表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ディサイド・デュラハン  作者: 星川レオ
第2部 DULLAHAN WAR
103/284

73章Side:BA 得られた信条

「ふぅっ…!よし、朝の日課終わりぃっ!新たな戦法がやっと様になって来たぜ…!早く奴ら相手に披露したいもんだぜ…!」


 トレーニングルームの中央に立つライガは新たな頭をつけていたが、元の頭に戻した。辺りは黒コゲで壁には爪痕がたくさんある。


「ちっとやり過ぎちまったか?またシユーザーやマーシャルに怒られるぜ…。どうせ怒られるんなら、美人相手の方がいいねぇ〜っ!


 ライガはトレーニングルームを退室し、大広間に向かう。スランの裏切りに関してのゴウ=カイがあるのだ。通路を一人歩いているとディアスが立っていた。窓から地球を眺めている。


「よぉっ、ディアスの旦那!どうしたい?そろそろゴウ=カイが始まるぜ?」

「…あぁ、そうか。もうそんな時間か…。わかった。」


 ディアスはライガと共に並んで歩いた。


「そういや、ラクベスの奴の体調はどうなんだ?かなりボロボロだったが…。」

「あぁ、キャルベンの奴らの寄生ヘッドの影響がまだ抜けない…。油断できない状態だ…。」

「そうか、心配だな…。これ以上、シチゴウセンが減るのは勘弁だぜ。」

「…あぁ、そうだな。まだ死ぬには惜しい男だ。」

「へっ、全くだ。」


 ディアスとラクベスの心配をしているとマーシャルが横の通路から歩いてきた。


「おっ、今日は普段着なのかい?」

「普段着…?」

「…怒りますよ、ライガ様…!」

「おっと、怖っ!?いつものマーシャル嬢だぜ…。」


 マーシャルに後ろから睨まれながらライガは早足で大広間まで辿り着く。扉を開けるとダジーラクが玉座の前に立っていた。


「ダジーラク様。マーシャル、ライガ様とディアス様と共に参りました。

「来たか。よし、それでは、ゴウ=カイを始める。」


 そう言うとダジーラクは玉座に座る。マーシャルもダジーラクの横に立つ。


「集え。今ここにありし、ヴァエンペラのシチゴウセン達よ。」


 ダジーラクが右手を前に出すとシチゴウセンが集う。


「シユーザー、見ざぁ〜ん。」

「レイドルク、推参。」

「ヴァエンペラの元へ集いしシチゴウセンたちよ、よくぞ参った。よき、頭を外すがよい。」


 四人は頭を外し、柱に寄っ掛かった。


「今回は裏切り者スランについての話だ。報告せよ、ディアス。」

「はっ…。」


 ディアスは昨日の水縹星(みはなだせい)海岸での出来事を話す。


「なるほど、ラクベスはキャルベンのグゲンダルとやらの寄生ヘッドの影響であのような姿になったと…。」

「何だ、私はてっきり、スランが裏切りの証としてラクベスを痛めつけたのかと…。」

「シユーザー、スランがそのような事をする闘士ではない事はわかるだろう。冗談でもやめろ。」


 ディアスはシユーザーを睨んだ。


「はっ!随分と裏切り者の肩を持つじゃないか!まぁ、そうだよな。お前とラクベスはスランを気に入ってたからなぁ〜っ…!何だ?お前らも裏切るか?」

「貴様…!」


 ディアスは頭を付け直し、鎌を構える。


「よさんか、二人共!ディアス、無礼であるぞ!頭を外せ!」

