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ディサイド・デュラハン  作者: 星川レオ
第1部 始まりのディサイド
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10章 デストロイ・デュラハン

 デトネイトランドレイクが破壊した壁が崩れ落ち、土煙が舞う。社員への緊急避難サイレンが鳴り響く。幸いな事に破壊された壁のエリアには人はいなかったようだ。


「海原君、何でこんな事を!?やめるんだ!」


 道人の静止の声も届かず、深也とデトネイトランドレイクはビルの中へと入っていった。マーシャルは不敵に笑いながら消えた。


「もしもし、大神さん?大変なの!」


 道人が深也の事を気にしている間に愛歌はスマホで大神に連絡をしてくれていた。


「大丈夫、愛歌ちゃん!こちらでも確認できているわ!今、博士がヘリにジークヴァルとトワマリーを積んでるところ!五分後には必ず届けてみせるって!」

「わかりました!」

「一旦通話を切るわね!また何かあったら教えるから!」


 大神との通話を終えた愛歌は道人を見た。


「道人、五分かかるって!」

「五分か…。そうだ、僕がガントレットをつけて闘えばデストロイ・デュラハンと海原君を止めて時間稼ぎができるかも…!」


 道人はそう思いついたはいいが、どうやってあのガントレットを装着できるのかわからなかった。


「道人、あれは私がボディにインストールされた状態じゃないとなれないみたいだ。私もデバイス内を調べてみたのだが、装着できるような操作スイッチらしきものは見当たらない。」

「そ、そうか…。うーん…。」


 道人は仕方なく、今の状況の整理を愛歌としようと考えた。


「愛歌、海原君はさっき妹の病気って言ってたよね?」

「うん、マーシャルにそう言ってた。それが彼の目的?」

「妹さんのためにこんな事を…。後、気になったのは…。」


 道人が次の気になる事を言おうとした瞬間、高速でヘリが飛んできた。博士は五分と言っていたみたいだが、三分で来てくれた。


「博士、ちょうどいいところに!」


 ヘリが会社エリアの休憩広場に着陸し、博士がヘリから降りて道人と愛歌の元へ駆けた。


「待たせたな、道人君!愛歌ちゃん!ジークヴァルたちの身体を持って来たぞ!」


 博士は息を切らせて両手を両膝に当てて下を向いた。


「博士!疲れてるとこごめんだけど、ラックシルべって知ってる?マーシャルと深也はそれを狙ってるみたいで。」


 博士は息を整え、背筋を伸ばして道人を見た。


「ラックシルべ…。実験エリアで録音されていた音声でもライガが発言しておったな。奴らはそれを狙ってここに来ておるらしいが、何の事か…。」

「ラックシルべってのはあんたらが紛い物に積んでいる石の事さ。」


 道人の後ろから女性の声が聞こえ、道人と愛歌は急いで振り向いたが、誰もいない。


「こっちさね、おチビさんたち。」


 空を見ると胸に鳥の顔をつけ、右手に鞭を持っている大きな赤い羽を広げた女性デュラハンが空中で静止していた。


「バドスン、アータス…!」


 道人は警戒して睨んだ。愛歌と博士も身構える。


「ご名答。あたいはシチゴウセンが一人、ダーバラ。ライガが世話になったねぇ。」

「道人君、愛歌ちゃん、早くヘリに向かうんじゃ!」


 博士に従い、道人と愛歌は走ってヘリに向かった。


「いってらっしゃい。準備ができるまであたいはこの爺さんの話相手でもするかい。情報満載で魅力的だろ、あたい?」


 ダーバラは鉄扇のような物を取り出し、口の近くに当てた。


「お主らはジークヴァルとトワマリーが積んでおる石…デュラハン・ハートを狙っておるのか!?」

「そうさね。星によって呼び方が違ってね。それで合ってるよ。 …坊や、今の話聞いてたろ?あんた、見当外れな場所に行ってるよ。さっさと戻ってきな。」


 ダーバラは鉄扇で隠した口で小声で深也と連絡を取った。道人と愛歌もヘリの中に入り、ジークヴァルとトワマリーの前に立つ。


「よし、行くよ!トワマリー、インストール!」


 愛歌はデバイスからビームを放ち、トワマリーの胸の顔に当てた。トワマリーの胸の顔に瞳が宿り、ステップを踏んで外に出た。愛歌の首にネックレスが出現し、トワマリーを追いかけた。


「ああやればいいんだな…!よし、ジークヴァル、インストール!」


 愛歌と同じようにデバイスからビームを放ってジークヴァルの胸の顔に当たって瞳が宿った。道人の右腕にもガントレットが出現し、ネックレスがついた。ジークヴァルと共にヘリの外に出て、ダーバラを見上げた。


