24章 例え悪人でも
「壺はもらってIくmon!」
バンペイは壺を右脇に抱え、ディフェンスダイヤトウに乗って逃げようとした。
「…させない!フォンフェル!」
「御意!」
潤奈が名を呼ぶとフォンフェルは潤奈の横に一瞬で現れ、逆手に持った日本刀でディフェンスダイヤトウに斬り掛かるが、右腕で防御される。バンペイはフォンフェルに驚き、ディフェンスダイヤトウの後ろに立つ。
「ラクベスに続いてまた固い奴ですか…!」
「おっと、危ねぇ危ねぇ!よっ!」
バンペイがポケットから多数の矢尻を左手に持ち、宙に投げた。バンペイの周りに矢尻が浮遊する。
「この矢尻は俺に近づくと飛nでiって相手の身体に食i込む!これで俺には近づけなimon、忍者!」
「小癪…!」
「道人君、今ディサイド・デュラハンを積んだトラックに連絡を取ったぞ!それまで待ってくれ!」
「わかった!」
「博士、火災も何とかしないと…! …?」
愛歌は周りを見たが火災はもう消えていた。
「火災は大丈夫です。私がもう消しましたから。」
「あ、ど、どうも…。」
愛歌と虎城は海音がどうやって消したのか不思議に思いながらも海音に軽くお辞儀をした。
「潤奈、僕も加勢する!ハーライム!」
ハーライムをダブルスクリーンモニターから回収した後、スマホをかざし、画面から小さな光が出て、ハーライムが実体化する。
「うおっ!?何だっ!?お前、デュエル・デュラハンを実体化できんのかっ!?」
深也は突然目の前に現れたハーライムに驚く。
「説明は後!ハーライム、あいつを倒すよ!」
「了解だ、道人!アクアスとの闘いに水を差す者、断じて許さん!」
フォンフェルが後ろに飛んでハーライムと合流する。
「加勢する、フォンフェル!」
「また頼りにさせてもらいますよ、ハーライム。」
「潤奈、あの手の敵の弱点、わかるよね?」
「…もちろん、防御が薄い関節部分!」
「正解!」
ハーライムは両刃の斧を手に持った後、フェルフェルと共にディフェンスダイヤトウの装甲の薄い部分を目掛けて刃を振るう。
「あめぇっ、あめぇっ!ディフェンスダイヤトウが何でディフェンスって名前なのかわかるmon?」
ディフェンスダイヤトウは巨大なダイヤモンドのトゲ付きシールドを二つ出現させ、両手に持つ。
「何っ!?」
ハーライムとフォンフェルは刃をシールドで塞がれた。
「デIフェnスに優れてIるからda!」
ディフェンスダイヤトウは盾についている無数のトゲを伸ばし、ハーライムとフォンフェルを串刺しにしようとする。
「…!? 下がって、ハーライム!」
盾の仕組みをいち早く理解したフォンフェルはトゲが伸び切る前にハーライムと共に後ろに跳ねた。
「ダイヤトウスパイクシールドと俺は読nでiる…。」
「…よし、【霧幻】でいくよ、フォンフェル!」
潤奈はデバイスを操作したが、ディサイドヘッドは一回目のヘッドチェンジの使用後に使用できます、と表示される。
「…道人、ディサイドヘッドってすぐに使えないんだって…。」
「そ、そうなの?」
「…仕方ない、ヘッドチェンジ!シャドー!」
『あなたは例えどんな状況になろうとも耐え忍ぶ覚悟はありますか?』
「…うん!」
『承認。』
「僕も!ヘッドチェンジ!プロペラブーメラン!」
ハーライムとフォンフェルは姿を変え、前進。プロペラハーライムは右肩のプロペラを回転してタックル、シャドーフォンフェルは高速移動して斬り掛かるが、固いダイヤモンドに傷一つつかない。
「ちょっとあんた!あたしに負けてお目当ての物が手に入らなかったからって、こんなのあんまりじゃない!往生際が悪いってもんじゃない!」
愛歌はバンペイを指差した。
「そうだよ、何でこんな事するの!?あの壺をどうするつもりなんだ!?」
道人も愛歌と意気投合して問いかける。
