なくしたものの大切さに気付けないのが私だ
メロディーに合わせる前の歌詞の雛型。
過去の遺物が出てきました。
悲しさに せつなさに
涙を見せてしまったのが私だ
とがらせたくちびるに人差し指を添えてみた
そっとくちびるを重ねてくれたあの日はもう……
駅のホームの向こう側
ないはずの人影に二度見して
そんな自分がおかしくて
泣きそうな顔で笑っていたのが私だ
他になにもいらない
ただそれだけで良かった
ただ、そこにいてくれれば良かった
良かったのに……
泣きそうな声で笑って
笑ったように泣いて
いなくなるなら
はじめから現れないでほしかった
ただただ私の心の真ん中に陣取っておいて
私の前からいなくなるなら
はじめから愛をささやいたりしないでほしかった
簡単に本気にしちゃうのが私だから
朝起きて「おはよう」なんて
隣に言うなんて思わなくてさ
そんなの子供のときだけだと思っててさ
隣の腕に安心して
心も体もなんだか温かくて
朝の光に満ちてくのを感じるのが好きだった
……なんて、いまはひとりの寒いベッドで
隣の空気を撫でてみるのが私だ
泣きそうな顔で笑って
笑ったように泣いて
当たり前じゃなくなるなら
はじめから当たり前にしないでほしかった
いつもの私にあなたはいたのに
私のいつもをなくさないでほしかった
なんて、泣いて叫んでみたりして
頭を撫でてくれるのを期待しちゃうのが私だから
泣くなよって涙をふいて
とがらせたくちびるにキスをして
もう一度その腕の温もりに安心させて
大嫌いって言った時間を戻して
大好きって言ったあなたなのに
あなたの方からいなくなってしまう
なくなって 大好きって こんなにも わかったのに……
いなくなるまで気付けない
素直になれないのが私だ……