ハムレット、タブレット持って……
ハムレット、タブレット持って
クリケットのコート横断
ぽかんとするギルデンスターン
すぐターンして戻るデンマーク王子
工事現場に立ち入る王子、恋愛断ち切り闘志燃やせと言わんばかりに、ツクツクホウシ、励ます同士
ハムレット、タブレット見て
ことばことばことば放り投げて
なべて、すべて忘却のうちに
暴虐の王葬るため
カメは百年生きるという
なんのため生きるかね
かねがね俺は思う
死ね、と言われて死ねるかよ!
ハムレット、タブレット棄て
くべた火の前にその身を置く
受けたこの前のあの告白
毒殺された父の無念
胸ん中うずく復讐の意志
よし今だ闘志みなぎるうちに
されど……と、ハムレット迷う
ただよう川面の葉に身を委せ
ここまで流れたただ酔うように
また好いように俺を流す気か
人の子は所詮運命の奴隷
一度は賭さんその身を正義へ
けれどそれも運命の意思ならば
てめえの剣握る意味はなんだ
教えてくれよ、フォーティンブラス!
ハムレット、かぶれた闘志
どうしてくれようポローニアス
その明日を奪ったその気なしに
刺しにゆこうか、次はだれを?
彼らを……継ぎ接ぎギルデンスターン
もうひとりは名前覚えておらん
まあしかし血を見るのはとっといて
とっとと海の向こうへ遣っとこう
渡航先の床で休め永久に!
ハムレット、黙れと言って
剣士の前に姿現す
交わすことばの刃、刃、刃……には愛はあるやないや
ポローニアスを父に持つ剣士
大いなる復讐の念に燃え
王による王子殺害の下手人
適任とされ、王子の敵に
ハムレット、仕組まれた試合の前
和解のことばを相手へかける
若いのこの場で愛へ傾き
仇を嵌めるにゃもはや気が咎める
始まった試合、仕組まれた毒
激しく舞うふたりは気の毒
届く、剣先王子の腹へ
肌へ突き刺さり猛毒がまわる
替わる、毒塗られた剣の持ち手
ハムレット、それで相手を刺す
おお!
明日なき身とは知りもせず
その熱に身を委せて突き刺した
なぜ、剣先が突き刺さる?
なぜ、これは仕組まれた試合?
そうだ、と相手は白状する
王が、この策謀仕組んだのだ
お前と俺を裂いた剣先には
毒、毒、毒……ああもはや沈黙!
剣士レアティーズ、俺もすぐ逝く
けれど供をひとり連れゆこう
さあ王、俺と黄泉の旅路へゴー!
先導は貴様に任した、と刺した
ぐおう……!
『ハムレット』、タブレットで読んで
クリケットのコート横断
こ・ら! 前を向いて歩け
試合の邪魔だぞ早く出てゆけ
Shut up!!