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セイント  作者: 未来路
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青年との再会

 この辺りに川は一つしかない。下りる場所は幾つかあるが、この場所から少し上流に行けば大きな滝がある。ここで見るものはその滝くらいだ。きっとそこに行けば会えるだろう。

 川は大きく浅瀬も深みもあるが、滑るところや危険なところはだいたい把握している。夜で視界が悪いとは言っても難なく歩ける場所だ。

 穏やかな川のせせらぎを聞きながら、青年を探して滝に向かって歩いていった。

 川の周りは小さな林になっていて軽く鬱蒼としているが、その林が切れて滝が見えてきた。

 ここの滝は五メートルの高さから、二メートル幅の水が降って来る、この辺で唯一名物と呼べる立派な滝である。とは言っても、わざわざこれを見に来る観光客はいないのだが……。

 大量の水が川に降りしきり、大きな滝壺を作っている。

 滝の水で月の優しい光が反射して、まるでイルミネーションのようにキラキラと輝いている。

 その輝きの中、一人の青年が滝壺の中で佇んでいた。

 夜の暗闇の中でも浮かび上がってくるような白い肌、背中まで伸びた金色の長い髪、背の高いスリムな体型に長い足。こんな田舎では見られない美青年だ。

 アーセタは思わず頬を赤らめて、言葉を失くして青年に見蕩れていた。

「誰?」

 それまで滝を眺めていた青年がゆっくりと振り返った。

 アーセタは言葉を失くして、青年の姿を凝視していた。これまで家族以外の男性の裸なんて見たことなくて、頭が真っ白になってなにも考えられなくなっていた。

 優しい二つの瞳に見つめられて思わず息を飲み込み、その場に立ち尽くしていた。

「君、さっきの……」

 青年はアーセタに気付いたらしく、静かに囁くと不思議そうに見つめている。

 体を一切隠そうとしない男性に、アーセタは目のやり場に困って逸らそうとしたが、頭が混乱していて、どの方向に逸らせばいいのかもさえ判断できなくなっていた。

 そんなアーセタの気も知らず、青年はゆっくりと近付いてくる。

「あの……」

 アーセタは視線を泳がせて、困り果てて声を洩らした。

「どうしたの? こんなところで?」

 青年は裸を人に見られるのに抵抗がないのか、まったく平然としている。

 離れた場所にいたため、それまでは遠目で見ていただけだったが、青年が近付いてくるに連れ、色の白い華奢な身体がはっきりと見えてきた。

 青年の身体が鮮明に見えてくるに連れ、アーセタは驚愕して瞳を見開いた。

 その体の腹筋から足に掛けての一部が、まるで移植されたように木の樹皮で覆われていたのだ。体つきは男性であるが生殖器官はなく、まるで彫刻のようで人間離れしていた。

みなさんこんにちは

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