107章Side:愛歌③ 自由の鳥と縛られた鳥
愛歌は自分との会話の後、悲しそうにしているソルワデスの様子が気になってしまったが、その迷いを振り払うように首を左右に振って右手に持ったデバイスを見た。
「もうクローズゲートは時間切れ…!悔しいけど、ソルワデスもダーバラも手強い…!ならさぁっ!」
愛歌は右肩に乗っているイーグルデバイスを見て頷いた。
「トワマリー、ごめん!ビーストヘッドで行くよ?大丈夫?」
「もち!だヨ、愛歌!ダーバラを助けたイ…!そのあたしたちの強き想いデ、ビーストヘッドを必ず制御してみせル!」
CGトワマリーはダーバラを助け出す決意を胸に秘めて愛歌の前に立つ。
「お願い、あたしの女王様!ビーストヘッド、レディ!」
愛歌が右手の指を鳴らすとリベルテ=イーグルデバイスが宙に浮かんで鳥型からデバイス型に変形。愛歌がその場で横に一回転した後、右手でキャッチする。
「ビーストデバイス、セット!」
スマホと合体させたディサイドデバイスから更にリベルテ・イーグルデバイスを下からはめ込んで合体。羽飾りがついたディサイドビーストデバイスへと姿を変える。
「ビーストヘッド・エヴォリューション!!」
『ビーストヘッド、承認。イーグルver. Liberta.』
愛歌がディサイドビーストデバイスを前に出すと一筋の光が掃射。CGヘッドが解除され、トワマリーの背中に当たる。リベルテ=イーグルが出現し、共に高くジャンプした。
「リベルテ=フォーメーション!」
リベルテ=イーグルがそう叫ぶとトワマリーと合体を開始し、リベルテ=イーグルトワマリーに姿を変えて羽を大きく開いた。
「何だ、あの姿は…?機械の獣と合体しただと…?」
「こうなった私ハ、もう止められないゾ…!」
リベルテ=イーグルトワマリーはそう言うと一瞬でソルワデスの目の前まで移動した。
「なっ、速い…!?」
リベルテ=イーグルトワマリーは膝蹴りをソルワデスの胴体の魚の顔に喰らわせ、天高くまで飛ばした。
「がっ…!?」
「あなたたちは確かに強イ!でモ、それは個々の強サ!あなたたちにコンビネーションはなイ!悪いけド、この力で分断しテ、叩かせてもらウ!」
リベルテ=イーグルトワマリーは一瞬で落下中のソルワデスの近くまで来て、野生を解放した。全身からピンクのオーラが溢れ出る。
「ハアァァァァァーッ!!」
「…ごめん、あたしたちはダーバラを助けたいから…!悪いけど、あなたには戦闘不能になってもらうからっ!」
愛歌は先程のソルワデスの反応が気になり、頭から離れなかった。もしかしたら、話が通じる相手なのかもしれない。だから、倒さない判断をした。愛歌は電流を周りに撒き散らし、振動するディサイドビーストデバイスを離さないように両手で必死に持つ。
「ガァァァァァーッ!!」
リベルテ=イーグルトワマリーはフェザーグレイブを出現させ、右手に持つ。フェザーグレイブを鞭状に変え、ソルワデスの身体を巻き、自分の前へと手繰り寄せる。フェザーグレイブから手を離し、両手の鉤爪でソルワデスを下から何度も殴っては斬り裂くを繰り返し、地面への落下を許さない。
「こ、こいつ、何だ…!?まるで…さっきとは別人…!?」
「ガァァァァァーッ!!」
リベルテ=イーグルトワマリーはラッシュ攻撃を止め、胸の鳥の顔の口から鳥の鳴き声のソニックブームを発射。ソルワデスは吹っ飛ぶが、リベルテ=イーグルトワマリーは止まらない。高速で移動し、吹っ飛んでいる最中のソルワデスの周りをぐるぐる回りながら鉤爪で斬り裂き続ける。