「あ?決まってndaろ?俺のI頼主に届けるのさ。」
「依頼主?マーシャルの事かっ!?」
道人の口からマーシャルの名前を聞き、潤奈は眉を強めた。
「マーシャル?あぁ、こIつをくれた女か。ラック何とかを探して来IってIわれたが、せっかく手に入れた力da。俺はこの力でもっと暴れたIndaよ!」
バンペイは両手で持った壺を道人たちに見せる。
「この壺はな、骨董品屋は価値がわからず、気づかなかったみたidaが、相当の値打ちmonda!それをI頼主に渡せば、売った金を山分け!山分け!」
「てめぇっ、何でわざわざこの大会に参加しやがった!?」
深也が道人の横に立ってバンペイを睨む。
「たda骨董品屋を襲ってmoつまらなi!たdaゲーセンを襲ってmoつまらなi!俺moデュエル・デュラハンのプレイヤーda!実力で準々優勝したかった!daが、負けた!しかもお嬢さんに負けた!むしゃくしゃした!daからゲーセンをぶっ壊す事にした!それdaけよ!まぁ、準々優勝してmodoの道、デストロイ・デュラハンで暴れたかったからぶっ壊したかmoなぁっ!」
「迷惑な気分屋ね…!」
愛歌は静かに怒りを露わにした。
「…いるとは思ってた。」
「道人?」
ジークヴァルは道人の声を聞いて心配した。
「僕は今後デストロイ・デュラハンと戦う際、その度に策を考えて巻き込まれた使い手の人だって助けてみせる、諦めないと決めた。でも、巻き込まれた使い手が善人とは限らない…。悪人に渡って悪用する奴もいるだろうって…。」
「あぁ、その通りだ。だが、道人。」
「あぁ、わかってる、ジークヴァル…!例え悪人でも、許せない奴でも、命は命だ…!僕は見殺しになんかしない…!デストロイ・デュラハンを倒した後、捕まえて反省させる…!」
「あぁ、それでいい、道人!」
道人の決意にジークヴァルは共感する。
「ゲーセンは多くの人たちの憩いの場所…!デュエル・デュラハンプレイヤーの神聖な闘技場でもある!それを汚したあいつは絶対許さねぇっ…!」
深也もバンペイに対して怒りの眼差しをぶつける。
「へっ、ガキが…!」
「ガキはどっちだぁっ。」
突然謎の声が聞こえ出した。
「i、i頼主…!?」
「時間をかけ過ぎだぁっ。早く戻って来い…。」
黒い煙幕が周りに充満し、バンペイの姿が見えなくなる。ディフェンスダイヤトウもハーライムとフォンフェルと戦うのをやめ、煙幕に隠れた。
「待て!」
フォンフェルが駒のように回転し、煙幕を吹き飛ばすが、もうバンペイとディフェンスダイヤトウの姿はなかった。
「くっ!逃したか!」
ハーライムは時間切れで道人のスマホに戻り、フォンフェルはシャドーヘッドが消えた。
バンペイたちが逃げた後、ゲーセンに警察がやって来て博士たちが事情聴取を受けた。バンペイの容姿を教え、警官たちは至急捜索に当たった。フォンフェルもバンペイを捜しに単独行動を取る。
「バンペイたちが壺を売り飛ばす前に何とか足取りを掴まないと…!」
道人、愛歌、潤奈、深也は椅子に座り、ただバンペイたちの情報を待つしかなかった。博士は腕を組んで立ち、虎城は店員と会話、海音も深也のとなりで酢昆布を食べている。
「ゲーセンの店員が確認したら、壺だけではありません。賞金の10万円もなくなっていたようです。」
虎城が新たな情報を皆に伝えた。
「壺だけ取ったように見えたけど、賞金まで取ってたのね、あいつ。」
「…ただ待ってるのも時間が勿体ないね。人魚騎士伝説の方も探す?」
「人魚騎士?いるだろ、お前らの目の前に末裔が。」
深也の発言に道人たちは?マークを浮かべた。
「だから、海音が人魚騎士の末裔だよ。」
「はい。私が人魚騎士の末裔ですが?」
道人たちは思わぬ所で人魚騎士伝説の関係者に出会い、驚愕した。




