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ディサイド・デュラハン  作者: 星川レオ
第2部 DULLAHAN WAR
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80章 極限を超えた闘い

 ハイドラグーン・ジークヴァルクとライガの交戦は続いていた。二人共、激しい鉄の音を室内に轟かせながら飛び回っている。


「大神君、虎城君!実験エリアに高速戦闘でも捉えられる、高性能カメラを搭載したドローンを向かわせるんじゃ!流咲君はドローンが交代するまで引き続き戦闘データの計測を!」

「「「は、はい!」」」


 道人の近くに飛んでいるドローンから博士の興奮に満ちた声が聞こえてくる。博士たちがC(クロス) H(ヘッド) EVOLUTIONを見たのは今回が初めてだ。今後のためにデータを録りたいのだろう。道人も宙に浮かび、ハイドラグーン・ジークヴァルクの近くまで飛ぼうとする。


「…がんばれ、がんばって…!」


 流咲の独り言が飛んでいる最中の道人にたまたま聞こえた。道人は少し笑った後、空中で静止。ハイドラグーン・ジークヴァルクとライガの戦闘を視界に入れる。道人が近くに来た事に気づいたハイドラグーン・ジークヴァルクは両腰のバルカン砲を発射。避けられるのは承知の上でライガを避けさせて遠ざけた。


「道人、ダブルヘッドエボリューションだ!」

「あぁ!」


 道人は二枚のカードを実体化させた。


「クリスタルブレード!バインドブーメラン!ダブルヘッドエボリューション!」


 道人は二枚のカードを光の粒に分解させた後に再構成、新たなカードを創造する。


「ヘッドチェンジ!クリスタルバインド・ブレードブーメラン!」

『CROSS APPROVAL』


 ハイドラグーン・ジークヴァルクに青いクリスタルでできた角の頭が装着され、両手にクリスタルの刃が付いたバインドブーメランを持つ。周りに巨大なクリスタルが十五も出現し、クリスタルに囲まれたライガは周りを見渡す。


「これはダジーラクの旦那の時に見せた戦法…?いや…!」


 ハイドラグーン・ジークヴァルクは両腕を交差した後、思いっきり二つのバインドブーメランを投げた。


「その強化版だよなぁっ!」


 二つのバインドブーメランはクリスタルに何度もぶつかってライガの周りを飛び回る。


「やっぱりそうか!クリスタルが当たっても砕けなくなってやがる!」

「道人、クリスタルの操作は任せたぞ!」

「あぁ!」


 道人は両平手を重ねて前に出した後、左右にスライドすると空中に操作パネルが出現する。ライガの移動地点を予測し、クリスタルを移動させる。ハイドラグーン・ジークヴァルクはヴァルムンクを出現させた後、自分もクリスタルの包囲網の中に入ってライガに斬り掛かる。ライガは斬撃を寸前で避けた。


「何っ!?てめぇっ、正気かっ!?自分もバインドブーメランの餌食になるぞっ!?」

「今の俺の演算能力なら、ハイドラグーン・ジークヴァルクに当たる事など断じてない!」

「言い切るかぁっ!!」


 ライガはハイドラグーン・ジークヴァルクから遠ざかろうとすると後ろにクリスタルが高速移動し、背中をぶつけた。


「ぐっ!そのようだなぁっ!」


 ライガに向かって二つのバインドブーメランが向かってくる。ライガは自分の背後にあるクリスタルを盾代わりにしようとすると両鉤爪に電流が走る。


「なるほど、味方以外の奴が持てないようになってるんかい!だがなぁっ、俺相手に電流が通じるとでも?ぐっ、がぁっ…!?」


 ライガは電流を絶え、両手でクリスタルを持って何とかバインドブーメランを弾いた。弾いた後、すぐに手放した。


「へっ、舐めんな!この俺に扱えない電流なんてねぇのさ!!」


 ハイドラグーン・ジークヴァルクが再び斬り掛かるが、ライガは(すんで)の所で避ける。避けられた後、すぐにハイドラグーン・ジークヴァルクは両腰のバルカン砲を放つ。ライガはクリスタルを再び足場にして避けようとするが、道人が即座にクリスタルの位置を変える。