「お、来たね。じゃあ、始めようかねぇっ!」


 ダーバラは鉄扇を周りにたくさん発生させ、鞭を大きく振って空を切り裂く。


「こっちはニ対一よ!悪く思わないでね!」

「いや、ニ対ニだろ。」

 

 深也とデトネイトランドレイクが穴の空いた壁からジャンプしてきて着地し、ジークヴァルとトワマリーと向かい合う。


「お前らも実体化したデュラハンを持ってたのか。楽しくなってきやがった…!」


 深也は指の関節をポキポキと鳴らした。


「彼はデュエル・デュラハン大会準優勝者の海原深也君じゃないか…!そして、もう一人はライガと同格のシチゴウセンとやら、ダーバラ…!気をつけろ、道人君!愛歌ちゃん!かなり手強いぞ!」

「大丈夫よ、博士!あたしたちならやれる!」

「博士、ここは危ないから!退避を!」


 博士は頷き、ヘリに向かって走る。


『道人、相手の一人は空を飛んでいる。飛行パーツが装着されるヘッドはあるのか?』


 ジークヴァルは道人に念話を送った。


『ごめん、今手元にないよ…。』

『なら、仕方ない。戦術でカバーしよう。道人と私ならできる!』

『うん!』

「何ボーっとしてやがんだ、行くぜ!」


 デトネイトランドレイクが咆哮を上げ、ジークヴァル目掛けて突進した。


「来るぞ、道人!」

「行くよ!ダブルブーメラン、ヘッドチェンジ!」

『あなたは過去と未来、例えどんなにつらくてもどちらにも立ち向かえますか?』

「何だ、その問いかけは!?俺は妹を助けるためなら、どんな過去未来だろうが、立ち向かってやるさぁっ!」

「いや、君が答えるんじゃなくて! …立ち向かう!」

『承認。』


 無事にジークヴァルにダブルブーメランが頭着され、デトネイトランドレイクのハンマーをブーメランで受け止めた。道人は一瞬デトネイトランドレイクに頭がつくんじゃないかと冷や冷やしたが、杞憂(きゆう)な事だった。ジークヴァルはブーメランでハンマーを弾き、後ろに高く飛んで二つのブーメランを投げた。


「させないよ!」


 ダーバラが複数の鉄扇をブーメランに向かって飛ばすが、トワマリーも複数のリングを飛ばしてそれを妨害した。


「何っ!?」


 トワマリーが空中に静止させた小型リングを足場にしてダーバラの近くまでもう来ていた。


「こいつ、いつの間に…!?」


 トワマリーは回し蹴りをダーバラに喰らわせた。


「よし!トワマリー、ヘッドチェンジ!ヌンチャクヘッド!」

『あなたは大切な人が挫折した時、その人を励ますために尽力できますか?』

「当っ然!」

『承認。』


 トワマリーに両耳が尖った頭が装着され、新たな肩パーツがつき、小型リング四つが紐で繋がれてヌンチャクになった。


「愛歌が見せてくれタ、カンフー映画ノ見様見真似!アチョー!」


 両手のヌンチャクを振り回し、ダーバラが地面につくまで叩き続けた。


「小娘ぇっ!!」


 ダーバラは地面に激突した。


「やるな、愛歌!」

「よそ見してていいのかよ?」


 道人は慌てて深也の方を向いた。二つのブーメランがデトネイトランドレイクに掴まれていた。


「ダブルブーメランを二つ同時に投げたのは失敗だったな。二つのブーメランが交差するタイミングで掴ませてもらった。ほらよ。返すぜ。」


 片方のブーメランをジークヴァルに向けて横向きで投げた。デトネイトランドレイクの剛力で投げられたブーメランは凄まじい回転で進んでいく。高くジャンプして避けるジークヴァル。


「よし、ジークヴァル!」

「ジャンプして避けたら隙だらけになるだろうが…。もう片方も返したぜ。」


 もう片方のブーメランは縦に投げられ、このままではジークヴァルは真っ二つになってしまう。


「剣だ、ジークヴァル!」

「おう!」


 ジークヴァルは自前の剣を取り出し、ブーメランに剣を当ててわざと地面に転がった。


「ほう、良いデュラハンを持っているな。燃えてきたぜ…!」


 深也は道人と立ち上がったジークヴァルを見て不敵な笑みを浮かべた。

○空野道人 12歳 

血液型 A型

誕生日 12月2日 射手座

身長 158cm 体重 53kg

趣味

ブーメラン作り デュエル・デュラハン

好きな食べ物

クロワッサン ハンバーグ

苦手な食べ物

セロリ


○城之園愛歌 13歳

血液型 AB型

誕生日 4月6日 魚座

身長 156cm 体重 秘密

趣味

フルート デュエル・デュラハン 編み物

好きな食べ物

パスタ系 流し素麺

苦手な食べ物

アボガド

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