95章Side:深也 終の巻 ABAYO-青春
OBランドレイクとアクアバズーカオルカダイバーは未だにコンテナ裏に隠れている仁王とダイナミックリーゼルドに向かって砲撃を続けていた。
「オルカダイバーがそろそろ弾切れ&時間切れ、オーシャンビッグバスターも時間切れ近し…!」
コンテナの影に隠れている深也は自分のヘッドの状況を確認した。
「あのリーゼント野郎はもう撃つ準備はできてるだろうからな…!だったら…!よし、オルカダイバー!ST1!」
「オーライ、深也!」
アクアバズーカオルカダイバーは水風船を撃ち続けるが、途中から引き金を引いても弾が出なくなる。
「しまった、弾切れか…!?」
「そこだ、間抜けぇっ!」
弾幕が静まったタイミングを見計らって仁王とダイナミックリーゼルドはコンテナから姿を現した。アクアバズーカオルカダイバーは高くジャンプした。
「馬鹿めっ!跳んだら逆に的だろうに!」
ダイナミックリーゼルドはアクアバズーカオルカダイバーに向かってビーム砲を放った。巨大なビームがアクアバズーカオルカダイバーへと向かう。
「掛かったのは君たちの方さ!」
アクアバズーカオルカダイバーはバズーカを構えて天井に向かって水風船を放ち、その反動で地面に倒れた。
「何っ!?お前は弾切れだったはず!」
「こちらの作戦!ST1!ストックを一発残せ、さ!シンプルだろう?」
アクアバズーカオルカダイバーは寝たままホバーでダイナミックリーゼルドに向かって移動する。
「よそ見しちゃってぇっ!」
OBランドレイクはオーシャンビッグバスターを放つ。
「ちぃっ!」
仁王とダイナミックリーゼルドは水流を何とか側転して避ける。
「さすがに水浸しだな、仁王!」
深也はオルカダイバーが消える前に急いでデバイスを操作してヘッドチェンジ。ライトニングフィストヘッドに変える。
「間に合えぇぇぇーっ!」
オルカダイバーは起き上がり、ギリギリまで消えかかるホバーで移動し、ライトニングフィストを思いっ切りダイナミックリーゼルドに向かって伸ばす。
「掴っ!んだぁーっ!」
LFオルカダイバーはダイナミックリーゼルドのリーゼントをライトニングフィストで掴み、電撃を喰らわした。
「○✖️△□〜っ…!?」
ダイナミックリーゼルドは言葉にもならない叫びを上げ、苦しみ出す。
「リ、リーゼルド!ちぃっ!」
仁王はデバイスを操作し、リーゼルドのジェット革靴を脱がして飛ばした。LFオルカダイバーはもう身体が消えかけていたのでジェット革靴は当たらずに通過した。
「後は頼みました、深也、ランドレイク!」
「「おう!」」
OBランドレイクはオルカダイバーのくれたチャンスを活かすべく、黒焦げになったダイナミックリーゼルドに向かってオーシャンビッグバスターを放った。
「まさかこのまま終わる気かぁっ!?根性見せろや、リーゼルドォッ!」
ダイナミックリーゼルドは仁王からの喝を受けて両目を赤く光らせ、水流を真正面から受ける。巨大クシを出現させて持ち、クシとメリケンサックで無理矢理前進した。
「へぇっ、こいつぁ…っ!」
ダイナミックリーゼルドは巨大クシを投げ捨て、OBランドレイクのオーシャンビッグバスターを掴んだ。
「俺のリーゼントの先が花みたいに開いちまったじゃねぇかっ!どうしてくれんだ、ごらぁっ!」
「知るかよぉっ!」
ランドレイクは元の姿に戻り、オーシャンビッグバスターが消える。バランスを崩したダイナミックリーゼルドにランドレイクは右ストレートをぶちかました。ダイナミックリーゼルドは地面に倒れる。
「船長ぉっ、一気に行くぜぇっ!ディサイドヘッドだぁっ!」
「おうともよぉっ!」
深也はカードを実体化し、デバイスに読み込ませた。
『ディサイドヘッド、承認。この承認に問いかけは必要ありません。』
ランドレイクはパイレーツランドレイクに姿を変える。起き上がったダイナミックリーゼルドを右手の三日月クローでぶん殴った。
「この野郎がぁっ!」
ダイナミックリーゼルドはすぐに体勢を整え、左手のメリケンサックでパイレーツランドレイクを殴り返した。
「面しれぇっ!」
パイレーツランドレイクは三日月刀を一旦消し、拳と三日月クローでダイナミックリーゼルドと殴り合いを開始した。
「仁王ぉぉぉぉぉーっ!!」