「へっ、さすがにもう足場は許してくれねぇか!」

「そこだっ!」


 道人は両平手を交差するとライガの近くにある二つのクリスタルそのものを回転させてブーメランにし、ライガにぶつけた。


「な、何っ!?」


 ライガは態勢を崩し、続けざまにバインドブーメランが二つ直撃する。


「がっ!?」

「…そろそろ一分経つか…。クリスタルが消えるその前に!」


 道人はパネルを操作して刀身のない剣を二つ出現させる。操作パネルを消し、ハイドラグーン・ジークヴァルクの隣りまで飛ぶ。


「ハイドラグーン・ジークヴァルク、これを!」

「あぁ!」


 道人は刀身のない剣の片方をハイドラグーン・ジークヴァルクに渡し、道人は右、ハイドラグーン・ジークヴァルクは左に移動する。


「な、何だっ!?道人まで加勢するだと…!?何をする気か知らねぇがなぁっ!」


 ライガは全身から黒い雷を発生させてバリアのように自分を包む。


「これで俺には近寄れん!残念だったな!」

「ハイドラグーン・ジークヴァルク!」

「おう!」


 ハイドラグーン・ジークヴァルクはウイングに搭載された小型プロペラから二つの緑の竜巻を発生させ、ライガの電流バリアにぶつけた。続けて道人はブレードフェザー、ハイドラグーン・ジークヴァルクはビームリーフをライガの電流バリアに当てる。


「ぐっ…!?こいつら、まさか無理矢理…!?」

「ハイドラグーン・ジークヴァルクのスペックと今の俺なら火力差で…!」


 道人はバインドブーメランをキャッチして投げ、ライガの電流バリアは耐え切れずに消滅する。


「ぐあっ!?しまっ…!?」


 道人とハイドラグーン・ジークヴァルクは近くにあるクリスタルに刀身のない剣を当てるとクリスタルの形が変化し、剣の形に変わる。


「…おいおい、マジかよ…!そんな使い方もできるんかい…!」


 道人とハイドラグーン・ジークヴァルクはクリスタルブレードで共に斬り掛かる。ライガは両鉤爪でクリスタルを掴み、砕いた。道人はそのままライガを通り過ぎて振り返り、ブレードフェザーを放つ。また近くのクリスタルを刀身に変えて斬り掛かった。ブレードフェザーをまともに喰らい、態勢を崩した所をクリスタルブレードによる斬撃が決まった。


「まだだ!クリスタルがなくなるまでぇっ!」

「斬り続ける!」


 道人とハイドラグーン・ジークヴァルクは高速移動で次々とクリスタルが割れては刀身に変えて斬るを繰り返す。


「はぁっ!!」


 最後の二つのクリスタルで道人とハイドラグーン・ジークヴァルクは共にクリスタルブレードを振り下ろし、ライガを地面に叩きつけた。


「ぐがぁっ!?…やべぇっ、早くここをぉっ、離れるっ!!」


 ライガはすぐに起き上がり、追撃のブレードフェザーとビームリーフの雨を全力疾走で避けた。


「へへっ…!この強化体じゃなきゃ、危なかったぜ…!だが、守りのバリアを貼ったのがいけなかった…!反省、反省!やっぱり俺はぁッ…!」


 ライガは攻撃が止み、ハイドラグーン・ジークヴァルクが元の姿に戻ったのを確認して振り返り、高く跳んだ。


「攻めまくるのが性に合うっ!!」


 ハイドラグーン・ジークヴァルクはヴァルムンクを出現させ、ライガの鉤爪を防いで後ろに飛んだ。


『道人、ジークヴァル、そろそろ俺に代わってくれないか?』

「ハーライム?」


 道人の脳内にハーライムの念話が聞こえてきた。


「…あぁ、そうだな。試してみよう!」


 道人はハイドラグーン・ジークヴァルクの救援に入り、ブレードフェザーを飛ばす。ライガは飛んできたブレードフェザーを避けるためにハイドラグーン・ジークヴァルクから離れた。ハイドラグーン・ジークヴァルクも両腰のバルカン砲でライガの接近を許さない。


「行くぞ!C(クロス)H(ヘッド)CHANGE(チェンジ)!ジークドラグーン・ハーライヴァルム!」


 ハイドラグーン・ジークヴァルクは全身が金色に輝いた後、頭がハーライムの顔つきに変わり、胸に竜の顔がつく。右手にライムブラスター、左手にハルバートを持ち、ジークドラグーン・ハーライヴァルムにモードチェンジした。


「何だとっ!?てめぇら、入れ替われるのかっ!?」

「私も君の因縁相手に加えて欲しくてね!」


 ジークドラグーン・ハーライヴァルムはハルバートをブーメランのようにライガに投げた後、ライムブラスター連射モード、バルカン砲、ウイング搭載小型プロペラを展開する。


「ターゲット、ロック!一斉掃射ぁっ!」


 ライガに向かって竜巻、ビームリーフ、バルカンとライムブラスターの銃撃の嵐がライガを襲う。ライガは飛び回って何とか避ける。


「ちぃっ!なかなかの豪快な野郎だ…!しかも…!」


 ライガの前に道人が待機していて、さっきジークドラグーン・ハーライヴァルムが投げたハルバートをキャッチした。


「次の攻撃に繋がってやがる…!冷静さも兼ね備えてるってか…!」


 道人はハルバートをジャイロ回転させ、

ライガに攻撃を仕掛ける。ライガはハルバートの回転を鉤爪で掴んで止めた。道人はブレードフェザーを飛ばし、ライガはわざと飛ぶのをやめて落下して避ける。完全に避けられたとライガが思った瞬間、光の弾がライガに着弾した。


