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ディサイド・デュラハン  作者: 星川レオ
第2部 DULLAHAN WAR
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107章Side:海音 舞い踊るイルーダ

「行きますよ、深也!お願い、シーラ!」

「あぁ!来い、オルカダイバー!」


 深也と海音はスマホから光の玉を出し、オルカダイバーとシーラを実体化させた。オルカダイバーには射撃ダメージ増加ヘッドを、シーラにはアンカーヘッドを装着させる。深也が崖から飛び降りた後、オルカダイバーは背中につけていた板二つをジェットホバーボードに変形。深也に向かって投げて乗せる。深也はボードのバランスを空中で調整し、海上に着地して海を動き回る。


「続けてヘッドチェンジだ、ランドレイク!」

「おう、船長ぉっ!」

「頼みますよ、スラン!」

「あいあいさー!」


 深也と海音はカードを実体化させて、デバイスに読み込ませた。ランドレイクは崖から飛び降り、スランは宙に浮かびながら下降する。


「ヘッドチェンジ!アクアバズーカ!」

『あなたは全てが水の泡になっても立ち上がれますか?』

「何度でも立ち上がってやるぜ!」

『承認。』

「ヘッドチェンジ!アクアアイドル!」

『あなたはいつまでも透き通った清らかな願いを持ち続けられますか?』

「当然です!」

『承認。』


 アクアバズーカランドレイクはホバーで海上を移動し、アクアアイドルスランは宙に浮かんで右手にマイクを持ち、アクアギターを構える。


「まぁ?(わたくし)一人相手に多勢に無勢過ぎません事?」

「わるいけど、そっこうでむりょくかさせちゃうから!」


 アクアアイドルスランは赤・青・黄・緑・紫のヒトデを飛ばしてランドレイク、オルカダイバー、アンカーシーラ、深也、海音の右肩に装着する。マイクを宙に浮かせて、アクアギターを弾いて歌い始めるとランドレイクたちが青く光り始める。イルーダに狙われないように一箇所には留まらず、動き回って演奏する。


「何ですの?歌?BGMをかけるんなら、もっと(わたくし)に合わせてクラシックの方が…。」

「バフが掛かった俺たち相手にどこまで余裕を見せられるだろうな!行くぜぇっ!」


 深也がそう言うとアクアバズーカランドレイクは水風船を連射、オルカダイバーは既に調合を終え、電撃を付与したオルカキャノンを宙に浮いているイルーダに放つ。


「水風船と電撃混じりで水でできたお魚さん…。当たったら、(わたくし)の髪が痛みそうですわ…ねっ!」


 イルーダは巻き貝の剣を変形させ、巨大なビームの刃を出現させる。一瞬で横に降ると水風船と水でできたオルカは蒸発した。


「こんのぉっ!」


 アンカーシーラは光の鎖に繋がれた(いかり)をイルーダに向かって投げた。


「見るからに当たったら駄目な形ですわ、ねっ!」


 イルーダは(いかり)を横に移動して避けた後、アンカーシーラに急速接近。ツインテールをドリルに変え、アンカーシーラの胴体を二つのドリルで抉るが、アクアアイドルスランのバリア付与で軽傷で済んだ。


「きゃあぁぁぁぁぁーっ!?」

「シーラ!?」


 海音は巻き貝の槍を構えて、イルーダの背後から襲い掛かるつもりだったが、ついシーラを心配して声を出してしまった。


「不意打ちで声を上げちゃ駄目でしょっ!」


 イルーダは回し蹴りでアンカーシーラを海面に叩きつけた後、横に回転したままツインテールを剣の形に変えて海音を罰の字に斬った。


「うっ…!?」


 海音は咄嗟に貝殻の盾とバリアで罰の字斬りを防ぎ、海に沈む。


「海音!」


 深也はジェットホバーボードの先と尾にブレードを出現させ、駒のように回転してイルーダに向かって飛んでいた。


「どいつもこいつも心配性なのね?逆にそれで自分がピンチに陥るんじゃ世話ないですわ!」


 イルーダは左拳を前に突き出すと拳圧が深也に向かって飛んでいき、深也は制服バリアとスランのアクアアイドルのバリアで二重で守られるが、バランスを崩して落下する。


「拳圧でこの威力かよっ…!?ちぃっ…!」

「船長ぉっ!」


 落下する深也をボード毎、アクアバズーカランドレイクはキャッチする。イルーダはその間に盾の三つのヒレに紫の光を集め、ビームヒレを発射。三つのビームヒレが海上を移動するアクアバズーカランドレイクを追いかける。


「無力な人間()のくせに!かっこつけちゃって!あんたにはビームヒレの相手がお似合いよ!」

「イルーダァッ!」


 海音は水の竜巻を纏わせた巻き貝の槍を

構え、イルーダに向かって海中から跳び上がってきた。イルーダは巻き貝のビームソードで海音の水の竜巻の槍と鍔迫り合いを始める。


「ふふっ、お姉様に名前を呼ばれて嬉しい…!ねぇ、お姉様?あなたに名前をつけたがらなかったお母様が何で私には名付けたか、気にならない?」

「えっ…!?」

「ふふっ、それはね…。単純明快っ!!」


 イルーダは油断した海音に回し蹴りを喰らわした後、向かってくるアンカーシーラの(いかり)とオルカダイバーの電撃付与オルカキャノンを巻き貝ビームソードで弾いた。


「今度できた愛しい娘に、誰かもわからない奴から名前をつけられる前に自分でつけた!ただそれだけの事!それだけの事だけれども!それがお姉様と(わたくし)のお母様への寵愛に差がついた!」

