165章 飽きさせない愛
「し、しまった…!?頭が…!?」
イルーダの手によって、アトランティスのデュラハンは頭をつけられ、完全体と化してしまった。アトランティスのデュラハンは全身から光を発し、暴風を撒き散らした。
「きゃあっ!?」「ちょっと…!?」
「…! 愛歌っ、ユーラ!」
道人はレッグパーツで加速し、暴風で吹っ飛んだ愛歌とユーラを何とか必死で受け止める事に成功し、着地した。
「二人共、大丈夫っ!?」」
「あ、ありがとう、道人…。」「ありがとうございます…。」
「マーシャルは!?」
マーシャルはイジャネラと共にワープで自力で壁際に移動していた。ワープを多用しているからか、マーシャルは少し疲れているように見える。海音とスラン、トワマリー、ヤジリウスも無事だ。
「あぁっ、アトランティスのデュラハンが…!?」
ユーラの声を聞いて道人はアトランティスのデュラハンを見た。そいつは不気味に佇んでいた。
「…二人共、あいつの身体の色は何色に見える?」
「…青…。」「青です…。」
「…俺にも青に見える。いや、でも…。」
愛歌とユーラの言葉を聞いた後、アトランティスのデュラハンは赤、緑、黄、紫…次々と色が変化した。
「あはっ、あっはっはっはっはっはっ…!なぁにこれ!?すっごい…!私の頭の中に次々と情報が流れ込んでくる…!」
イルーダの右手に持っているデバイスが虹色に発光し、それを嬉々としてイルーダは見ていた。
「はっはっ、そうなんだ…!地球の自転の高速逆回転とか生意気な事しましたのね、地球のデュラハンとやらは!」
イルーダが知らないはずの情報を口にしてきたので道人の全身に悪寒が走った。
「な、何で君がそれを…!?」
「すごい…!すごいわ、アトランティス…!オーバータイムリバースする前の出来事まで内包してるなんて…!」
「…!? もうなくなったはずの未来を…!?」
「このお方、すごく根に持ってる…!ヴァエンペラに極烈災将軍との三つ巴の激戦…!そこに乱入した…道人、あなたたちですわっ!」
イルーダは左手で道人を指差した。
「あなたたちの乱入がなければ、このお方はヴァエンペラや極烈災将軍に負ける事はなかった…!でも、嬉しい…!あなたはなくなった未来で出会った私に興味を持ってくれて、パートナーに選んでくれた…!何てロマンチックなのかしら…!」
イルーダは両手でアトランティスのデュラハンの頭を持って見つめた。アトランティスのデュラハンもイルーダの髪を優しく撫でる。
「ふふっ…!でも、地球のデュラハンには感謝しますわ…!やり直した世界、今回の世界はアトランティスのデュラハンがヴァエンペラと極烈災将軍よりも先に本来の力を取り戻す事ができた…!おかげで私はこのお方と長く、ながぁ〜く添い遂げる事ができるのだから…!アッハッハッハッハッハッ…!」
イルーダは喜びの余り、右手を顔に当てて天井を見て高笑いした。
「駄目です、そんなはずはありません!あなたはアトランティスのデュラハンに利用されているだけです!目を覚まして下さい!」
ユーラが前に歩き、必死でイルーダに訴えかけた。道人は急いでユーラの前に立ち、右手をユーラの前に伸ばしてこれ以上近づかないように静止した。
「そうです、イルーダ!あなたは…!」
「ノンノン、お姉様!この方は間違いなく、私の運命の相手…!この方は私に色んな景色を見せてくれる、色んな知恵を与えてくれる…!いくら飽きっぽい私でもこの方は私に飽きさせない工夫をして、色んな方面から愛を与えて下さるの…!」
道人たちはイルーダの恋への酔いしれ具合に思わず顔を引き攣らせた。
「道人、ありゃ、もう駄目だ。手に負えねぇ。」
ヤジリウスも呆れ気味でお手上げ状態だった。