「な…にっ!?どこから!?」

「ここからだ!」


 ジークドラグーン・ハーライヴァルムはライムブラスターから曲がる光弾を発射し、ライガに当てた。次々と連射し、色んな方向からライガに当てていく。ライガは宙に浮かび直し、向かってくる弾を警戒する。


「曲がる弾だと?妙な武器を…!だが、耐久性が上がった俺には豆鉄炮に過ぎねぇっ!」

「今だ、道人!」


 道人は左手にハルバートを持ったまま、急下降し、ライガに迫る。


「俺にも…何か…そう、剣が!剣が欲しい…!うっ…!?」


 道人の脳内にある光景が浮かんだ。巨大な影を相手に剣を持って血塗れで突撃している自分の姿が見えた。


「…そうだ、あるんだ…!未来の俺には、剣が…!」


 今の道人に不穏なビジョンなど気にする余裕はなく、ただ目の前のライガを斬る事ができる剣を求めた。道人の右手に光が集まり、一本の剣が出現した。赤い柄の黄金の剣が。道人は右手で剣を握り直し、ハルバートを投げた後、黄金の剣でライガの胸を斬り裂いた。


「がっ…!?やるなぁっ、道人ぉっ!」


 ライガは尻尾で右手を刺そうとするが、ジークドラグーン・ハーライヴァルムはライムブラスターの曲がる弾で尻尾を弾いた。


「はあぁぁぁぁぁーっ!!」


 道人はこのチャンスを逃さない。黄金剣を両手で持ち、ライガを滅多斬りする。


「へへっ、まさかお前と斬り合えるとはなぁっ!」

 

 ライガは両鉤爪で対抗し、剣と鉤爪を激しくぶつけ合う。斬り合っている最中に急に道人は後ろに下がり、黄金剣をブーメランに変形させて投げた。


「剣がブーメランになるだとっ!?」


 ライガは無理な態勢で仰け反ってブーメランを避けられはしたが、態勢を崩した。その隙をジークドラグーン・ハーライヴァルムは見逃さない。


「取った!」


 ジークドラグーン・ハーライヴァルムはライガに急接近し、ライガの周りを回りながらバルカン、ライムブラスター連射モードを喰らわせる。緑の竜巻と胸の竜の緑の炎を当てながらライガの下に移動し、ライガの腹にライムブラスターの銃口を当てた。


「ライムブラスター、高出力モード!行けえぇぇぇぇぇーっ!!」


 ゼロ距離からの極太ビームが発射され、ライガは天井に抑えつけられた。


「ぐおぉぉぉぉぉーーーっ!?」

『今だ、道人ぉっ!!』

「あぁ!!」


 ジークドラグーン・ハーライヴァルムはビームを掃射したまま上昇。ライガをビームで天井に抑えてつけたまま接近する。


「ヘッドチェンジ、リバイバル!」


 道人はもう使い終えたセカンドディサイドヘッドを再び構成する。


「続けて!C(クロス)H(ヘッド)CHANGE(チェンジ)!ハイドラグーン・ジークヴァルク!」


 ジークドラグーン・ハーライヴァルムは光り出し、ハイドラグーン・ジークヴァルクに変わろうとする。


「更に続けてぇっ!スカイヴァルクブレード!斬撃強化ヘッド!ダブルヘッドエボリューション!」


 二枚のカードを一枚に再構成してすぐにデバイスに読み込んだ。


「ヘッドチェンジ!スカイヴァルクスラッシュブレード!」

『CROSS APPROVAL』


 ハイドラグーン・ジークヴァルクに戻ってすぐに白騎士の頭に変わり、スカイヴァルクスラッシュブレードを両手に持った。ライガに当たっていたビームは消え、ハイドラグーン・ジークヴァルクに向かって落下してくる。ライガは咄嗟に黒い電流を放つ。


「はあぁぁぁぁぁーっ!!横一閃!!」


 ハイドラグーン・ジークヴァルクはライガの腹を思いっきり斬り裂いた。スカイヴァルクスラッシュブレードの前では黒い電流は無力だった。


「続けてぇっ!チェストォォォォォーッ!!」


 横一閃を繰り出した後、すぐに両手を上に上げ、振り下ろす。ライガと共に地面に向かって急速落下。ライガを地面に叩きつけた後、ハイドラグーン・ジークヴァルクは空中で一回転し、地面に着地した。地面にスカイヴァルクスラッシュブレードを指し、両手で握り拳を作る。


「両断、成立!!」

「…へっ、容赦ねぇなぁっ…。だが、見事だったぜ…。」


 ライガの頭が取れ、ライガは元の姿に戻った。

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