深也は右肩のエンブレムをタッチし、私服に戻って仁王に向かって走る。
「ふん、俺との殴り合いに謎バリアは邪魔だ…ってか、深也ぁっ!!」
仁王もボクシングポーズを取り、深也との殴り合いに望んだ。二組とも激しい攻撃・回避・防御のラリーが続く。遠くで重音が鳴り響いているのにも気がつかなかった。
「深也、やっぱりお前は最高だぜ…!俺の傍らにはお前が必要なんだ…!」
「気持ち悪い事言うんじゃねぇっ!」
深也は仁王の腹に右ストレートを叩き込んだ。
「がはっ!?」
仁王は右手で腹を抑えてしゃがんだ。
「だが、俺とお前はダチだ!それは変わらねぇ…!何かと世話になったしな…!だからこそ、お前を全力で止める…!お前をテロリストなんかにさせねぇからなぁっ!」
「ちぃっ…!深也ぁっ!!」
仁王は立ち上がり、深也に向かって右ストレートを放つ。深也は横に移動して避け、殴り合いは再開される。
「こんなリーゼントになってもなぁっ!」
ダイナミックリーゼルドはパイレーツランドレイクの両腕を掴み、動きを止めた後、花のように開いているリーゼントの先に光が集める。
「拡散ビームとしてならぁっ!」
「ちぃっ!」
パイレーツランドレイクは背後に大砲を出現させ、わざと地面に向かって発射。ダイナミックリーゼルドと共に倒れ、拡散リーゼントビームは天井に当たった。
「くっ!?」
天井から瓦礫が落下し、仁王は体勢を崩した。
「目を覚ましやがれ、仁王ぉぉぉぉぉーっ!!」
「深也ァァァァァーッ!!」
深也は仁王の前でしゃがみ、勢いよく上空にジャンプしてアッパーを喰らわした。仁王は吹っ飛び、気を失って地面に倒れた。デバイスが地面に落ちる。
「うおぉぉぉぉぉーっ!!」
パイレーツランドレイクは右手の三日月クローでダイナミックリーゼルドの首を挟み、そのまま地面を引き摺って前に進む。ダイナミックリーゼルドの背中から火花が散る。
「そらぁっ!!」
パイレーツランドレイクはダイナミックリーゼルドを上空にぶん投げた。落下してくるダイナミックリーゼルドに対し、左拳を構える。
「ファイナルブローだあぁぁぁぁぁーっ!!」
パイレーツランドレイクは左拳を突き上げ、ダイナミックリーゼルドの胸の顔を貫いた。ダイナミックリーゼルドは機能停止。パイレーツランドレイクはダイナミックリーゼルドを地面に落とした。仁王のデバイスが粉になって散り散りになった。
「…終わった、か…。」
深也は制服姿に戻り、倒れている仁王を制服バリアで落下してくる瓦礫から守っていた。深也はゆっくりと立ち上がり、倒れている仁王を見た。
「おーい、深也ぁっ!」
大樹とカサエルが走って戻ってきた。深也は振り向かずに仁王を見ている。
「深也、やったんか?」
「…あぁ、終わったぜ。大樹、パークに連絡だ。事後処理とリーゼルドの回収、仁王たちの確保だ。」
深也は仁王が身動きが取れないように近くにあったロープで縛った。残りの仁王の取り巻きたちは逃げるタイミングを失ったのか、気を失って倒れていたのでそちらも縄で結んだ。
「こいつら、運が良かったぞい…。もし、外に逃げてたら…。」
「ん?外で何かあったのか?」
「…あぁ、後で話すわい。」
大樹はスマホを取り出し、パークに連絡を取った。深也は再び倒れている仁王を見た。
「…この場所はデストロイ・デュラハンが暴れた事で更に警備が強まるだろう…。お前は自らの手で自分が言う楽園にとどめを刺したんだ。新天地を求めた結果、元の居場所を失っちまったんだよ、お前は…。」
深也は後ろを向き、仁王から目を逸らした。
「仁王、お前がまた犯罪に手を染めそうになったら俺が何度でも止めてやる…!だから、もう二度とこんな事するんじゃねぇぞ、仁王…!」
しばらくするとデュラハン・パークのスタッフがやって来て仁王たちとダイナミックリーゼルドは確保され、事後処理が始まった。
「…五時間目どころか、六時間目も参加無理そうだな、こりゃっ…。芽依に授業を見に来いって言ったんだがな、無理になっちまった…。謝まんねぇといけねぇな…。」
「気にするな、深也。授業の様子だったら明日でも見せられるわい。芽依ちゃんとはいつでも会えるんじゃからな!」
「あぁ、そうだな…。 …? 電話?」
深也はスマホを手に取って出る。電話をかけてきたのは動揺した大神だった。




