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ディサイド・デュラハン  作者: 星川レオ
第2部 DULLAHAN WAR
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107章Side:深也 原点海鬼!デストロイ×ディサイド

「ちぃっ…!ランドレイク!」

「おう!」


 ランドレイクはもう時間切れが近いアクアバズーカをぶん投げて向かってくる紫色の巨大なビームに当てさせ、深也を抱えてホバーで移動した。アクアバズーカは爆発し、ビームと相殺された。遠くから光の玉が飛んできて、深也のスマホの中に入った。


「オルカダイバー…!よし、無事だな…!」


 オルカダイバーのジェットホバーボードが消えていない時点でオルカダイバーが健在な事はわかっていたが、深也はそれでも安心した。ランドレイクは元に戻り、深也と共に近くの岩場に着地した。宙に浮いていたスランも元の姿に戻る。


「あいつ、鎧が変わって…!?」


 土煙が晴れ、鎧が変わったイルーダが姿を見せる。顔には黒いバイザーをつけ、バイザー越しでも発光した青い瞳が確認できる。髪型もトライテールに変わり、身に纏っている黒い鎧も金色の差し色が入り、先鋭化した。巨大な黒い弓を左手に持っている。


「何を驚いているのです?あなたたちが頭を変えて戦うように(わたくし)も鎧を変えて戦う…。それだけの事でしょう?さぁっ、参りましょうや!第二幕、開演!」


 イルーダは黒い弓の両端の弭巻(はずまき)鏑籐(かぶらとう)を変形させ、紫の三日月形のビームカッターをランドレイクと深也に向かって連射した。


「来るぜ、ランドレイク!」

「おう!」


 ランドレイクは深也を抱えて岩場を次々と跳ね、向かってくる三日月形ビームカッターを避ける。三日月形ビームカッターが海面に当たって水飛沫が何度も起きる。


「ランドレイク、ディサイドヘッドで行くぜ!」

「任せるぜ、船長ぉっ!」


 ランドレイクは近くの岩場に深也を置き、深也から離れる。深也はカードを実体化し、デバイスに読み込ませた。


『ディサイドヘッド、承認。この承認に問いかけは必要ありません。』


 ランドレイクはパイレーツランドレイクに姿を変え、左右に大砲を四門出現させてイルーダに向かって発射した。イルーダは両足をヒレに変えて海に潜って砲弾を避けた。


「みおん、わたしたちも!」


 スランが海音の近くまで飛んできた。


「えぇ!深也とランドレイクに加勢します!こちらもディサイドヘッドで!」


 海音はデバイスを取り出し、カードを実体化して読み込ませた。


『ディサイドヘッド、承認。この承認に問いかけは必要ありません。』


 スランはリズムマーメイドの姿に変わり、癒しの音符を海音に当てて回復させた。海音は両足をヒレにして泳ぎ、リズムマーメイドスランは空を飛んでイルーダの元へと向かう。


「私と踊りましょうや、船を持たない海賊さん!」


 イルーダは海上に姿を現し、トライテールを剣、槍、斧に変えてパイレーツランドレイクに向かって伸ばした。パイレーツランドレイクは三日月刀を出現させて左手に持ち、右手の三日月クローでイルーダの攻めを捌く。


「へっ、俺に当てたいんだったらもっと手数を増やすんだな…!」

「なら、遠慮なく。」


 イルーダはいつの間にかロングレンジビームキャノンを回収していて分離し、巻き貝のビームソードによる斬撃も攻撃に加える。


「ちぃっ、マジで増やしやがった…!」


 イルーダは左手に持ったヒレの盾に光を集めようとする。


「させねぇっ!」


 深也はデバイスを操作し、パイレーツランドレイクの左右に大砲を出現させて即座に放った。


「ふん、邪魔をして!」


 イルーダはパイレーツランドレイクへの攻撃を止め、後ろに下がって砲弾を避けた。


「はぁっ!」「てぇーい!」


 右から海音が巻き貝の槍を、左からリズムマーメイドスランが薙刀でイルーダを攻撃しに来た。イルーダは剣と槍の髪で二人の武器を受け止めた。


「もう(わたくし)への不意打ちは諦めたら、お姉様?」


 イルーダは二人の槍と薙刀を弾いた後、両手で巻き貝の剣を持ち、ビームソードを伸ばす。


「スラン!」

「うん!」


 スランは左右に赤と青のリボンを出現させ、イルーダに向かって伸ばした。


「笑止!」


 イルーダはビームソードと剣と槍の髪で向かってきたリボンを切り裂いた。


「まだまだぁっ!」


 リズムマーメイドスランはカラフルな音符を周りに出現させ、イルーダに向かって掃射した。


「…? 音符?妙な技を…。」


 イルーダはビームソードを振り回して音符を薙ぎ払った。


「…あなた、さっきから戦場で演奏したり、音符で攻撃したり、何なんですの?」

「これが、わたしとみおんのたたかいかただから!」

「…? どういう事ですの?」

「イルーダ、私は本当はあなたとは争いたくない…!私たちはあなたの戦意を削ぎ、武器を無力化する…!私はもう、血で血を洗う戦いはしたくない…!私とあなたは姉妹だと言うのなら尚更の事!今からでも遅くない、手を引いて下さい…!」

「…本気で言ってますの?攻撃しておいて戦いたくない?何言ってんだか…。」


 イルーダは両肩をがくっ、として明らかに失望した様子を身体全体で表現した。


「はぁ〜っ…!お姉様たちには何だか呆れてしまいました…。仕方ない、そんな世迷い言を言う暇がない程の圧倒的な力を見せてやりますか…!」


 そう言うとイルーダのバイザーの色が赤に変わり、ヒレから両足に戻す。背中に巨大な黒い弓を装着する。イルーダが両手の指を全て曲げて手の平を上に向けると黒い弓から扇状の紫のビームが展開される。


