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第65話 キンとバシャーマのもくもくライフ


―― 王城 宰相執務室 ――


「ショール、作業セットと机、椅子を執務室に運んで」


「あいよ、それじゃメルドは文房具を!」


「じゃ、私は軽食と飲み物を!」


「俺は寝具か、よっし!!」


 てきぱきと文官や使用人達によってバシャーマの執務室に、キンランス用の作業スペースが作られていく。


 実は過去にバシャーマが過労死寸前になるほど問題が山積みになった際に、ゴランの紹介でキンランスがバシャーマを手伝ったことがある。


 わずか数日で問題を解決したキンランスの仕事ぶりは未だに王城勤務の文官達の中で語り草となっている。


 そのため、キンランスが執務室に着いたらすぐに仕事が出来るように動いているのだった。


 ──コンコン


「失礼します! ランス様をお連れしました」


『通して』


「失礼するよ、バシャーマさん、久しぶりだね」


「………」


 手を上げて応えるバシャーマ、そこから二人の間に会話はいらない。


「すごいな、皆さんありがとうございます。では始めましょう」


 ──ぱらぱらぱら


 ──かりかりかりかりかり


 ──さっ 


 ──とんとんっ


 無言の時間、文官は処理の終わった書類を運び出したり、新しい案件の書類を持ち込んだりと大忙しだ。


 ちなみに、この間、二人は念話を通して情報のやり取りを行っている。



二日目


 ──ぱらぱらぱら


 ──かりかりかりかりかり


 ──さっ 


 ──とんとんっ



三日目 夕方


 ──ぱらぱらぱら


 ──かりかりかりかりかり


 ──さっ


 ──とんとんっ


 ──かりかり…… かりかりかかっ ばたっ!!


『…………ランス殿がお帰りだ、ゴランを呼んでくれる?』


「はっ!」


『ランス君のおかげで帝国と魔族の動向に集中できるよ。ありが……すやぁ』


 ゴランが宰相執務室で見たものは、ところどころ赤黒くなっている床の上に、栄養ポーションや不眠ポーション等の空瓶がごろごろと転がり、壊れた文房具が散乱している中で、椅子にもたれかかって幸せそうに燃え尽きているバシャーマとランスの姿だった。


「いつもながら凄惨な現場だな。それじゃあ、ランス殿をお送りするか……」


 椅子から俵かつぎで肩にランスをゆっくり乗せるゴラン。


「う……、セクハラよ」


「寝言がひでぇな。さっさと家に届けないとまたアーたんに誤解されるな」


『マスターを頼みましたよ、……僕も少し疲れました』


 王城から貴族区、商業区そしてランスの家までアーたん以外にもばっちり誤解されることになる。


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