「くっ…!」


 ディアスは頭を外して納得がいかない素振りで柱にまた寄っ掛かる。


「スランは新参者故にバドスン・アータスのやり方に理解を示さなかった…。それだけの事だ。妙な人魚騎士とやらに感化される程度の闘士だったという事だ。捨て置け。」

「…!? ダジーラク、君までスランをそう言うのか…!?スランは自分の憧れを見つけ、目指す道を自分で見つけてみせた誇り高き闘士だ…!それを…!」


 ライガはディアスに近寄り、右腕を横に伸ばし、ディアスを静止した。ダジーラクも反論してきたディアスを見て驚いていた。


「落ち着けよ、ディアス。いつもの冷静なあんたらしくないぜ?」


 ディアスはライガに止められて静まり、また柱に寄っ掛かった。


「まぁ、ディアスの言いたい事もわかるぜ?戦場ってのはいつ何が起こるかわからねぇ。どっからか、情報やきっかけ、出会いが突然やって来てよ。それで忠誠心が高まったり、敵に寝返ったり色々だ。スランはよっぽど気が合う奴に会っちまったんだな!なら、仕方ねぇや!それがあいつの貫きてぇ信条ならよ!」

「ライガ…。」

「ふむ…。スランが気に入る程の、惹きつけられる人魚騎士か…!キャルベンを蹴散らす程の力の持ち主…!くくっ、興味が湧いてきたわ…!」

「あ〜あ、血気盛んな爺さんがまた昂ってるぜ…!」


 ライガは両手を横に出してやれやれとポーズを取る。


「たわけが!お前さんも人の事言えんじゃろうが!」

「へぇへぇ、そうでざんした。」


 ライガは両手を下ろした後、ディアスを見る。


「…だからよ、ディアス。スランは確かに裏切りはしたが、あのふらふらしていたスランが自分のなるべき未来を見つけられた…。それは価値ある事だ。同じ闘士として喜んでいいぜ?闘士としてはな。だが、シチゴウセンとしては裏切り者だ。俺らの誰かが手を下さねぇとならねぇ。その事は忘れんなよ?」

「…あぁ、そうだな。シチゴウセン、か…。」


 ディアスはここからは見えない地球の方向を見た。


「話を止めて悪いな、ダジーラクの旦那。続けてくれ。」


 そう言うとライガは自分の柱に戻った。


「…次に議題すべきはシチゴウセンがディサイド・デュラハンと化したという信じられん事実だ…!一体どうなっている…!?」

「ダジーラク様が恐れられるのも無理もない…。他のシチゴウセンがまたディサイドするかもしれませんからねぇっ…!」


 シユーザーはディアスを見て笑んだ。


「大将、確かに道人とジークヴァルは大した奴らだ。それはあんたも身を以て知っただろう?」

「あぁ、今でも再戦の熱意が冷めやらぬわ…!次相対した時は必ず…!」


 ダジーラクは右拳を震えさせる。

 

「あぁ、俺も大将と同じ気持ちだぜ?あいつらは俺が終生(しゅうせい)のライバルと認める程の男たちだ…!奴らには尊敬の念があるぜ…!だが、俺とあいつらの道が交わる事はねぇっ!もし、勝敗が決まる時が来たのなら、それはどちらかが死ぬ時だ…!」

「わしも同じよ!深也やランドレイク、大樹やカサエル、決して仲間となる気はない!負けた時は潔く散るまでよ!まぁ、そもそもわしが負ける事はありえんがな…!」

「くくっ、頼もしい方々だ…!ダジーラク様、我らをスランと同じだと思わないで頂きたい!我らが人間とディサイドするなど、あり得ないのですから!そう、()()はね…!」


