最後の伏線回収は、せつない。 ~とある長編作者の想い~
これは、間もなく完結を迎える長編処女作を書く私の、日々感じている想い。
……
練りに練った(自分の中では)最高の設定で、プロットを作り上げた。
――あのキャラが実は○○で、後でこれがこうなって――
ベッドの中で妄想が膨らむ。
風呂敷を広げに広げ、至るところに伏線を散りばめていく。
――その瞬間は、最高にワクワクした。
わざとらしく意味深に見せる伏線、
さりげなくこっそりと潜ませる伏線、
もはや作者にしかわからない自己満の伏線――
初期衝動に任せ、がむしゃらに筆を進める。自分の頭の中だけにある秘密の物語を――いや、自分すらまだ知らない、どんどん湧き出る物語を書き進める。
秘密が、少しずつ明らかにされていく。うまく伏線が回収できた時の快感ったらもう、脳内物質が溢れるくらいだ。
どうだ! 実はこうだったのだ! うおお、面白い……!
それが作者の自己満だと言われようと、楽しいものは楽しい(もちろん、読者にも楽しんでもらえるよう頑張っているつもりだ)。
しかし。
それまで筆をとったことのない素人だ。初めのプロットから話は少しずつズレていき、いざ伏線を回収する時にはうまく回収できないこともある。
こんな台詞入れなきゃよかったな……
あれ、このアイテムもう使えないな……
なんとか伏線を回収すべく、やや不自然な流れになることもあれば、とうとう投げっぱなしになったものもある。
それでもまだ、物語の途中では、秘めた伏線の上で繰り広げられるストーリーに心躍った。
……
やがて、伏線は回収されていく。
物語は、完結に向けまとめていかなければならない。
広げた風呂敷を畳み、秘密は全て明かされる。
――ああ、積み上げたものは、もう、全部――
それでも作者は、物語の仕上げに取り掛からなければならない。
明かされた秘密の上で、華々しく盛り上がるラストを。
――最後の伏線回収は、せつない。
独白にお付き合いいただきありがとうございました。
例え作者の自己満だと言われても、伏線を張るのって最高にワクワクしますよね。
よろしければ、広げた風呂敷を畳みつつある私の作品「世界樹と星の守人」もお読みいただければ幸いです。