「こ、こいつ…!?凶暴過ぎ、る…!?」
リベルテ=イーグルトワマリーはソルワデスに膝蹴りを喰らわし、ソルワデスを上空に飛ばした後、すぐに追いついて回し蹴りで遠くへと吹っ飛ばした。
「わ、私は…まだ、ミオンと…。」
「も…もういい!そこまでよ…トワマリー…!」
「…ふあァッ!?うゥッ…やっぱリ、きついネ…こレ…!意識を持ってかれル…!」
リベルテ=イーグルトワマリーは正気を取り戻した後、ソルワデスから離れて宙に舞ったフェザーグレイブを右手でキャッチした。遠くの山で土煙が舞った。トワマリーが正気に戻り、愛歌が持つディサイドビーストデバイスの電流と振動が少し弱まった。
「…やっぱり、ビーストの力、凄まじ過ぎ…!?あんなに苦戦したソルワデスを一方的にやれちゃうなんて…!?」
愛歌の心の中にやり過ぎた、という罪悪感が膨らんだ。
「ソルワデスは話がわかるかもしれない、って判断しておいてあたし…何やって…!?」
これだとダーバラを助けるどころか殺してしまうのではないか、という恐怖が愛歌を襲う。愛歌が動揺するとディサイドビーストデバイスが強く振動し始める。
「いけない、弱気になっちゃ…!あたしたちはこれからも、この力を使いこなさないといけないんだから…!」
リベルテ=イーグルトワマリーは急落下し、ダーバラに向かって突撃する。
「怯えないデ、愛歌!寄生ヘッドだけを何とか壊せればァッ!」
自分の危機を察知した寄生ヘッドが反応し、ダーバラは空を飛んでリベルテ=イーグルトワマリーに向かって飛び、六つの白刃を飛ばした。
「それは私が弾ク!」
リベルテ=イーグルトワマリーはフェザーグレイブで連続突きをして向かってくる白刃を破砕した。リベルテ=イーグルトワマリーとダーバラは一瞬で間合いを詰める。ダーバラは右拳を、リベルテ=イーグルトワマリーは左拳を空中でぶつけ合う。
「トワマリー、寄生ヘッドだけじゃなくて、ダーバラの羽も狙って!空を飛べなくして、場合によってはルブランと二人掛かりで寄生ヘッドを壊すの!」
リベルテ=イーグルトワマリーがもし暴走したとしてもデュエル・デュラハンのルブランがいれば何とかなる。愛歌がディサイドビーストデバイスを持てなくなってもルブランが支えてくれると考え、敢えてルブランを今まで実体化させずに、縁の下の力持ち役として温存していた。
「わかっタァッ、羽ねェッ!」
リベルテ=イーグルトワマリーとダーバラは空中を飛び回り、何度も拳と鉤爪、フェザーグレイブをぶつけ合っていた。
「このままじゃ埒が開かない…!仕方ない…!ハアァァァァァーッ!!」
リベルテ=イーグルトワマリーは全身からピンクのオーラを放ち、咆哮した。ディサイドビーストデバイスがまた電流と振動を始める。
「お願い、トワマリー…!やり過ぎないでぇっ…!」
リベルテ=イーグルトワマリーはグレイブフェザーを鞭状にし、ダーバラに向かって伸ばすが、ダーバラは無茶な態勢で避けた後、妙な格好のまま突撃し、白刃を六つ飛ばした。
「ガアァァァァァーッ!!」
リベルテ=イーグルトワマリーは胸の鳥の顔の口からソニックブームを放ち、白刃と向かってくるダーバラを吹っ飛ばした。リベルテ=イーグルトワマリーは即座にダーバラに近寄って左鉤爪で攻撃を仕掛ける。が、ダーバラは自分の関節など気にせずに無茶な方向転換を行い、自らの身体を駒のように回転させ、リベルテ=イーグルトワマリーの左鉤爪を弾いた。
「ガッ…!?」
ダーバラはすぐにリベルテ=イーグルトワマリーの左腕に抱きつき、高速回転。リベルテ=イーグルトワマリーの左腕を捻り切った。