「それ、だけぇっ…!」


 海音は体勢を整えて前方に槍を突き出し、水の竜巻をイルーダに向かって放った。


「もちろん性能にも差がありますわ!見せてあげましょう!姉よりも優秀な妹、ここにありです!」


 イルーダはツインテールをドリルにして水の竜巻を分解した後、海音に向かって右拳で拳圧を飛ばし、海音を海中へと吹っ飛ばした。


「うぅっ…!?」


 その後、イルーダは巻き貝の剣とヒレ付きの盾を宙に投げ、長いロングバレルを出現させる。巻き貝の剣とヒレ付きの盾を合体させ、ロングレンジビームキャノンを作り出した。


「やばい…!?撃たせちゃ駄目よ、オルカダイバー!」

「わかったよ、シーラ!」


 アンカーシーラは(いかり)を回転させた後、イルーダに向かって投げた。


「今度は炎を調合して…行けぇっ!」


 オルカダイバーはフォアエンドをショットガンのように三回動かし、今度は炎を纏わせた水のオルカキャノンを放った。


(わたくし)を先に焼き魚にするおつもり?甘いですわね!」


 イルーダはロングレンジビームキャノンとなった状態でビームソードを作り出し、(いかり)を弾き、炎のオルカキャノンを薙ぎ払った。


「投げても当たらないんだから!」


 イルーダは改めてロングレンジビームキャノンを構える。出していたビームソードが銃口に収納されてそのまま放つためのビームになった。


「ターゲット、ロック!当たりなさい!」


 ロングレンジビームキャノンは放たれるが、オルカダイバーとアンカーシーラとは違う方向に放たれた。


「…!? わたし…!?」

「いい加減その音楽は聞き飽きました!」

「うぅっ!?」


 アクアアイドルスランはビームに当たる前に演奏を止め、わざと落下して避けた。

が、ビームは曲がってアクアアイドルスランを追いかけてくる。


「当然のようにホーミングなのです!」

「しまっ…!?」

「危ない、スラン!」


 オルカダイバーが海上を急いで移動。スランにビームが当たる前に自分の身体を盾にした。


「オルカダイバー!?」

「僕はデュエル・デュラハンだ!盾になるのは僕の方が適任なんだぁぁぁーっ!!」


 オルカダイバーはわざとビームに直撃し、爆発。そのまま海に落下した。


「オ、オルカダイバー…!くぅっ…!」


 アクアアイドルスランはイルーダを睨みながら演奏を再開する。


「てめぇっ!よくもオルカダイバーをぉっ!」


 アクアバズーカランドレイクはホバー移動しながらイルーダ目掛けてアクアバズーカを連射した。深也もジェットホバーボードで並走する。


「あら?お久しぶり。ビームヒレに随分手間取りましたのね。」


 イルーダは海上を華麗に左右にステップし、アクアバズーカを避ける。


「焦るな、ランドレイク!チームワークでぇぇぇぇぇーっ!!」

「ふん!チームワークなど、弱者の戯言ぉっ!」

「…行っけぇぇぇぇぇーっ、海音!!」

「なっ…!?」


 イルーダの後ろには巨大な水の竜巻を纏わせた巻き貝の槍を上空に上げた海音の姿があった。


「まさか、さっきのアクアバズーカはお姉様の槍に向かって…!?」

「その通りですっ!!」


 海音は巻き貝の槍を前方に突き出し、巨大な水の竜巻を飛ばした。


「ちぃっ…!」


 イルーダは咄嗟に海に潜ろうとしたが、至近距離からの水の竜巻の発射のため、間に合わずに吹っ飛ばされた。イルーダはロングレンジビームキャノンを海に落とし、崖の岩盤に背中を強打した。


「まだまだぁっ!」


 アンカーシーラは(いかり)を投げ、イルーダの捕縛に成功した。


「やった!やったよ、オルカダイバー!あなたの分までぇぇぇぇぇーっ!!」

「俺も手を貸すぜぇっ!」


 アクアバズーカランドレイクがアンカーシーラに近寄り、共に光の鎖を持ってイルーダを振り回し、再び岩盤に激突させた。周りに土煙が舞う。


「よし、チームワークの勝利だぜ!」


 深也はガッツポーズを取る。が、海音には土煙の中で妖しく光る二つの緑の光が見えた。


「…ラウブ・バーハル・ズヴィー…。」

「…!? いけない、シーラ!」

「えっ…?」


 シーラはその瞬間、逆に光の鎖に引っ張られ、土煙目掛けて飛んでいく。


「っ…! 戻って下さい、シーラ!」


 シーラは光の玉に戻り、海音のスマホに戻った。


「…驚いた。まさか(わたくし)をここまで本気にさせるとは…。覚悟は…できていような…?」

「な、何だ…!?さっきと姿が…!?」

「…!? 危ない、深也ぁっ!!」


 海音が叫ぶと深也とランドレイクに向かって紫色の巨大なビームが向かっていく。


「なっ…!?ビームキャノンは…手放したはず、だ…!?」


 未だに晴れない土煙の中で姿を変えたイルーダは不敵に笑んだ。

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