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セイント  作者: 未来路
13/25

月だけが見ていた夜

「これでいい?」

 青年が微笑んで、軽く笑いを含んだ声で問い掛けてくる。

「う……、うん……」

 アーセタは頷いたが、正直に言うと、水に濡れた青年は男とは思えないほどの色気を漂わせていて、正直、隣に立っているだけで鼓動が高鳴ってしまう。

「みんなのところに戻ろうか」

「う……ん……」

 微笑みを絶やさずに提案してくる青年に、アーセタは緊張しすぎてコクコクと玩具のように頷くことしかできなかった。

「こんな時期に水の中に入って寒くないの?」

 河原から祭りの会場に戻る途中、無言でいるのも空気が重くなるだけだと思い、今度はアーセタから話を振ってみた。

「言ったでしょう? 僕は植物だから、水に浸かっているのが一番気持ちいいんだ」

「そうなんだ。それじゃあ、物を食べたりもしないの?」

「うん。食事は必要ないよ。睡眠も取らなくて大丈夫。水と陽の光があれば生きていける」

「それじゃあ、お祭りとかももしかして迷惑?」

「そんなことはないよ。みんなの元気な姿を見ると僕も元気がもらえるし、僕を持て成そうとしてくれるその気持ちが嬉しい。勧めてもらっても食べられないのは辛いけどね」

「食べられないんじゃあ、薦められても困るだけだよね?」

「おいしそうって思えないのが一番ね」

「酷いっ」

 二人は並んで小さく笑い合いながら、月が淡い光で照らす河原を歩いていた。

みなさんこんにちは

更新しました。よろしくお願いします。


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