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セイント  作者: 未来路
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青年に会いに

 青年が見えなくなると、アーセタは自宅に戻り、改めて自分の家を見て恥ずかしくなった。

 この家が当たり前で、今まで特になにも思わないで暮らしてきたが、こんなところにあんな、まるで天使のような男性を招き入れてしまった。

 どう思われただろう? 何も言ってなかったが、みすぼらしいと思っただろうか?

 母親の一大事だったため仕方がなかったとはいえ、掃除くらいはしておけば良かった。

 普段、家に来るのは両親の知り合いくらいだったから、気が回らなかったのだ。

(せめて、来るのが分かってたらなぁ……)

 青年がここに来たのは状況であり、成り行きだ。予定があってきたわけではない。だから、前もって分かるのなんてあることはないのだが、そう思わずにいられなかった。

 スダヌーはまだ母親にべったりとくっついている。母親も顔色がよくなり、大丈夫そうだ。

 アーセタはもう一度ちゃんとお礼が言いたくて、話がしたくてそっと家を抜け出した。


 お祭りの会場に行くと、毎年恒例の夏祭りよりも屋台は立派で、出店の数も多く出ていた。

 青年との話の邪魔をされるのを嫌って置いて来たが、こんなに大きなお祭りになっているのなら、スダヌーも連れて来てやれば良かったと少し後悔した。

 屋台では毎年恒例の曲が演奏され、その周りで町の人たちが踊っている。

 アーセタはお祭りの中を歩き回って青年を探したが見つからなかった。

 この町には不釣合いな外見な上、特別待遇をされているようだったから、きっと彼の周りには人混みができていて、簡単に見つけられるだろうと思っていたため意外だった。

「ねぇ、町長さん、あの人は?」

 運営本部と看板を掲げたテントに行き、そこにいるかと思って覗いてみたが、そこにも青年の姿はなかった。代わりにお酒を飲んでいる町長を見つけたため、聞いてみたのだ。

「ああセイントですね。こういう賑やかなのは苦手だと言って、一人で何処かへ行ってしまいましたよ。一緒に行くと言ったのですが断られてしまいましてね。

 こんなおじさんたちに囲まれているのは嫌だったのでしょう。

そうだアーセタさん、あなた探してきてくれませんか?」

町長はお酒で酔っているのか、赤くなった顔で、普段よりもやや乱暴な口調で言った。

「あの、それでどこか心当たりはありませんか?」

 この町はそれほど広くはないが、見つけ出すのは一人では無理だろう。

 最後まで一緒にいた町長ならなにか知らないかと思って聞いてみた。

「そう言えば、川の場所を執拗に聞いていましたので川にいるのかもしれませんね」

「ありがとう。行ってみます」

 町長の言葉を信じて、アーセタは川へ向かった。

みなさんこんにちは

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