「…!? その形た…。」


 海音が言い終わる前にイルーダは高速移動し、リズムマーメイドスランの胸部を巻き貝のビームソードで突いた。イルーダはバイザー越しに不敵に笑んだ。


「えっ、あっ…!?」


 スランの貝殻の胸当てにヒビが入って吹っ飛び、海に落下した。


「スラン!?」


 イルーダは次にパイレーツランドレイクの前に一瞬で移動。高速でパイレーツランドレイクの周りをぐるぐると周り、剣と槍と斧の髪で切り裂きまくった。


「なっ、に…!?」


 イルーダは最後に両腕を交差し、両足を曲げて自分の身体を丸めた後、一気に両手両足を思いっ切り開いた。背中の扇状の紫ビームから拡散ビームが放たれ、パイレーツランドレイク、海音に直撃する。


「…ぷふぁっ!?さすがに限界ですわね…。」

「ぐおぉっ!?」「きゃあっ!?」


 パイレーツランドレイクは傷だらけになり、海音と同タイミングで海に落下した。


「…な、何だ?何が起こった…?」

「ふふっ、いかがです?(わたくし)の高速移動は?」


 イルーダが両手を後ろにやり、笑みを浮かべて深也の目の前に浮いていた。


「高速、移動…?」

「えぇ、驚く事も出来なかったでしょう?(わたくし)、一瞬で三人も葬りましたの。あなただけ残したのは自慢相手が欲しかったからなのです。」


 深也は周りを確認するが、確かにランドレイクもスランも姿がない。海音は近くの岩場に横になって倒れていた。


「…!? 海音っ!?」

 

 イルーダはゆっくりと浮遊し、海音の髪の毛を引っ張って無理矢理起き上がらせた。


「あっ…。」

「さて、お姉様。圧倒的な性能差を思い知った所で、そろそろアトランティスの鍵を寄越しなさいな。」

「おい、てめぇっ!海音を離しやがれ!」

(あり)はお黙りなさい。あなたみたいな非力な(あり)は仲間も、家族も守れないんでしょうね。現に今、お姉様も守る事もできないんですし。」

「…今…何つった…!?」


 深也はイルーダの言葉を聞いた瞬間、胸が強く鼓動を打った。


『お兄ちゃん、何でお父さんと仲良くできないの…?』


 芽依の声が聞こえた。


『芽依の医療費?すまん、後にしてくれないか?』


 クソ親父の声が聞こえた。


『深也、お前、今更普通の生活が送れると思ってんのか?』


 仁王の声も聞こえる。イルーダが何かを話しているがうまく聞き取れない。


『求め直せ、デストロイの力を。』


 深也はいつの間にか真っ暗な空間にいて、背後に赤と紫の髪をした中性的な見た目の子供が現れた。


「何…?」

『その方が楽しい。』

「俺は…。」


 深也の後ろに光が当たる。後ろを振り向くと笑顔の道人たちが手を差し伸べていた。


「お前ら…!」


 深也は笑顔の道人たちに向かって手をゆっくりと伸ばす。


フレーム()じゃ駄目だ。』

 

 道人たちがガラスのようにヒビが入り、粉々になった。


「あっ…!?」

ヘッド(頭脳)につけ。』


 割れたガラスの奥には赤と紫色の髪の子供が邪悪な笑みを浮かべる。


『俺はお前の残虐性を肯定する。』

「違っ、俺は…!?」

『ねじ伏せれば守れる、全てを。だから、堕ちろ。』


 深也の背後にブラックホールが出現し、深也は吸い込まれる。深也の前に色んな人の手が伸びてくるが、深也はどの手も掴めずに落下した。


「ガアァァァァァーッ!!」


 深也は現実世界に戻り、全身から紫の邪悪なオーラを放つ。


「な、何ですの…?」


 デバイスが宙に浮き、勝手にカードが実体化し、デバイスに読み込まれた。


『DESTROY×DECIDE』


 デバイスから音声が鳴り、海中から意識を失ったランドレイクが咆哮した。ランドレイクに目つきが鋭くなり、角の生えた海賊帽を被った頭がつき、胸に機械の熊の顔がつく。右手が大砲になり、左手がチェーンソーになる。悪魔の羽を生やした『デトネイテッドランドレイク』に変化した。全身から邪悪なオーラを放つ。


「…あはっ!何?何か面白そう…!」

「…!? 深也ぁっ、駄目ぇっ!!」


 意識を取り戻した海音が叫び声を上げる。


『海原君、駄目だ!』

「…!? 道人…?海音…?」


 海音の叫びがいつかの道人の叫びと重なって聞こえた。深也はおかげで意識を取り戻し、周りを見る。


「…!? ランドレイク…!?」


 深也の目に異形の姿となったランドレイクが視界に入った。


「これはまさか、デストロイ・デュラハン…!?そうか…俺が、俺が望んじまったから…。また、お前を…。」


 深也は下を向き、作った握り拳を強く握った。デトネイテッドランドレイクはイルーダに向かって突進。イルーダは海音の髪を離し、前方に飛んでチェーンソーと巻き貝のビームソードを何度も激しくぶつかり合わせる。


「良い、良いわ…!あははっ!」


 デトネイテッドランドレイクは右手の大砲を放つが、イルーダは左にスライドして避ける。今度は三本の剣、槍、斧も交えて巻き貝のビームソードとチェーンソーをぶつけ合わせる。


「私と互角なんて、こんな方初めて…!あははっ!良いわ、もっと私と踊ってよ!」


 デトネイテッドランドレイクとイルーダは上昇し、辺りに重音を響かせながら激しくぶつかり合った。

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