「…愛歌、クローズゲートの用意を…。この状況、どう見ても部が悪過ぎる…!」
道人はユーラと共に後ろに下がって愛歌に小声で喋った。アトランティスのデュラハンにイルーダ、ヌール・メナリスとジュア・サンに部下十四人。どう見ても圧倒的にこちらが不利だった。
「かと言って奴らを野放しにする訳にもいかない…!ましてや、元の世界に行かせたりしたら…!?」
道人はしたくもない未来予想をしてしまったため、首を左右に振った。
「…そうね、あたしも一旦司令と深也たちと合流した方がいいと思う…!」
「あら、逃げる気?」
イルーダがそう言うとアトランティスのデュラハンは右手をゆっくりと前に出した。
「…!? やばい…!?何かする気だ…!?」
アトランティスのデュラハンの地面に魔法陣が出現し、どんどん広がっていく。
「ちょ、ちょっと!?どう見ても中に入ったら超絶不利になる代物じゃないの、あれ!?」
「みんな、逃げろぉっ!!」
道人たちは訓練室に入って来た出入り口へと走る。その間、魔法陣はすごい速度で広がっていく。マーシャルは咄嗟にイジャネラと共にワープした。
「皆さん、早く!」
ユーラが振り返ってバリアを貼り、魔法陣を少しの間、進行を止められた。
「きゃあっ!?」
「ユーラ!!」
魔法陣に押し返され、ユーラは吹っ飛ぶが道人が何とか受け止める。愛歌は慌ててカードを実体化させてデバイスに読み込ませた。
「ヘッドチェンジ!クローズゲート!」
『あなたは固く閉ざされた扉の中に何があったとしても開く事はできますか?』
「できる、できる!だから、なる早!なる早で!」
『承認。』
トワマリーはクローズゲートトワマリーになり、外側まで移動してクローズゲートを出現させて無理矢理出口を作った。
「さぁ、みんな、早く!」
「ありがとう、愛歌!」
クローズゲートトワマリーは愛歌を、ソルワデスはユーラを、ヤジリウスは道人、海音とスランは一緒に宇宙船の外に出て、着地した。
「道人君!!」
「司令、深也、ディアスにランドレイクも!」
卒間たちは慌てて道人たちの側まで駆け寄った。
「し、司令…。マ、マーシャル!?マーシャルは!?イジャネラと一緒に先にワープしたんですけど…!」
「恐らく、彼女の能力的に咄嗟にワープしたとしたら…私たちが入って来た裏口じゃないか?よし、私が行こう!」
そう言うとソルワデスは飛行形態になって飛んでいった。
「し、司令!早く撤退を…!ア、アトランティスのデュラハンが…!?」
「な、何じゃ、ありゃぁっ…!?」
深也の驚きの声を聞き、道人たちは思わず振り返った。
「なっ…!?」
クローズゲートトワマリーが作った、使い終わったはずの緊急出口が形をどんどん変えて広がっていき、中からアトランティスのデュラハンとイルーダたちが出てきた。
「チャオ!お早い再会ですわね、皆々様方。」
「嘘…だろ…?」
アトランティスのデュラハンがこじ開けたクローズゲートは消滅した。
「何て奴なの…!?クローズゲートを無理矢理使うなんて…!?」
「ふむ…。」
イルーダは前屈みになり、道人たちを見た。ソルワデスがマーシャルとイジャネラを抱えて戻って来た。どうやらマーシャルのワープ先は裏口で良かったみたいだ。
「新婚旅行は元の世界の蹂躙…と行きましょうか。ねぇ、あなた?」
アトランティスのデュラハンはまた左手
を前に出すと自分の周りに小さい画面を出現させて、画面から剣・槍・トンファー・バズーカ・駒・多数のカードを出現させた。
「な、何をする気なんだ…!?み、みんな、来るぞぉっ!?」
道人たちは警戒心をMAXにして身構えるとアトランティスのデュラハンはまるでこちらを嘲笑うように顔を上に上げて見下ろした。




