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第63話 タケトリは始まるまで気づかない


―― ザナイト騎士団 ――



 ──コンコン



「ち、団長! ランス殿をお連れしました」


「アーた……、アメリアか、ご苦労。お通ししろ」


「はっ! ほら、早く入れ」


「もう、父上とアーたんで良いのでは? ゴランさん、こんにちは」


「……ちわ」

「ヒゲっす!」

「こ、こ、こ、こ…………」


「うっせぇよ。んあ? お前……、あー、久しぶりだな」


 ゴランはメガネを見て察した。


(メガネって……、髪型とか髪の色とかでも……キンランスと呼ばれた頃が懐かしい……)


「僕と直接会うのはお久しぶりですかね。今日は、ゴランさんに人を紹介しにきました。こちらの固まってる方がタケトリさんです」


「こ、こ、こ、こんにちは、私はタケトリと申します?」


「いや、俺に聞くな。知ってるよ、王都で面白そうなもんを売ってる奴だろ?」


「タケトリさん、深呼吸しましょう」


「すぅー、ごほっ! ごほっ! はぁ……」


「大丈夫か? ため息出てるぞ」


「はあぁ……。すみません、もう大丈夫です。私のことをご存知なのですか?」


「そりゃ、王都の出入りから管理してるから変わった奴がいれば調べるさ」


「さすが王国一の騎士団……。それで実はランスさんに人生相談をしたところ団長様をご紹介していただけることになりまして……、早速、挨拶に参りました」


「そのランスの相談で……、俺を? いいのか? ランス?」


「ええ、本人がやる気なので是非とも()()()()()鍛えてあげてください」


「俺も忙しいんだが、いや……、お前が来たってことはしばらく手が空くからいいか。ただし、タケトリ、俺は厳しいぞ?」


「覚悟の上です。私がマシな人生を歩くためには通らなければならない試練と思って頑張ります!!」


「それではタケトリさんの鑑定結果をゴランさんにも教えていいですか?」


 個人情報の取り扱いが厳しいのは異世界でも同じである。


「はい、どうぞ」


「では……、ゴランさんに送ります」


 キンランスは念話でゴランにタケトリの鑑定結果を教えた。


「ほう! これは鍛えがいのある!!」


 ゴランは一瞬だけ獰猛な野獣の目をしたが、タケトリは緊張して気づかなかった。


「お手柔らかにお願いいたしますよ?」


「おう!」


 ──タケトリはこの選択肢を選んでしまったことを後悔することになる。


「それじゃ、タケトリさん、頑張ってください」


「タケトリ! 頑張ってまともに働くっす!!」


「……ファイト」


「はい、ランスさん達に良い報告ができるように頑張ります。見ず知らずの人間にここまでしてくださって……、このご恩は忘れません」


「いえいえ、あまり気になさらないでください。タケトリさんはユニークなスキルがありますから()()()()()()()()()()()()()と思います」


「よし、それじゃ早速、訓練場に行こうか。ランスはバシャーマ様のとこに行くんだろ?」


「はい、その前にこの二人を家に送ります。それと……」


「わかってる、メリッサに話をしておく」


「助かります。ではお二人さん、行きましょうか」


 キンランスは家に帰りながら、二人にしばらく不在になることと、その間はメリッサが家に来てくれることを説明した。


 勤勉モードのランスは仕事が好きなため、いつも気絶するまで宰相のサポートをしている変態だった。


(なんか僕にだけ当たりがきつい!)



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