令はおるか、虎城君?」
博士がそう言うと司令もモニターに映った。
「今、ドローンを飛ばして爆発場所の確認はしているが、D・D FORCEの面々も何人か現場に向かって欲しい。」
「そうじゃな。爆発は囮で他に何か企みがあるかもしれん。パークを防衛するメンバーも残しておくべきじゃな。」
「なら、俺が行くぞい。カサエルの自在な術は応用が利くからの。」
「…私も行くよ。私の治癒能力なら、爆発に巻き込まれた人たちを治す事ができるから。」
話はすぐにまとまり、大樹とカサエル、潤奈とフォンフェル、アヤメが現地に向かう事になった。
愛歌とトワマリーとダーバラ、ルブラン。グルーナとルレンデスとキャロルナ、司令とディアス、グリムスにパークの護衛を任せる形となる。
「二人共、気をつけてね?」
「…うん!愛歌もね!」
「外に車を用意させる!大樹君と潤奈君は実験エリアの外で待っていてくれ!」
大樹と潤奈はモニターに映る司令に頷いた後、実験室から外に出た。緊急事態のため、外に出る際のボディーチェックは免除され、すぐに外に出られた。
車もすぐに大樹と潤奈の前に着いたので乗り込み、発車した。
大樹はカサエルのボディを見てすぐに意思データをデバイスでインストールした。
御頭商店街はパークからそこまで離れていないので十分くらいで到着した。
「ここからは問題の場所じゃ。気をつけて行くぞい、潤奈ちゃん。」
「…うん。」
大樹と潤奈は右耳に片耳通話イヤホンを装着し、商店街内を歩く。爆発があったからか、ほとんど店仕舞いでシャッターが降りていた。既に近隣の避難誘導も済んでいるようだった。
「こちら、大樹。虎城さん、ドローンの方はどうじゃった?」
「はい、こちら虎城。敵デュラハンらしき存在は未だ確認できていません。」
そう通信していると遠くでまた爆発が起こった。
「…やっこさんの方から姿を見せてくれたぞい。行くぞい、潤奈ちゃん!」
「…うん!」
「あっしらが抱えるさぁっ!」
カサエルが大樹を、フォンフェルが潤奈を抱えて飛び跳ねながら進み、すぐに煙が上がっている場所、路地裏に辿り着けた。カサエルとフォンフェルは互いに大樹と潤奈を地面に下ろす。
「た、助けてくれぇっ…!」
助けを求める男の声が近くで聞こえて来た。大樹たちが急いで近寄ると青髪の男性が地面に尻餅をついていた。
「大丈夫ですじゃ!?」
「た、助かった…!って、えっ!?こ、こっちもロ、ロボット!?」
男は喜んだのも束の間、カサエルとフォンフェルを見て恐れ出した。
青髪の男性は何だか誰かに似ている気がした。
「…大丈夫です。私たちは味方です。手、怪我してますね…。今、治癒を…。」
潤奈は男の怪我した右手を両手で持ち、光で包んで治癒を始めた。
「き、君たちは一体…?」
「あははっ!見つけたよ、お父さん!」
大樹と潤奈は声が聞こえた方を向いた。女性とデュラハンが目の前で着地した。
女性は銃口を男に向ける。
「な、何じゃ、お前さんは…?」
「…!? 大樹さんに潤奈さん…? …どいて!これは家族の問題なの!邪魔しないで!」
「家族じゃと…?子供が親に銃を向けるんかっ!?」
「うるさい!」
女性はレーザー光線を発射した。カサエルが男性を抱えて避ける。
「…待って!あなたとそのデュラハン、確か博物館の戦いでの報告資料で…。 …芽依ちゃん!?芽依ちゃんだよね!?」
「め、芽依ちゃんじゃと…!?」
大樹も潤奈に言われて思い出した。愛歌たちの報告や、ディサイド・デュラハンのカメラ映像に映っていたエイプリルというヒューマン・デュラハンとグレリースというカウンター・ディサイド・デュラハンだった。
「め、芽依…だって…?そんな馬鹿な…!?だって、姿が…。」
「じゃ、じゃあ、この人が…深也の親父さんなんかぁっ!?」
大樹と潤奈は改めて青髪の男性を見て驚いた。




