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ディサイド・デュラハン  作者: 星川レオ
第3部 多元なるアトランティス
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168章 輝け!ガイア・ジークヴァル!

「ジークヴァル、復活祝いだ!お前に良いとこ、譲ってやる!」

「雑兵たちは私たちに任せて!あなたはアトランティスのデュラハンを!」

「あぁ、任せておけ!いざっ!」


 ジークヴァルはヴァルムンクを両手で持って突進し、斬り掛かる。アトランティスのデュラハンは右腕を前に出し、ヴァルムンクを受け止めた。


「私に乗って、ヤジリウス!」

「おう!」


 ソルワデスは変形し、ヤジリウスは乗っかり抜刀の構えのまま姿勢を崩さずに乗った。


「道人、ヘッドチェンジはまだ待ってくれ!私の体内のオリハルコン・デュラハン・ハートが何かを起こそうとしている…!私はそれを確かめたい…!」

「…わかった!気をつけてね、ジークヴァル!」


 道人はジークヴァルの意思を尊重するのと、アトランティスのデュラハンの出方を見るためにまだ攻撃せず、様子を見る事にした。


「ヒッヒャァッ、雑兵共!ジークヴァルの邪魔はさせねぇぞ!」


 ヤジリウスは抜刀し、黒の斬撃を太陽と月のデュラハンたちに飛ばして蹴散らした。


「ふっふっ、色男さん?親切な(わたくし)があなたがいなかった間の出来事を一瞬で理解させてあげますわ。」


 そう言うとイルーダはデバイスを前に出し、画面を光らせた。


「ふふっ、(わたくし)たちはカードスラッシュなんて手間はありませんのよ?ほら!」


 アトランティスのデュラハンはダブルトライデントを両手に持ち、ジークヴァルのヴァルムンクと打ち合い始めた。


「何っ…!?これは深也とランドレイクの…!?」


 ジークヴァルは動揺したが、何とか回転するダブルトライデントをヴァルムンクで弾いて後ろへと跳んで一旦距離を置く。

 アトランティスのデュラハンはダブルトライデントをジークヴァルに向かって投げた後、追加でトライデントを出現させてそれも投げる。


「ジークヴァル!」


 道人は咄嗟にメタリー・ルナブーメランを投げてダブルトライデントを叩き落とした。


「助かったぞ、道人!」


 ジークヴァルは道人に礼を言った後、残る一本のトライデントを斬り落とした。


「あいつら、俺のヘッドを早速使いやがって…!」


 深也が愛歌に肩を貸して道人の近くまで歩いてきた。ランドレイクとトワマリーも合流した。


「更にこんな事もできましてよ?」


 アトランティスのデュラハンはパイレーツヘッドのパーツを装着し、宙に大砲を二門出現させてジークヴァルに放って来た。


「あんにゃろ、俺のディサイドヘッドまで使いやがんのか…!しかも、どう見ても遊んでやがる…!」

「道人、すまねぇっ…!俺がデバイスとスマホを壊されちまったせいで…。」


 深也は歯を食いしばり、悔しがっていた。ランドレイクも怒りで拳を震わせている。


「俺がいない間にそんな事になってたのか…。大丈夫だ、深也!俺たちで絶対に取り返してみせる!」

「その意気だ、道人君!」


 卒間が立ち上がり、デバイスを構えた。ディアスが飛行し、ソルワデスに乗ったヤジリウスと共に飛行した。


「へっ、まだ寝てなくていいのかよ?」

「君たちが頑張ってるんだ、呑気に寝ていられないさ。」

「そのとーり!」


 スランは薙刀を、海音は巻き貝の槍を振り回してジュア・サンとヌール・メナリスの相手を引き受けた。


「もうじゅうぶん、げんきをもらえたから!」

「門番二人は私たちが引き受けます!」


 そう言うと海音とスランは薙刀と槍の高速ラッシュでヌール・メナリスとジュア・サンをアトランティスのデュラハンたちから遠ざけた。


「私たちが縁の下の力持ちを引き受ける!だから、アトランティスのデュラハンを叩きのめしてやれ、道人君たち!」

「了解、司令!」


 卒間はそう道人たちに指示するとカードを実体化させ、デバイスにカードを読み込ませた。


「行くぞ、ディアス!ヘッドチェンジ!テクニカルコマンダー!」

『司令官としての最大の務めとは何ですか?』

「誰一人死者を出さず、無事に生還させる事だ!」

『承認。』


 ディアスはT(テクニカル)C(コマンダー)ディアスの姿に変わり、右手にビームソード、左に四枚刃の鎌を持った。


「テクニカルアーミー、顕現!行くぞぉっ!」


