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ディサイド・デュラハン  作者: 星川レオ
第1部 始まりのディサイド
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22章 人魚騎士伝説

 海の家での食事を終え、もう十分に海水浴を楽しんだ道人たちは服を着替えた後、砂浜に立って本題に入った。


「さて、今からわしらが向かうのは水縹星(みはなだせい)商店街とそこの近隣住民たちにこの町で目撃された首無し騎士らしきものの聞き込みをする。」 


 首無し騎士らしきものの写真は道人たちが水縹星(みはなだせい)海岸に来る前に車の中で見せられていた。博士が写真を鮮明化加工させていて、確かにコンビニ近くの街灯の奥にそれらしきものが映っている。身体がキラキラしている首無し騎士だった。


「それともう一つはこの町に伝わる『人魚騎士伝説』の事も調べる。先の十糸(といと)姫の伝説と同じく、デュラハンの力になる何か特別な物があるかもしれん。」


【人魚騎士伝説。海底都市で静かに暮らしていた魚たちの前に突如巨大なクラーケンが現れ、暴れ出して自分の縄張りにした。 

 クラーケンに支配された魚たちは意気消沈し、恐れながら暮らしていた。

 ある日、クラーケンが暴れていると水縹(みはなだ)色の流れ星が落ちてきた。流れ星はみるみる内に人型に変わっていき、鎧を着た人魚の姿になった。

 人魚は巻き貝の槍と貝殻の盾を手にクラーケンに挑み、あっという間に勝利した。魚たちは人魚騎士を称え、礼の品を与えようとしたが、人魚騎士は私はただ困っている魚を助けたかっただけで、お礼はいりませんと言った。

 その謙虚さを気に入られ、魚たちは人魚騎士をますます気に入った。

人魚騎士はその後も都市に住み、襲い来る敵を蹴散らして魚たちと幸せに暮らしたとさ。】


 道人たちは車の中でこの物語も目に通していた。


「読んだけど、十糸(といと)姫の時みたいに現代でも残ってそうなのは…。」

「巻き貝の槍、貝殻の盾、くらいかな?」

「だね。それらをこの町の人に聞いてみよう。」

「よし!じゃあ、出発じゃ!」


 道人たちは商店街に入り、聞き込みを開始した。日曜だからか、買い物客はけっこういた。


「…どこを見ても人魚騎士伝説のグッズがたくさんあるね。」

「うん、そうだね。 …ところで潤奈、麦わら帽子はまだ被ったままなんだね。」

「…うん、気に入ったから。まだ被っとく。」


 潤奈は鼻歌を歌いながら商店街の活気を楽しんでいた。


「潤奈、海水浴楽しんでもらえたみたいだね。提案して良かったぁ〜っ!」

「そっか、愛歌、潤奈の事を気遣って海水浴を提案してくれたのか。」

「うん、潤奈の過去を知ったらね…。今までつらかった分、今から取り返す勢いで楽しませたいなぁ〜って!」

「ははっ、愛歌らしいね。」

「道人もだよ?あんまり一人で抱え込まないんだよ?ジークヴァルやハーライムも頼りなさい。」

「愛歌の言う通りだ。遠慮せず私たちを頼ってくれ、道人。」

「ありがとう、ジークヴァル。」


 その後、道人たちは聞き込みをしたが、首無し騎士の情報はなく、人魚騎士伝説も既存の情報しか得られなかった。人集(ひとだか)りが多いゲームセンターの近くを道人たちが通ると潤奈が立ち止まった。道人と愛歌は振り返って潤奈を見る。


「どうしたの、潤奈?」

「…これ。」


 潤奈はゲームセンターに貼られているポスターを指差した。どうやら、今からデュエル・デュラハンの町内大会があるらしい。


「町内大会がどうかしたの?」

「…3位の骨董品屋の壺についてるの、十糸(といと)姫の赤い紐じゃないかな?」

「えっ?まさか、そんな…。」


 道人は大会の優勝商品一覧を見た。


優勝 10万円

準優勝 商店街の一万円分の割引き券

3位 骨董品屋の壺

4位 米

5〜8位 カップラーメン三日分

参加賞 ティッシュ箱


「…は、博士ぇ〜っ!?カムヒアーッ!」


 道人は先に進んでいた博士と虎城に向かって叫んだ。博士たちはポスターの内容を把握し、店員に聞いた。どうやら骨董品屋が売れない壺を賞品として出したらしい。譲ってもらえないかと駄目元で頼んだが、もう賞品画像にしてしまったから駄目だった。


「まさか、ここで十糸(といと)姫の糸が見つかるとは…。」

「でも、本物なんですか?レプリカとかかもしれませんよ?」


 博士と虎城はどうするか二人で相談していた。


「博士、虎城さん、僕ハーライムで参加してみるよ!今のところ、首無し騎士と人魚騎士伝説の手掛かりは見つからないし、ここは今見つかった十糸(といと)姫関係の物に挑んでみる!」

「あたしもルブランで出てみるわ!」

「いいでしょう、私のエリンツも参戦します!」


 道人、愛歌、虎城はエントリー用紙に記入し、参加を決めた。


「三人で挑めばきっと手に入るさ!目指せ、準々優勝!」

「目標が高いんだか、低いんだかだね…。」


 道人の発言に愛歌は人差し指で右頬を掻いた。


 一時間後、デュエル・デュラハン町内大会は開始された。エントリーメンバーは十六人。大樹の家にもあったダブルスクリーンのTVゲーム用デュエル・デュラハンだ。


「…三人とも、がんばれ〜!」

「ダブルスクリーンモニターが八台もあるとはなかなかの設備のゲーセンじゃのぉっ!」


 パイプ椅子が並べられてた観客席で潤奈と博士は応援していた。


「がんばれ、道人!ハーライム!」

「うん!さぁ、トーナメント表が出たよ!相手は…。」


空野道人VS海原深也

城之園愛歌VS轟バンペイ

虎城白子VS斉藤綾

殻谷海音VS牧野健太

木倉下進VS星奈々

木野透VS町田大

渡瀬舞VSジャスティスクロー


「えっ!?深也!?」

「…ん?おぉ、道人か。」


 深也は歩いてきて道人の隣に来た。


「ちょっと!生きてたんなら連絡しなさいよ!こっちは調査チームまで作ったんだから!」


 愛歌が道人の隣で叫んだ。


「悪ぃっ、今日目が覚めたんだ。」

「良かった…。深也、生きてて…。」


 道人は両手を深也の肩に乗せて下を向いた。博士もスマホで司令に急いで深也の生存を知らせる。


「心配かけたみてぇだな。俺ならこの通り、大丈夫だ。」

「お友達と再会できて良かったですね、深也。」

「あぁ。 …ん?」


 深也は聞き覚えのある声がしたので隣のダブルスクリーンを見たら海音が立っていた。


「海音?何でここに?」

「私も大会に参加したのです。奇遇ですね。」

「あんたもデュエル・デュラハンを?あんたとは縁があるのかもな。」

「深也、何でこの大会に?」

「徒歩で帰ろうと思ったが…さすがに無理だった。かと言って財布は海の中…。そしたら、この大会の優勝賞金が目に入ってな。参加したって訳さ。スマホが水没して俺の相棒はバックアップしねぇと使えねぇが、貸し出し用デュラハンで十分さ。」

「おっ?言ったな?じゃあ、見せてもらおうか、デュエル・デュラハン大会準優勝の実力を!ハーライム、インストール!」

「あぁ、見せてやるぜ!俺の実力!」


 店員が試合開始の宣言をし、一斉にデュエル・デュラハンの試合が始まった。

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