休暇へ
(どうだ、上手くいっただろう?)
俺は首尾よくいった事を自慢げにチコに報告するが、チコからの返信は不満そうだった。
(なんでいっつもあたしの姿に変身するのよ!)
どうやら変身魔法でチコの姿になっていたことが気に入らないらしい。
(しかたないだろ。チコの姿は変態に受けがいいんだから)
(それが嫌なんだけど!)
(よっ美少女!チート殺し!)
(全然、うれしくない・・・)
おかしいな。褒めたのに。
(ところでチートンはどうなった。大人しくなったんだろう?)
(そうね。今までとは打って変って目立たない生徒になって深海魚のように静かに暮らしているみたいよ。さすがに退学まではしてないみたいだけど)
(でも、なんであいつ勇者学園なんかに入ったんだ?人間に目にもの見せてくれるとか言ってたのに)
俺の素朴な疑問にチコはその辺も調べているのかすぐに答える。
(本人は『今の勇者の実力を知っておくため』とか言ってたけど、どうも目当ては女子にモテるためだったみたいね)
(・・・本当にダメな奴だな)
(でも、あそこまでされるとちょっと可哀そうな気もするけどね)
(何言ってるんだ。あんなに平和的な形で解決したのに)
(言葉の暴力って知ってる?あれならいっそ『限定解除』して正面からぶん殴ってやったほうがダメージは少なかったんじゃない?)
(チトリ―それはチート取締官の俗称で世界のバランスを崩すチートたちを取り締まって、平和裏に解決する事を目的に活動している組織である)
(いや、ナレーション風に言ってもダメだからね?ちょっと、ゲキ、きいてる?)
チコのツッコミを無視して俺は今度こそ休暇に向かうのだった。
読んでくださった方ありがとうございました。
もし、気に入って頂いてブックマーク等をして頂けたら『~チトリ~ 引退勇者編』を書く元気がでるような気がします。