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チートン・イキる

 俺は勇者学園に変身魔法で潜入したわけだが、さっそくチートンがイキっている場面に出くわしていた。


 経緯はよくわからないが、勇者学園の中でもエリートと言われる者たち相手にケンカを吹っ掛けたらしい。「思いあがった者たちにはこの俺が少々お灸をすえてやろう」とか言ってるし。


 あー、エリート側が集団で合体魔法を使ってるなあ。


 この歳の普通の人間チートではないにしてはなかなかの威力だが、チートンには当然通用しないだろうな。


 見た目には生意気な新入生に対してエリート集団が絡んでいるようにみえる。


 だが実際の年齢や経験や能力を考えると幼稚園児の中にいい年したおっさんが入ってきて「幼稚園児のくせに生意気だ、おじさんがお仕置きしてやる」とやっているようなものだ。


 引くわー、マジで引くわー。チートン引くわー。

 幼児の中におっさんが入ってそんな事をしたらひんしゅくものだが、こいつの場合は中身はおっさんのまま外見は幼児に化けているようなものだから余計に質が悪い。


 「ふっ、この程度で魔法を使っているつもりか?」


 チートンは格好つけているつもりだろうが、真実を知っている俺からしたらめちゃくちゃ格好悪いぞ。


 わかりやすく例えるならこいつのしているのは3、4歳くらいの幼児がおぼつかないながらも他の子よりも早く絵本が読めるようになって「○○くんすげー!」ってなっている中に「え?この程度でスゴイって?○○くん、高等魔導書読める?読めないよね?俺は読めるけど」といい年したおっさんがはいっていくようなものだ。


 こう考えると自分が例えたことながらマジでチートンヤバいな・・・・。


 俺がそんな事を考えている間にもチートン劇場は続いていく。


「まあ、ウォーミングアップくらいにはなったか」


 「ば、ばかな・・・。俺たちの全力の合体魔法だぞ・・・!」


 いやいやいや。いくらエリートって言ってもまだ冒険者未満の連中だぞ?


 ていうか勇者に負けた腹いせに冒険者未満の者たちを元魔王がイジメるってどうだよ。


 か、かっこ悪りい・・・。


 だがさすがに元魔王だけあってかなり強い。俺は職業上見ただけで相手の強さがだいたいわかる。


 こいつを倒そうと思ったら今の俺では10人編成で戦っても、半分の犠牲は覚悟しなくてはいけない。


 まあ、もともとチート取締官は平和裏に解決するのをモットーにしているからな。


 暴力なんて言う手段はとらないのだ。


 ・・・『外れスキル』?あ、あれはあいつが悪いからしかたないんだ!だから、あんなことに・・・。


 今はチートンに集中しよう。

  

 本来、チートンはこの勇者学校の最強クラス(教師を含む)の者たちとさらにこの世界の現役の勇者と言われる者たちが数十人でチームを組んで討伐するレベルの大魔王だ。


 そりゃ、いくら学園生の中では特待生に選ばれるほど優秀な者たちであっても勝てるわけがないだろう。だが、それを知っているのはチートン本人と俺だけで純真な学園生たちは何も知らないのだ。


 それがわかった上で先ほどのがチートンのさきほどのセリフをもう一度聞いてみよう。


 「思いあがった者たちにはこの俺が少々お灸をすえてやろう」


 いやいやいや、それはないだろう。人間誰しも他の者より優れていたら誇りたくなるものだろう。


 特に彼らは厳しい受験戦争に勝ち抜いてこの勇者学園の特待生になったのだ。ある程度の増長は許してやって欲しいものだ。しかも幼いころから遊びたいのも我慢して努力してきたのだ。その努力の上にあるのが今の彼らの実力なのだ。


 チートンのように強いままで転生するというズルをしているわけじゃないのだ。そりゃあ、増長もするよ。多少の思い上がりは許してやれよ。


 公平にみても彼らの態度は鼻にはつくが目に余るほどのものでもないしな。


 それを大魔王という何の努力もしないで生まれつきの能力が高いだけの奴が、普通の人間の少年のふりをして近づいて「ふっ、ザコめ・・・」と蹴散らしているのだ。


 なんなんだ、こいつ。


 イッタイ奴だわ。


 だから、勇者に負けて転生とかしてるんだろうなあ。


 ああ、違った。チートン容疑者は『たまたま時空の狭間におちて転生した』と主張しているんだった。


 とにかくチートンが確かに取り締まるべきチートだという事だけはよくわかった。


 そうこうしているうちにチコから通信魔法が入ってくる。


 (で、どうするつもりなの?見ての通りあいつの実力は本物よ)


 (確かに今の俺が力づくでどうこうできる相手じゃないな)


 (なんなら『限定解除』するけど?)


 (いや、必要ない。ちゃんと平和的に解決してやるさ。俺の華麗な作戦でな!)


 (それ・・・本当に大丈夫なの?)


 (チコが俺に頼んできたんだろ。任せろって。策はある)


 不安がるチコに俺は自信満々に答えたのだった。

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