 T(テクニカル)C(コマンダー)ディアスはテクニカルアーミーを従えてヤジリウスたちと共に太陽と月のデュラハンたちの相手をする。


「愛歌、あたいらはどうすんだい?」


 ダーバラも戦線復帰し、愛歌の隣まで飛んで来た。


「あたしたちも道人たちを手伝うに決まってんでしょっ!あたしたちと戦ってもらおうじゃない、イルーダお嬢様!」


 愛歌は深也から離れて一人で立ち上がり、イルーダを指差した。


「あらあら、さっき実力差を思い知ったばかりでしょうに…。学習能力がないのかしら?」

「うっさい!絶対倒して見せるんだからっ!行くよ、ダーバラ!」


 愛歌はカードを実体化し、デバイスに読み込ませる。


「ヘッドチェンジ!グレンフェニックス!」

『ディサイドヘッド、承認。この承認に問いかけは必要ありません。』」


 ダーバラはG(グレン)(フェニックス)ダーバラへと姿を変え、羽を燃やしてイルーダの元へと飛ぶ。


「さぁ、あたいと一緒に舞ってもらうよ、お嬢様!」

「ふふっ、またペットになりたいのかしら?小鳥ちゃん?」


 イルーダとG(グレン)(フェニックス)ダーバラは一筋の炎と黒水となり、ぶつかり合って空高く上昇した。


「そうだ…!私たちはいつもこうやって、みんなで力を合わせて戦って来た…!だから、今度もみんなで勝利を分かち合えると信じている…!もう誰も、大事な人を失いたくはない…!」


 ジークヴァルはアトランティスのデュラハンが両手で持ったアクアバズーカとオーシャンビッグバスターの連続掃射を避けながら隙を伺っていた。


『今のあなたならできます、きっと…。』

「…! リムルト…!」


 ヴァルムンクが光り始めたのでジークヴァルは攻撃を避けながら刀身を見る。


『私の大好きなジークヴァルなら、絶対できますから…!』

「リムルト、君はいてくれたんだな…!あの別れの時から、ずっと…!私が前世の記憶がなかった時から…!ヴァルムンクを実体化できてなかった時から、ずっと待っていてくれたんだな…!」


 ジークヴァルは光り輝くヴァルムンクでアトランティスのデュラハンが発射してくる水をどんどん叩き斬っていった。


「ありがとう、リムルト…!そして…。」

『ロード…。』

「…!? ジークヴァル…?」


 道人にジークヴァルの念話が届いた。ロードの名を聞いたら何故か胸が疼いたため、胸に左手を当てた。


「わかる、わかるぞ…!私の中のオリハルコン・デュラハン・ハートが…魂が疼くのが…!」


 ジークヴァルは胸部分の顔が光り輝き出し、前に跳んだ。アクアバズーカとオーシャンビッグバスターを物ともせずに突き進んでいく。左腕が緑に光り出す。


「来たか…!これだ、私が感じていたのは…!今、我が身体は変化する!」


 ジークヴァルは左手を震わせながら力を入れ、一気に力を込めて握り拳を作る。そして、アトランティスのデュラハンの顔をぶん殴ると左腕の形状が変化した。


「式地博士が作りし鉄の装甲よ!程走(ほとばし)る我が魂と共に、オリハルコンへと研磨せよ!」


 次に右手が輝き、ヴァルムンクが形を変える。両手でオリハルコン製になったヴァルムンクを振り下ろし、アトランティスのデュラハンの胴体を斬った。

 アトランティスのデュラハンはアクアバズーカを地面に落とし、右手で煙が出る胸を抑えた。

 続けてジークヴァルは光り輝く右足、左足でアトランティスのデュラハンを回転蹴りで蹴り飛ばした。


「研磨、完了ぉっ!」


 全身のオリハルコン化を完了したジークヴァルは最後に両手を上に伸ばす。伸ばした先に新たな二本角の頭が出現し、両手で掴んだ。


「ただいまぁっ!頭ぉーっ、着ッ!」


 ジークヴァルは掴んだ頭を力強く自分に装着し、目を黄色く光らせた。目の前に胸当てが出現し、装着される。新たな胸当てにはまるで小さい地球のような丸い水晶がついている。


「私は地球を守りし守護のデュラハン!ガイア・ジークヴァル、ここに顕現っ!」


 ガイア・ジークヴァルは右手に持ったオリハルコン・ヴァルムンクの切っ先を地面に刺し、赤いマントを展開した。


「やはり…ジークヴァルが、姿を…。」


 ユーラは新たな姿となったジークヴァルを見て胸を抑える。気のせいか、ユーラの胸元も少し光出している。


「すごい…!すごいよ、ジークヴァル!これなら…!」

「あぁ、道人!これが私が得た新たな力だ!さぁ、アトランティスのデュラハンよ!お前と同じ、我がオリハルコンの力!その身を以って知れ!」


 ジークヴァルは胸から未だに煙を上げているアトランティスのデュラハンを左手で指差した。

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