 シユーザーは自分の胸の顔の眼鏡を動かして強気に出た。ディアスとマーシャルは下を向いていた。


「よくぞ申した!其方(そなた)たちこそが誠のシチゴウセンたちだ!信じておるぞ!以上、ゴウ=カイをこれにて終了とする!」


 ディアスはすぐに去り、ラクベスの元へ向かった。レイドルクも退室する。ダジーラクが立ち上がり、退室しようとする。マーシャルはついて行こうとした。


「マーシャル、お待ちなさい。あなた、今日はゴウ=カイで一言も喋りませんでしたね。」


 シユーザーはマーシャルを呼び止め、マーシャルは振り向いた。


「…えっ?そうでしたか…?」

「えぇ。昨日の生き生きとしたあなたはどうしたのです?帰って来てから様子が変ですが…。」

「…そうですね、昨日のデストロイ・デュラハンはあまり上手く行かなかった…。それで落ち込んでいるのかもしれません…。再調整しないといけませんね…。」

「…そうですか。」


 マーシャルは振り返って去っていった。


「…ふふっ、彼女、昨日お姉さんと楽しく食事をしてたよ?それが迷いになってるんじゃないかな?」

「…!? 誰だ、てめぇっ!?」


 天井の柱に誰かが座っていた。ライガは両手の鉤爪に電流を走らせる。


「落ち着きなさい、ライガ。彼はシチゴウセンの補充メンバーとなる予定の男です。我らの仲間ですよ?」

「何だと…!?てめぇっ、さっきのダジーラクへの言葉は何だっ!?あいつ、どう見ても()()じゃねぇか!人間をシチゴウセンにするのかっ!?」


 ライガは暗がりにいる人間を指差した。


「ふふっ、そう見えるでしょう?安心なさい、人間じゃありませんから。さて、珍しいですね、スパイを碌にする気のないあなたが。」

「もちろん、する気はないよ?俺はただ、散歩してブーメランで遊びたいだけさ!」


 謎の男はブーメランをその場で投げた後、すぐにキャッチした。


「昨日たまたまマーシャルを見かけただけだよ。それでただ気まぐれにあんたに報告しただけ。」

「ほう、ジュンナと…。それは良くないかもしれませんねぇ…。」


 そう言うとシユーザーは自分の研究室へ帰っていった。


「あらら、行っちゃった。焚き付けちゃったかな?ま、いいか。それじゃ、先輩。また今度!」

「あっ、待て!てめぇっ!」


 ライガの静止も聞かずに謎の男は去っていった。


「何だ、あいつ…?ブーメランが好きだと…?」


 ライガは何故か新入りが気に入らなかったが、もやもやした気分で退室した。またトレーニングルームに向かい、もやもやを吹っ飛ばすためのリフレッシュに励む。


「精が出るな、ライガよ。」


 レイドルクが腕を組んで壁に寄っ掛かっていた。


「爺さんか。何の用だ?」

「これ以上、トレーニングルームを滅茶苦茶にされたらシユーザーとマーシャルに怒られるぞ。わしもトレーニングしたいのだが、これでは使えん。」

「悪かったな、暴れん坊でよ。」


 ライガは丸太に何度も鉤爪をぶつける。


「…なぁ、お主、本当は今からでもジークヴァルと道人と闘いたいのではないか?」


 ライガは丸太にぶつけている最中の鉤爪を止め、レイドルクを見た。


「何だよ、いきなり?俺があいつらを狩るのはあいつらが色んな奴らと戦って経験し、極限まで強くなった時だ。戦島(いくさじま)での戦いの時にそう決めた。その時が来るまで俺は待つだけだ。」

「待つだけでは駄目ではないか?奴らの成長過程を自分の身で確かめるのも大事だと思うが?」

「あ?」

「お主がやっているのはトレーニングではない。好敵手と本当は戦いたくてうずうずしておるのに、我慢できずに周りに当たり散らしているだけだ。」

「俺は…。」


 ライガは自分の右手の鉤爪を見た後、周りのボロボロの壁を見る。


「…さて、シユーザーたちが気づく前にわしがこのトレーニングルームを片付けておこう。今からトレーニングルームは使用禁止だ。」

「は?お、おい、爺さん…。」

「…行って来い。自分の気持ちに正直になるがよい。あいつらと闘って本当の自分を見つめ直して来い。」


 ライガの脳内に浮かぶハイドラグーン・ジークヴァルグとダジーラクの闘い。その時の高まりを思い出す。


「…ったく、わかったよ!ちょっくら、地球まで行ってくらぁっ!俺が戻ってくる間にちゃんと直しておけよ?」

「わかった、わかった!さっさと行って来い。片付けの邪魔だ!」

「へへっ!」


 ライガは格納庫まで走り、宇宙に出る。稲妻となって地球に大気圏突入した。


「俺がやりたい事か…。さっき、ディアスに偉そうな事言っちまったが、俺も自分の信条を自分の物にできてなかったみてぇだ…!待ってろよ、ジークヴァル!道人!久々にお前らと闘ってやるからよ…!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