「なっ…!?嘘でしょっ!?トワマリー!」
「ガ、ガァァァァァーッ!!」
リベルテ=イーグルトワマリーは千切れた左肩から火花を散らしながらもダーバラに突進。ダーバラはトワマリーの左腕を棍棒代わりにしてリベルテ=イーグルトワマリーの頭をぶん殴った。
「トワマリーの左腕で…!?」
リベルテ=イーグルトワマリーはそれでも負けじと残った右鉤爪を伸ばし、ダーバラの右羽を掴む。
「ギ、ガァァァァァァーッ!!」
リベルテ=イーグルトワマリーはそのまま急速落下。ダーバラを地面に叩きつけた後、右脇にダーバラの羽を抱えて引きちぎる事に成功した。
「よし、今だ…!お願い、ルブラン!」
電流を発し、振動するディサイドビーストデバイスから光の玉が出て、白騎士ルブランが白いマントをたなびかせて実体化した。
「後は私に任せて、愛歌!」
「もういいの!正気に戻って、トワマリー・!」
「グ…ウ…うわぁっ…!?わ、私の、左手ぇっ…!?」
正気に戻ったリベルテ=イーグルトワマリーが自分の左腕が無くなった事に驚き、地面に膝をついた。愛歌のディサイドビーストデバイスも電流と振動が落ち着く。
「チ、チャンスなんだからぁっ…!」
愛歌はディサイドビーストデバイスに合体させているスマホを操作し、ルブランにショットサーベルヘッドをつける。白い帽子に白い花の模様がついた緑色の両肩パーツがつく。
「寄生ヘッドとやら、お覚悟!」
「ル、ルブラン、私モ…!」
SSルブランはうつ伏せになっている寄生ヘッドをエネルギーを溜めて黄色く発光したショットサーベルで貫こうとするが、ダーバラが残った羽を伸ばし、SSルブランを横から叩いて地面に膝をつかせた。
「逃がさなイ!」
リベルテ=イーグルトワマリーが起き上がったダーバラの寄生ヘッドを右鉤爪で掴んだ。
「潰れてぇぇェェェーっ!!」
「ギィッ!」
寄生ヘッドは宙に白刃を六つ出現させ、リベルテ=イーグルトワマリーの身体に全て当てた。
「きゃアッ!?」
リベルテ=イーグルトワマリーは寄生ヘッドから右鉤爪を離してしまう。
「ギィッ…!」
「どんな生き物でも、油断が命取りなのは変わらないな!はぁっ!」
SSルブランは剣先から連続ビームショットを発射しながら突きを放つ。寄生ヘッドの背後にビームショットを当てながら装甲を削って弱めた後、ショットサーベルで貫いた。
「ギ…ギィッ…。」
寄生ヘッドは機能停止し、地面に落ちた。ダーバラも地面に倒れる。
「や、やっタ…!やったネ、ルブラン!」
「お役に立てて何よりです。」
SSルブランは腰につけている鞘にショットサーベルを入れた。愛歌はよろけながらダーバラの近くへと走る。
「やったね、トワマリー!ルブラン!ダーバラ、しっかりして!もう大丈…。」
「あっはっはっはっはっはっ…!」
突然イルーダの高笑いが聞こえてきた。
愛歌たちの近くにイルーダと禍々しい姿になったランドレイクが着地した。
「な、何…?イルーダがさっきと姿が…?」
「ラ、ランドレイク…?どうしちゃったノ…?」
愛歌はイルーダを見ていたが、ランドレイクに視線を移動する。ランドレイクが禍々しい姿になっている。
「な…何よ、あれぇっ…!?あれじゃ、まるでデストロイ・デュラハンの頃に戻ったみたいじゃない…!?」
状況が理解できない愛歌たちなどお構いもなく、イルーダは巻き貝のビームソードとトライテールの剣、槍、斧を。ランドレイクはチェーンソーを激しくぶつけ合わせ始めた。




